この子、どこの子、みんなの子。1人で育てようなんて思わないで、みんなで育てていけばいい。

2016/05/28


働く女性が抱える問題は関の山。
とくに、子どもを持った女性が社会で存分に働くために、解決しなければならない課題はまだまだたくさん!

例えば、子どもが小学校に入学すると、夜間まで延長保育があった保育園に対し、自治体の学童は預かり時間が短く、民間学童も地域によっては遅くまで預かってくれても利用料金が高額なものしかないなど、新たな問題が浮上するのです。


こうしたなか、子どもを持つ女性たちが安心して、胸を張って働ける環境をつくるため、動き出した人たちがいます。

子どもを、ママだけ、家庭の中だけで育てるのではなく、みんなで育てよう!という思いから、地域社会全体が“おかあさん”の役割を担うような、子どもたちの新しい居場所を作った2つの施設、「民間学童」「子ども食堂」を紹介します。
 


学童保育所「Anchor(アンカー)」
ある学童の指導員として働いていた松島希さんが「一人親家庭で生活が苦しかったり、近くに実家がなくて助けを求める人がいなかったり、最も学童を必要としている人たちが利用できない現状に疑問を持ち、学童保育を必要としているすべての家庭が、困ったときに困ったと言える場所をつくりたい」と始めた場所。


場所は商店街の端っこにあり、建物も小さな印刷所が入っていた事務所を、親たちが協力し合って無償で家具を集めたりして改装した“手作り”。

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「迎えが遅くなる」と親から連絡が入れば、向かいの魚屋さんに夕飯のおかずを調達したり、「日露戦争のことを知りたい」と子どもが言えば商店街の古本屋さんに聞きに行ったり・・・自然と地域みんなで子どもを見守る体制ができたと言います。

親同士がつながれるような行事も企画し、互いに悩みを打ち明け合い、支え合うことで、子どもがほかの親にも心を開いていく・・・。


「この子、どこの子、みんなの子。1人で育てようなんて思わないで、みんなで育てていけばいい。みんなで子ども達1人1人の成長を見守っていきたい」と松島さんは言います。

 


「ゆがふぅ子どもサロン」
夕食の無料サービスと学習の支援を行う「こども食堂」
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ホームレス支援で知られる沖縄のNPO法人「プロミスキーパーズ」が今年2月、沖縄市の中心部に開設しました。

必要最低限の生活を保つための収入が少ない人の割合「絶対貧困率」は2012年には37.5%、沖縄県は全国ワースト1位で、3世帯に1世帯は貧困という状況。


そんななか、親がいない、経済的な理由で夕ご飯が食べられない、親の心身の病気や家庭内での暴力で家に居るのがつらい状況にある子どもが少なくありません。

「プロミスキーパーズ」代表の山内昌良さんは「これまで支援してきたホームレスの多くが子ども時代に貧困や家庭内暴力を経験していることから、子どものケアの必要性を痛感した」と言います。


困っている子が来やすくするため、親子連れでもどんな子でも歓迎。子ども達は、学習支援をしている大学生や、リタイアした教員などの教育関係者とも、おしゃべりしながら食卓を囲んだり、ボランティアで改装工事にやってきたこわもてのお兄さんとも、気軽に話しかけます。

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「ごはんはおいしいし、子ども達はお友達とたくさん遊べるし、いろんな人がいて楽しい」と語る子ども連れのお母さんもいます。

 

さまざまな人たちと遊び、学び、交流し、安心してくつろげる場所。
家族じゃないけど大家族のような新しい居場所が誕生しましたが、目下の課題は、「今この瞬間にも家の中で試練にさらされている子に、いかにこの場所を知らせるか」だと山内さんは言います。


参照:『サンキュ!』5月号「うちの子どもはみんなが育てる」より一部抜粋 写真/キッチンミノル、久富健太郎(SPUTNIK)、取材/平井裕子、文/田谷峰子
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