「白露」とは?2022年はいつ?意味や使い方から旬の食べ物まで
2022/01/24
白露(はくろ)とは、夜間の気温が下がり、草花や木に朝露が宿り始める時期のこと。
2020年・2021年は、9月7日に白露を迎えました。2022年は9月8日です。
季節を表す二十四節気のひとつで、俳句の季語としても使われる言葉です。
秋刀魚やかぼちゃがおいしい時期として、ご存じの方も多いかもしれません。
今回は、白露の具体的な期間や意味だけでなく、季語としての使い方やこの時期に楽しめる食べ物・植物などを紹介します。
白露はいつ?
国立天文台の発表によると、2020年〜2022年における白露の期間は以下のとおりです。
2020年9月7日(月)
2021年9月7日(火)
2022年9月8日(木)
白露は毎年決まった日に訪れるわけではありません。白露は太陽の動きによって決められるため、1日程度前後することがあるからです。
また、白露とは特定の日を指すだけでなく、白露が始まってから秋分の前日までの期間を「白露」ということもあります。
白露の時期は日中の暑さが少しずつ和らぎ、昼夜の寒暖差が大きくなり始めるため、体調管理に気をつけたいですね。
白露は二十四節気の一つ
白露は、季節を表す言葉として用いられる二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつです。
二十四節気とは、中国で古くから使われる暦のこと。1年を春夏秋冬の4つに分けて、さらにそれぞれを6分割して合計24の季節にしたものです。
一般的に広く認知されている夏至や冬至なども、この二十四節気のひとつ。
白露は、秋のなかでは3番目・全体では15番目の季節となっています。
白露の意味・由来
白露には「草の葉に白い露がつき始める」といった意味があります。草花や木に、朝露が宿る様子を形容する言葉として名付けられたのでしょう。
しかし、なかには冬を連想する「白」という単語に違和感を覚えた方もいるかもしれません。これは中国の自然哲学「陰陽五行説」に由来しており、同哲学では秋を表す言葉として「白」を用いることから「白」露となっています。
ちなみに、春は青色・夏は赤色・冬は黒色が、それぞれの季節を表します。
白露を子どもに伝えるなら
白露について子どもに聞かれたら、次のように答えてみましょう。
「朝と夜の気温がぐっと下がって、花や草に小さなお水の粒がつく季節だよ。毎年だいたい9月7日〜22日頃のことで、もうすぐ秋がくるっていうお知らせなんだ。かぼちゃや梨がとってもおいしい季節だよ。」
白露は英語でなんという?
白露は英語で「White dew」といいます。
露は英語で「dew」と表されるため、白を意味する「white」と合わせてこのようになっています。
ただ「白い露」だけでは何のことだか分かりづらいため、白露を「秋が始まる季節」として
The season when autumn begins
と表現してもよいかもしれません。
白露と七十二候
七十二候(しちじゅうにこう)は、二十四節気の各季節をさらに3つずつに分けて、合計72の季節にしたものです。各節気は、約5日×3つの季節に分けられます。
白露の七十二候は、以下の3つです。
草露白(くさのつゆしろし)
白露が始まった直後の9月7日〜9月11日頃は「草露白」といいます。草花の上に涼しげな朝露が見られる頃で、秋への移り変わりを感じ始める季節です。
この時期には雨が降ることも多いため、植物や蜘蛛の巣などの上でキラキラと輝く露をみることができます。天気がよいときには、ぜひ子どもと一緒に外を歩いてみてくださいね。
鶺鴒鳴(せきれいなく)
白露の次候は、9月12日〜9月16日頃の「鶺鴒鳴」です。この時期には、主に川の上流付近で見られるセキレイの甲高い声が聞こえます。
