「昭和の日」はいつ?その意味や由来、制定までの変遷をわかりやすく解説
2022/04/03
昭和の日は4月29日で、国民の祝日です。
この日は昭和天皇の誕生日なので、かつては国民の祝日「天皇誕生日」でした。その後、「みどりの日」を経て、現在の「昭和の日」になっています。
今回の記事では、昭和の日の意味や由来、制定までの変遷をご説明するとともに、「なぜ明治の日・大正の日はないの?」といった疑問にもお答えします。さらに、昭和の日の子どもとの過ごし方をご提案しますので、ぜひ参考にしてみてください。
昭和の日とは?意味や由来を解説
昭和の日とは、日本における国民の祝日の一つです。まずは、昭和の日の意味や由来などから解説していきます。
昭和の日はいつ?
昭和の日は、4月29日。ゴールデンウィークのはじまりの日でもあります。
かつては4月29日は「みどりの日」という名前の祝日でしたが、国民の祝日に関する法律(以下、祝日法)が改正されたことにより、2007年に「昭和の日」となりました。
昭和の日の意味・由来
昭和の日は、祝日法において「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日として定められています。
苦難を乗り越えて、急速な経済成長を成し遂げたのが、60年以上に及ぶ昭和の時代です。昭和の日は、激動の日々を振り返り、歴史の教訓をふまえて、平和な未来に繋げていくための日と言えます。
なぜ4月29日なのかと言うと、この日は昭和天皇の誕生日だからです。昭和天皇が崩御された1989年に「天皇誕生日」から「みどりの日」に変わり、2007年に現在の「昭和の日」となりました。
英語で説明するなら?
昭和の日は、英語で “ Showa Day ” と言います。
しかし、これだけでは海外の人には伝わらない可能性も。「昭和」は日本特有の元号なので、「昭和とは何なのか」も含めて説明すると伝わりやすくなります。
たとえば、次のように説明してみてはいかがでしょうか。
April 29th is Showa Day.
4月29日は昭和の日です
Showa Day is a national holiday in Japan, which honors the birthday of Emperor Showa.
昭和の日は日本の祝日で、昭和天皇の誕生日を敬う日です。
Showa is the name of the era from 1926 to 1989 when Emperor Hirohito was on the throne.
昭和とは、1926年から1989年までの、裕仁さまが天皇に在位されていた時代の名前です。
子どもに伝えるなら?
子どもに「昭和の日ってなに?」と聞かれたら、どのように答えれば良いでしょうか。小さな子どもでも分かるように、簡単な言葉でまとめてみました。
4月29日は「昭和の日」で、幼稚園・保育園はお休みだよ。
昭和の日は、昭和天皇のお誕生日なの。今は「令和」で、その前は「平成」、もう一つ前の時代が「昭和」っていうんだよ。おじいちゃん・おばあちゃん(もしくは、お父さん・お母さん)が生まれたのも昭和だね。
昭和の時代には、国と国の喧嘩があって、たくさんの人が大切な家族や友達をなくして悲しい思いをしたの。でも戦争が終わってからは、幸せに暮らしていくために一生懸命勉強したり、みんなで力を合わせて新しい発明をしたりしたんだよ。
たとえば、テレビや冷蔵庫をみんなが使うようになったのも昭和の時代のこと。私たちが今、便利で幸せな暮らしができるのは、昭和の時代に頑張ってくれた人のおかげだね。
4月29日は何の日?祝日の変遷
続いて、4月29日が昭和の日になるまでの変遷をご紹介します。
4月29日は100年近くにわたって祝日として親しまれていますが、既にお伝えしたように、はじめから昭和の日だったわけではありません。これまでに名前が3回も変わっているのです。
天長節(1927年~1948年)
4月29日が祝日となったのは、昭和のはじまりである1927年のことです。
1926年12月25日に大正天皇が崩御されたため、翌年からは昭和天皇の誕生日である4月29日が祝日となりました。
当時、天皇誕生日は「天長節」と呼ばれていました。起源は奈良時代にさかのぼり、775年に光仁天皇の誕生日をお祝いしたことがはじまりです。老子の言葉「天長地久」が由来で、天地が永久に尽きないように、物事がいつまでも変わることなく続くことを意味しているのだそう。
天皇誕生日(1949年~1988年)
戦後の1948年7月には現在の祝日法が制定され、祝日の名称が「天長節」から「天皇誕生日」に改められました。
新たに祝日法が制定されたのは、1947年に日本国憲法が施行されたことから、新憲法の精神に基づいて祝日を再検討すべきと考えられたためです。祝日の制定にあたっては世論調査を行い、「祝日としてふさわしい」という声が大きかった天皇誕生日は祝日として残りました。
そして、1989年1月7日に昭和天皇が崩御されると、上皇さまの誕生日である12月23日が天皇誕生日になりました。
みどりの日(1989年~2006年)
昭和天皇が崩御された後、4月29日は名称を「みどりの日」に変えて、祝日のままとなりました。
なぜ祝日のまま残されたのかというと、ゴールデンウィークとして親しまれてきた祝日を廃止すると、国民生活への影響が懸念されたためです。
植物に造詣が深かった昭和天皇にちなんで「みどりの日」と名付けられ、「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」ことを趣旨とした祝日になりました。
昭和の日(2007年~現在)
2007年には祝日法が改正され、4月29日は「昭和の日」と呼ばれる新たな祝日となりました。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」ことを趣旨とし、現在も祝日として存続しています。
なお、昭和の日の制定に伴い、みどりの日は5月4日に移動しました。
なぜ「明治の日」「大正の日」「平成の日」はないの?
