「立冬」とは?2021年はいつ?食べ物・花・挨拶から冬至との違いまで解説
2021/11/16
立冬は冬が始まる日。2021年も2022年も11月7日が立冬です。立「冬」といっても、11月上旬はまだ暖かい日も多く、冬を感じることは少ないかもしれません。
今回は立冬の時期ならではの食べ物や花、挨拶などを解説します。これを読んで、立冬という季節をもっと楽しんでみませんか?
立冬はいつ?
立冬は国立天文台の発表により毎年日にちが変わります。
2020年11月7日(土)
2021年11月7日(日)
2022年11月7日(月)
ここ3年は毎年11月7日が立冬。例年11月7日~8日に立冬を迎えるのが一般的です。
立冬は1年間(365日)を24の季節に分けて表す二十四節気の1つ。このため、約15日間の季節を表す言葉でもあります。「立冬」は、立冬に入った1日目を指すことが多いのですが、期間でいうと、11月7日~21日頃の15日間を指します。
立冬とは?
立冬は二十四節気の暦の1つで、立春から数えて19番目。二十四節気では太陽の動きに合わせて「春分・夏至・秋分・冬至」と1年間を4つに分け、さらにその4つの季節を6つに分けています。立冬は太陽の黄経が225度に達する日です。
立冬は「冬が立つ」と書きます。「立」には「始まる」という意味があり、立冬は冬が始まる日だといえます。
立冬なのに「冬」じゃないのはなぜ?
凍えるような寒さではない11月に、立冬がやってくるのはなぜなのでしょうか?この理由は、二十四節気が中国の黄河中流域付近で作られた暦だということにあります。中国の暦をそのまま日本で用いているため、季節感の合わない点が多くあるのです。
立冬に限らず、二十四節気を紹介するときに「暦の上では〇〇ですが」といった枕詞が使われることが多いのはこのためです。
ただし、立冬が日本の季節とかけ離れているかといえば、そういうわけではありません。「木枯らし」と呼ばれる北風は、この時期に吹くことが多いからです。冬型の気圧配置になり、北寄りの風が風速8m以上で吹いたときに認定される「木枯らし1号」も、立冬の時期によくニュースになります。
立冬を子どもに伝えるなら
立冬を子どもにわかりやすく説明するなら、次のように話してみてはいかがでしょうか?
「立冬は冬が始まる日なんだよ。まだ寒くないけれど、これからどんどん寒くなるから、風邪に注意しようね」
立冬は英語で何という?
立冬は中国や日本で用いられる暦なので、そのまま英語で表現する言葉はありません。立冬を英語で説明すると、以下のようになります。
the first day of winter
冬の最初の日
the beginning of winter
冬のはじめ
立冬と冬至、七十二候との関係
立冬のほかに、冬を表す暦として「冬至」という言葉をよく耳にするでしょう。どちらも二十四節気の1つですが、二十四節気をさらに細かくした「七十二候」という暦もよく日本で親しまれています。
立冬と冬至の関係性や、立冬の時期の七十二候について詳しく解説していきます。
立冬と冬至の違い
立冬も冬至も二十四節気の1つ。立春から数えて19番目が立冬で、冬至は22番目。1つの節気が約15日間なので、冬至は立冬の約45日後にあたる12月21日~22日にやってきます。
冬至の時期は、冬真っ盛りで寒い季節。このため、立冬よりも「冬」を実感する方が多いはずです。冬至には柚子風呂に入ったりカボチャを食べたりといった有名な風習もあります。
立冬と七十二候
1年を72に分けた七十二候では、二十四節気の1節気を3つに分けます。立冬の約15日間を七十二候で表現すると以下の通りです。
山茶始開(つばきはじめてひらく)
11月7日からの5日間は、「山茶始開」という季節。「つばき」とありますが、ここでは山茶花(さざんか)のことを表しています。山茶花が咲き始める時期という意味です。
地始凍(ちはじめてこおる)
