1・2歳はいろいろなモノにふれたり、おうちのかたの会話を聞いたりして、どんどん言葉を吸収していく時期です。「ママ」「ブーブー」など、お子さんが新しい言葉を発する度にうれしくなる半面、「いつまでも赤ちゃん言葉でいいのかな?」と心配になることもあるでしょう。
覚える言葉が爆発的に増える時期に大切にしたいことを、専門家にうかがいました。
<お話をうかがった先生>
今井むつみ先生
慶応義塾大学環境情報学部(SFC)教授。専門は認知・発達・言語心理学。著書は、子どもが言葉を獲得するプロセスについて書いた『ことばの発達の謎を解く』(筑摩書房)など多数。
語りかけの工夫次第で、言葉を獲得する力が伸びる!語りかけのコツは3つ!
1・2歳児は、おうちのかたの語りかけによって、さらに豊かな言葉を獲得できます。
語りかけのコツは3つ。ひとつ目は、子どもが感覚的に理解しやすい言葉を使うこと。オノマトペ(擬音語・擬態語)は、モノと言葉をつなげるのに最適です。
ふたつ目は、「甘い」「丸い」など、モノを理解するために必要な情報をプラスすること。モノに対する理解がより深まります。
最後は、多角的なインプットをすること。本物だけではなく、写真や絵を見ても「象」と理解する力が育ちます。
語りかけのコツ1 理解しづらい言葉をオノマトペに言い換える
「わんわん」と聞いて犬だとわかるように、オノマトペは子どもにとって、モノと言葉を感覚的に結びつけやすいツールです。特に、動詞の「たたく」や形容詞の「やわらかい」などは、子どもには理解しづらい言葉ですが、「トントン」「ふわふわ」というオノマトペに置き換えると、理解しやすくなります。
オノマトペは子どもにも発話しやすいため、お子さんが「ぴょんぴょん」などと言えば、「うさぎさんだね」と、おうちのかたにもわかりやすいでしょう。そのため、親子のコミュニケーションがさらに深まります。
「たいこをたたくよ!」→「たいこを【トントン】するよ」
「ぬいぐるみ、やわらかいね」→「ぬいぐるみ、【ふわふわ】しているね」
語りかけのコツ2 名前だけではない言葉をプラスする
子どもが言葉を覚えるときには、モノを見て一発で「象」などと覚えるのではなく、日々追加される情報を集めて頭の中で整理しながら、だんだんと「象」を理解します。
最初は「象=大きい動物」と思っていたのが、「鼻が長い」「パオーンと鳴く」などの情報が追加されることによって、日々「象」のイメージが更新されていき、それ以外の動物との区別がつきます。だからこそ、この時期は名前だけではなく、五感で感じることができる対象の特徴や鳴き声などの情報をプラスして伝えるといいでしょう。
・あまいねーシャリシャリ!
・パオーンって鳴くんだ!
・鼻が長いね!
・耳が長いね!ふわふわだね!
語りかけのコツ3 「本物」「写真」「絵」など多角的なインプットをする
象のイメージや言葉をよりよく理解できるように、子どもに本物を見せることはとてもよいことです。ただ、いつも本物や写真だけを見せていると、子どもにとっては複雑すぎて情報が多いため、記憶するのに負担がかかります。象の特徴がひと目でわかるシンプルな絵も、子どもが象を理解するためには必要なのです。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