ちなみに、秋にはセキレイ以外にも多くの鳥たちが鳴いています。七十二候の名称にも使われているセキレイは、秋を代表する鳥といえるかもしれません。
玄鳥去(つばめさる)
9月17日〜9月21日頃は「玄鳥去」と呼ばれます。名称のとおり、春先に日本に来たツバメが、暖かい南の地域へ帰っていく季節です。
身近な鳥と考えている人もいるかもしれませんが、じつは昔と比べてツバメの数は減少したと言われています。ツバメの声が聞こえたら、子どもと一緒にその姿を探してみてはいかがでしょうか。
季語や季節のあいさつとしての「白露」
白露は、季語や季節のあいさつとしても活用されます。具体例を交えて紹介しますので、日常生活での使い方について理解しておきましょう。
白露は俳句の季語としても使える
白露を季語として用いた有名な句を紹介します。
「白露や 茨の刺に ひとつづつ」(与謝蕪村)
「白露も こぼさぬ萩の うねりかな」(松尾芭蕉)
「白露や うしろむきなる 月見草」(川端茅舍)
とくに、朝の庭に露が宿るさまを表現した与謝蕪村の句は有名です。
秋が深まり、茨に近づくと、棘の一つひとつに露が輝いていたさまを表現しています。
「白露の候」の使い方
白露を用いた有名な季節のあいさつとして「白露の候」があります。手紙やビジネス文でも使われる言葉なので、認識している方は多いでしょう。
白露の候の使い方には、次のようなものがあります。
「白露の候、秋の気配を感じる頃となりましたが、いかがお過ごしですか?」(知人への手紙)
「白露の候、◯◯様におかれましては、益々ご活躍のことと存じます。」(目上の方への手紙)
「白露の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」(ビジネス文)
なお「白露の候」が使えるのは、白露から次の二十四節気である秋分までの期間です。具体的には、9月7日〜22日頃が目安となります。
残暑見舞いは白露の前日まで
残暑見舞いを送る適切な時期は、立秋から白露の前日までです。2022年の場合は、8月7日〜9月7日までが適切な期間です。できるだけ8月中に送るのがよいですが、遅くとも白露の前日までに出しましょう。
ちなみに、立秋以前に相手に届くものは暑中見舞いとなります。立秋の終わりの時期に対応する場合は、残暑見舞いとして送ることも検討してみてくださいね。
白露の頃に旬を迎える食べ物
白露の時期(9月7日〜22日頃)に旬を迎える食べ物を3つ紹介します。
梨
8月〜10月に旬を迎える梨は、白露の時期におすすめのフルーツです。
カロリーが低いため、秋には食後のデザートとして最適です。甘みが強い品種として有名な「幸水」以外にもさまざまな種類があります。スーパーで見慣れない梨の名前を見かけた際にはぜひ試してみてはいかがでしょうか。
アワビ
アワビは、海水の温度が約20度になる頃に産卵期を迎えます。そのため、栄養をたっぷりと蓄えた産卵期前の7月〜9月がアワビの旬です。
アワビは日本書紀や古事記にも登場し、縁起物の象徴として古くから知られてきました。しかし、地球温暖化や環境破壊などの影響により、近年では漁獲量が減少しています。
コリコリとした独特の食感は「貝の王様」ともいわれるアワビならではです。旬のアワビはビタミンが豊富で栄養価も高いので、白露の時期にはぜひ召し上がってみてくださいね。
かぼちゃ
毎年8月から取引量が増えるかぼちゃは、栄養価が高くお腹も十分に満たしてくれる野菜です。長期保存でき、煮物や揚げ物・スープなどさまざまな食べ方があるので、秋には重宝している方が多いでしょう。
プリンやケーキなどのデザートにも使えるので、白露の時期にはおいしいかぼちゃをとことん楽しみましょう。
白露の季節に楽しめる花・植物
白露の時期に楽しめる花や植物を3つ紹介します。
ツユクサ
ツユクサは、一般的に鮮やかな青色の花びらが咲く植物です。小さな白色の花びらや、計4本ある黄色の雄しべも目立ちます。6月〜9月までと長期間に渡って開花するので、見たことがない方のほうが少ないかもしれません。
