「建国記念の日」とは?子どもへの伝え方やおすすめの過ごし方を紹介
2022/04/03
建国記念の日の「建国」とはどういう意味でしょうか。
日本は1000年以上前からあるし、建国と言われてもピンとこない…という方も多いはずです。そこで今回は、建国記念の日の意味や由来から、子どもと楽しむ建国記念の日の過ごし方までご紹介します。
最後まで読んでいただければ、祝日を有意義に過ごすことができるはずです。
建国記念の日はいつ?
建国記念の日は政令によって2月11日に定められた祝日です。慌ただしい1月も終わり、ほっと一息着きたい頃にやってくる祝日ではないでしょうか。
1873年に、建国記念の日は2月11日に決まりました。
定められた当初は1月29日でしたが、翌年の1874年からは2月11日に変更されています。ちなみに第二次大戦後の1948年、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の考えによって祝日から削除されました。しかし、復活を望む声が高まったため1966年から再び祝日となり、現在に至ります。
1873年…1月29日
1874年…2月11日に変更
⋮
1948年〜1965年…廃止
1966年…2月11日に復活
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2020年…2月11日
2021年…2月11日
2022年…2月11日
2023年…2月11日
以上のように、2023年も2月11日に建国記念の日がやってきます。
建国記念の日とは?
建国記念の日は、なぜ2月11日に定められているのでしょうか。また、どのような由来があるのでしょうか。
建国記念の日の意味と由来は?
『国民の祝日に関する法律』によれば、建国記念の日は「建国をしのび、国を愛する心を養う。」祝日とされています。
なぜ「建国」なのかというと、初代天皇である神武天皇が橿原の地(現在の奈良県橿原市)で即位した日と言われているからです。
当初1月29日だったのは、旧暦で考えられていたためです。現在使われているグレゴリオ暦(太陽暦)に直すと2月11日になるわけですね。
この2月11日を日本の紀元とし、「紀元節」と呼ばれるようになりました。今でも2月11日になると、日本各地の神社で「紀元祭」が行われています。
名称については、1973年だけは太政官布告により「神武天皇即位日」とされましたが、翌1974年には「紀元節」に改称。第二次大戦後、復活した1966年には現在の「建国記念の日」と定められました。
建国記念日との違いは?
「建国記念日」と「建国記念の日」に意味の違いはありませんが、正確には「建国記念の日」です。
では、なぜ「の」が必要なのでしょうか。
それは、2月11日に神武天皇が即位されたという学術的な確証がないからです。名称に「の」がつかない祝日は、その日でないと意味がなく、絶対に移動ができない日に定められています。
例えば「元旦」や「憲法記念日」などは決まった日付ですね。
・元旦…1月1日
・憲法記念日…5月3日
・天皇誕生日…2月23日
いずれも、その日が変わることはありません。しかし初代神武天皇が即位した日は、古事記や日本書紀に記述されているだけです。神武天皇の時代と古事記の時代は1000年程離れているので、証拠とまでは言えないと考えられているようです。
というわけで、「建国記念の日」が正式な言い方になっています。
大日本帝国憲法との関係は?
大日本帝国憲法と建国記念の日は無縁ではありません。それは大日本国憲法の公布が同じ2月11日だからです。
1889年(明治22年)2月11日、大日本国憲法の公布が行われました。建国記念の日であると同時に憲法公布の日にもなったことで、明治の日本国民にとっては大きな意味をもつ祝日となったはずです。
建国記念の日は英語でなんという?
建国記念の日を英語にすると「National Foundation Day」となります。
では、2月11日が建国記念の日であることを説明してみましょう。
2月11日は建国記念の日です。
February 11th is National Foundation Day.
同じ内容で日本語をふまえた説明するなら、下記のようになりますね。
“Kenkoku-kinen-no-hi” is February 11th and it’s translated as National Foundation Day.
政令は「2月11日が建国記念の日」と定めています。
The ordinance stipulates that "February 11 be National Foundation Day."
建国記念の日を子どもに伝えるなら?