昭和の日は、元号の名前が付く唯一の祝日です。つまり「明治の日」「大正の日」「平成の日」はありません。
歴代天皇の誕生日が、現在どのような扱いになっているのかについて、その理由とともに解説します。
明治天皇の誕生日は「文化の日」
明治天皇の誕生日は11月3日で、現在は国民の祝日「文化の日」となっています。
1912年に明治天皇が崩御された後、11月3日は祝日ではなくなりました。しかし、「近代日本の礎を築かれた明治天皇の功績を後世に伝えたい」という国民の声が大きく、1927年に「明治節」として再び祝日に定められたのです。
そして1948年の祝日法制定時に、名称を「文化の日」に改正。1946年11月3日に日本国憲法が公布されたことを記念する日として位置付けられていますが、実際は憲法公布日を明治節に合わせたと考えられています。
大正天皇の誕生日は祝日ではない
大正天皇の誕生日は8月31日で、現在は祝日ではありません。
「明治天皇や昭和天皇の誕生日は祝日なのに、なぜ大正の日はないの?」と考える方もいるかもしれませんが、天皇誕生日は本来、天皇陛下が崩御された後は祝日ではなくなるもの。新たに即位された天皇の誕生日が、新たな祝日「天皇誕生日」となるためです。
明治天皇や昭和天皇の誕生日は、それぞれ特有の背景があり、例外的に祝日として残されたと理解しておきましょう。
上皇さまの誕生日は祝日ではない
平成の天皇である上皇陛下の誕生日は12月23日。天皇を退位された2019年以降は、祝日ではなくなっています。
12月23日を祝日として残すか否かについては、政府関係者や有識者の間でさまざまな議論がありましたが、ご存命の上皇陛下の誕生日を祝日にするのは「二重権威」とも映りかねないため、当面の間は平日とすることになりました。
将来的に祝日になる可能性もありますが、政府は「国民各層の幅広い議論が必要」との見解を示しています。
昭和の日は何をする?子どもとの過ごし方
最後に、昭和の日の子どもとの過ごし方をご提案します。
アイデア① 絵本を通して昭和の時代を知る
子どもたちに昭和の時代について伝えるには、絵本がおすすめです。
今や、お父さんやお母さんはもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんですら戦争を経験していない世代がほとんどになりました。子どもへ絵本の読み聞かせをすることは、大人も一緒に昭和の時代について考えるきっかけにもなります。
たとえば、次のような絵本はいかがでしょうか。
アイデア② 昭和の遊びに挑戦してみる
昭和の日にはゲームやスマートフォンから離れて、昔ながらの昭和の遊びに挑戦してみませんか?
家の中で遊ぶなら、お手玉やおはじき、メンコなどがおすすめ。メンコは、折り紙や牛乳パックなど、家であるもので作れるので気軽に始められますね。
外で遊ぶなら、竹とんぼや竹馬、竹ぽっくり(缶ぽっくり)などの、竹を使った遊びが定番です。大人数で遊ぶなら、かごめかごめ、花いちもんめ、ゴム飛び、缶けりが盛り上がりますよ。
アイデア③ おじいちゃん・おばあちゃんの話を聞く
昭和の日は「昭和の時代を振り返る日」なので、おじいちゃんやおばあちゃんなど、昭和の時代を知る人たちに当時の様子を聞いてみてはいかがでしょうか。
「どんな遊びをしていたの?」「幼稚園や学校は今と違う?」「好きだった給食は何だった?」のように、子どもたちからのインタビュー形式にしてみると、盛り上がること間違いなし。子どもたちの身近なもの・ことと比較してみると、イメージしやすくなるのでおすすめです。
まとめ
昭和の日は4月29日で、昭和天皇の誕生日です。これまで「天長節」「天皇誕生日」「みどりの日」と名称を変えつつも、100年近くにわたって祝日として親しまれてきました。
単なる「ゴールデンウィークの初日」というイメージが強いかもしれませんが、その意味や由来、制定の背景を理解しておくことは、とても大切なことです。
昭和の時代を知らない世代が増えてきているので、いま一度立ち止まって当時のことを振り返り、明るく平和な未来へと繋げていきたいですね。