ただ、ツユクサは一日花であり、早朝に咲いた花は午後にはしぼんでしまいます。もし散策中に見かけたら、花の様子をじっくり見てみるとよいでしょう。
ミズヒキ
ミズヒキは、線のように細長い茎に赤と白の小さな花を咲かせる植物です。祝儀袋などに使われる「水引」に見た目が似ていることから、この名前が付けられました。
林の中や木陰などの目立たない場所に生えるため、ツユクサと比べるとあまり馴染みがないかもしれません。北海道から沖縄までの広い地域で見られる花なので、子どもと外を歩く際には意識してみるとよいでしょう。
ヒガンバナ
ヒガンバナは9月に開花時期を迎え、茎の先に多くは赤い花をつけます。球根にリコリンというアルカロイド系の毒を含んでおり、もぐらやネズミなどから先祖を守るために墓地の近くに植えられたといわれています。
ヒガンバナを家に持ち帰り、子どもが誤って触ってしまうとかぶれてしまう可能性があります。トラブルを防止するためにも、ヒガンバナの取り扱いには十分注意しましょう。
白露の時期に行う風習
季節の移り変わりを楽しめるように、白露の風習を紹介します。
中秋の名月
中秋の名月とは、旧暦8月15日の夜にお月見をする風習です。旧暦では7月〜9月を秋と定めており、3ヶ月の真ん中の日にあたる8月15日を「中秋」と呼びました。
現在の暦では、秋分の日(9月23日頃)以前で一番近い新月の日から数えて、15日目を中秋にすると決められています。ゆえに、おおむね9月〜10月が中秋の日となり、年によっては「白露」と「中秋の名月」が同じ日になることがあります。
2022年の中秋の名月は、9月10日です。古くからのしきたりを大切に引き継ぐためにも、中秋の名月にはお月見をしたり、お供えものを飾ったりしましょう。
重陽の節句
重陽の節句(9月9日)は、日本の四季を彩る五節句のひとつです。五節句は中国から伝わったしきたりで、奇数が重なる日をめでたい日とする考え方のこと。重陽の節句のほかには、端午の節句(5月5日)や七夕の節句(7月7日)などがあります。
「菊の節句」や「栗の節句」とも呼ばれる重陽の節句では、菊の花を浮かべたお酒を飲んだり栗ご飯を食べたりして、不老長寿や無病息災を願います。中秋の名月とは異なり日にちが決まっているので、定番の行事として取り入れてみてはいかがでしょうか。
子どもと楽しむ白露の過ごし方
白露の時期に、子どもとどんな過ごし方をしたらよいか気になる方もいるでしょう。そんな方に向けて、おすすめの過ごし方を3つ紹介します。
旬の食べ物を楽しむ
旬の食材を使ったご飯は、栄養価が高くおいしさもひとしおです。価格もほかの時期より下がりやすいので、家計にも優しいです。白露の時期では、梨やアワビ・かぼちゃがとくにおいしく食べられます。秋刀魚や栗、きのこ類も旬を迎えるので、子どもと一緒に思う存分楽しみましょう。
外に出かけて季節を感じる
外出して草花の様子を見たり、秋の空気を味わったりすると、季節の移り変わりを感じられます。白露の時期では、早朝に散歩をすると草花に朝露が宿る様子を見られるはずです。またツユクサやミズヒキなど、この時期に楽しめる植物にも出会えるでしょう。
お月見をする
1年のなかでも、秋は月が美しい季節として知られています。中秋の日に満月を見たら、子どももうっとりした表情を浮かべるかもしれません。
月見団子やこの時期に旬を迎える野菜を食べたり、ススキをお供えしたりしながら、日本の行事を楽しく子どもに伝えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
秋の訪れを感じさせる白露。草花の上に宿る朝露や、夜空に浮かぶ月のきれいさを楽しめる素晴らしい季節です。意味や由来・旬を迎える食べ物などを知って、子どもと一緒に貴重な季節を楽しみましょう。