建国記念の日を子どもに伝えるなら、次のように伝えてみてはどうでしょうか。
「みんなが暮らしているのは日本という所だけれど、その日本ができたのが2月11日なんだよ。みんなの誕生日と同じように、日本が生まれた日としてお祝いするためにお休みになっているんだね。」
建国記念の日に食べるもの
建国記念の日がある2月は、まだまだ寒さが残っているものの、冬が終わって春を迎える立春の時期です。この時期にピッタリな食べ物は何があるのでしょうか。見ていきましょう。
鯖
鯖の旬は10月下旬〜2月頃。特に冬の鯖は「寒鯖」と呼ばれ、重宝されています。
2月頃に食べ頃をむかえるのは日本でも一般的な「マサバ」です。この時期に産卵期を終え、最も脂がのった状態になっています。
日本全国で取れますが、茨城県産や長崎県産が有名ですね。酒・みりん・砂糖・醤油と一緒に煮込んだホクホクの味噌煮を作ってみてはいかがですか。きっと子どもたちのご飯おかわりが一段とすすむはずです。
ブンタン
ブンタン(文旦)は、土佐高知の名物として有名な柑橘です。2月に出荷のピークを迎えます。
ビタミンCがたっぷりと含まれたジューシーな果肉はとても美味しく、クエン酸も摂取することができます。見た目はグレープフルーツのような黄色をしていますが、中の果肉はプルプルで分厚く、食べ応えがあります。
ブンタンは乾燥を避けて保存し、風味を保つために冷やしすぎないでいただきましょう。酸っぱい素材そのままの味が楽しめます。
赤飯
赤飯は季節の節目である「2月3日の節分」にいただきましょう。
赤飯の赤色には魔除けの効果があると信じられています。江戸時代には特別な日に赤飯をいただき、縁起をかついでいました。子どもと一緒に食べることで、日本の伝統的な食文化にも触れることができそうです。
赤飯に使う小豆には、ビタミンB群が多く含まれています。そのため疲れを回復する効果や神経を鎮める効果も期待できるでしょう。
世界の建国記念日
建国記念日が定められているのは日本だけではありません。世界各国の建国記念日の由来はさまざまで、独立や革命など、その国の歩んできた歴史を示しているものも多くあります。
アメリカ
アメリカの建国記念日は7月4日です。
イギリスからの独立を宣言した「独立記念日(Independence Day)」としても知られています。
1776年7月4日、トマス・ジェファソンによって独立宣言に署名がされました。この日はアメリカ全土の祝日に定められており、各地で花火やコンサートなどの大規模なイベントが開催されます。
イギリス
イギリスの建国記念日ですが、実は存在しません。
どこかの国に隷属した歴史的背景がないので独立日がなく、日本の天皇誕生日のような「女王誕生日」も祝日にはありません。
ベトナム
ベトナムの建国記念日は9月2日です。
1940年代、第二次世界大戦中は日本(・フランス)がベトナムを支配していましたが、1945年8月15日の終戦をもって占領が解除されます。
その後9月2日にホー・チ・ミン氏によってベトナム独立宣言が行われたのです。それ以来、9月2日は祝日になっており、街にはベトナム国旗が掲げられる日となっています。
フランス
フランスの建国記念日は7月14日です。1880年から祝日に定められ、「Fête nationale française」と表記されます。
これは1789年7月14日にパリ市民がバスティーユ監獄を襲撃し、フランス革命の始まりとなったことに由来しています。
大掛かりなイベントが数多く行われ、毎年エッフェル塔から花火が打ち上げられるなど、パリが華やぐ祝日となっています。
ドイツ
ドイツ連邦共和国の建国記念日は10月3日です。
正式には「ドイツ統一記念日(Tag der Deutschen Einheit)と呼ばれています。
第二次世界大戦後、28年間にわたって左右に分断されていたドイツでしたが、1990年10月3日に統一条約が規定されました。これにより再統一を果たし、建国記念日としてドイツ全土の祝日になっています。
子どもと楽しむ建国記念の日の過ごし方
2月11日は子どもと一緒に、日本について理解を深める日にしてみませんか。ここでは3つの過ごし方について解説していきます。
建国記念の日には、日本地図を眺めてみよう
視覚を通して日本について学ぶならパズルがおすすめです。日本地図を眺めながら、どの都道府県がどこにあるかを確かめてみるといいですね。子どもはもちろん、大人でも意外にあやふやな地域があるものです。子どもと一緒に覚えてみてはいかがでしょうか。
建国記念の日には、日本の国旗をクイズにしてみよう
祝日なのであちこちで国旗が掲揚されているはずです。その国旗をクイズにして子どもと楽しんでみませんか。
例題1:旗の真ん中にある赤い丸は何を表しているでしょうか?
答え:太陽。
例題2:なぜ丸の周りは白色になっているのでしょうか?
答え:神様を大切にしようとする心をあらわす色だから。初詣にいったら、神社にも白い飾りがあったよね。
例題3:日本の国旗と似ている国はどこがあるだろう?
答え:大韓民国、バングラディシュ、パラオなど。
建国記念の日には、「いなばの白うさぎ」を絵本で読んでみよう
いなばの白うさぎは「人をだますことは悪いこと」だと子どもに伝えられるお話です。白うさぎが海を渡ろうとサメをだましたため、皮をはがされてしまうという物語。さまざまな作者によって絵本化されていますし、ストーリーも長くないので読みやすいはずです。子どもに読み聞かせてあげましょう。
まとめ
日本の神話、神武天皇の即位に由来する「建国記念の日」の意味は「建国をしのび、国を愛する心を養う」というものでした。四季のうつろいが美しく、食べ物もおいしい日本に生まれるのは、とても幸運なことかもしれません。
1年に1度、日本という国について子どもたちと学んだり、考えたりする日があっても良いのではないでしょうか。酸っぱくて美味しいブンタンを食べながら、子どもと絵本を読んでみるのがおすすめの過ごし方ですよ。
参考書籍・サイト
生方徹夫『誰かに話したくなる日本の祝日と歳時の由来』2021 モラロジー道徳教育財団. p.34-35