11月12日からの5日間は「地始凍」です。この時期に大地が凍り始めることを表しています。アスファルトの道路ではあまり見られませんが、あぜ道などでは霜柱を踏みしめられる季節。サクサクと踏みしめる感覚を子どもにも味わってもらいたいですね。
金盞香(きんせんかさく)
11月17日からの5日間は「金盞香」。「きんせんかさく」=「キンセンカ咲く」と、金盞花(きんせんか)という花を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ここでは水仙という花を指します。昔の人は水仙の花の内側にある黄色く丸い部分を「金の盃(さかずき)」に見立て、水仙が咲き始める季節だと表現しました。水仙には「金盞銀台(きんせんぎんだい)」という異名もあります。
立冬の頃に楽しめる食べ物
「立冬にはこれを食べる」といった慣わしはありません。立冬の時期に旬を迎える食べ物をご紹介します。
りんご
スーパーなどで年中見かけるりんご。品種によって異なりますが、一般的に立冬の時期に旬を迎えます。食物繊維やビタミンCが豊富に含まれているりんごを食べて、厳しくなる寒さに打ち勝つ身体を作りたいですね。
新そば
立冬を迎えた11月頃、ソバの実は収穫の時期を迎えます。この時期のソバは香りが高く風味が強いのが特徴。この季節だけ食べられる新そばをぜひ味わってみてください。
牡蠣
三陸地方(宮城県)のマガキの収穫は、11月から始まります。この時期の牡蠣は生食用として広く流通するので、牡蠣鍋はもちろん、レモンを絞っただけで牡蠣をいただくことも可能です!
立冬の季節に咲く花・植物
立冬に見頃を迎える花や植物をご紹介します。
サザンカ
サザンカは立冬期間の七十二候の名前の由来になった花。七十二候では「つばき」と表現されていますが、10月~12月に開花するサザンカのことを指しています。庭木としてよく用いられていて、白やピンクの花は可憐です。
ヒイラギ
ヒイラギはクリスマスや節分の飾りとして使われるので、冬の植物というイメージが強いかもしれません。葉のまわりにあるのこぎり状のトゲが特徴的ですが、立冬の頃には白くて小さな花を咲かせます。花からはキンモクセイに似た香りが漂いますよ。
スイセン
スイセンは七十二候の「金盞香(きんせんかさく)」の由来の花です。花の中心が飛び出ているのが特徴で、白や黄色以外にもピンクや緑、オレンジなど、色とりどりの花が咲きます。系統によって開花時期が異なり、早いものでは11月中・下旬から開花します。
「立冬の候」とは?いつまで使える?
季節の挨拶の冒頭で「〇〇の候」と書かれていることがあります。〇〇に二十四節気などの暦名を入れると、そのまま季節の挨拶として使える便利な言葉です。立冬の場合には「立冬の候」と書いて使います。
「立冬の候」の使い方
「立冬の候」は「立冬でございますね」といった意味。一般的には挨拶の冒頭に使います。立冬である11月7日~21日頃に使える季節の挨拶です。
「立冬の候」を使った例文
実際に「立冬の候」を使った例文をご紹介します。
「立冬の候 いかがお過ごしでしょうか?」
「立冬の候 朝晩に肌寒さを感じるようになりました」
子どもと楽しむ立冬の過ごし方
冬の始まりといっても、まだ暖かい日が多い立冬。子どもと一緒に季節を実感するのにおすすめの過ごし方やイベントをご紹介します。
「亥の子の日」に暖房器具を出そう
立冬に近い「亥の子の日」には、昔から「こたつ開き」をする風習があります。「亥の子の日」とは、「亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日」です。「亥」は、十二支の一つであるイノシシのことで、昔は、月や日も十二支を使って表していました。2021年は11月11日にあたります。
「亥」は陰陽五行説で「水」にあたり、亥の子の日にこたつを出すと火事が起きないという言い伝えがあるのです。
こたつだけでなく、ストーブなどの暖房器具を出すのにぴったりな日。子どもと一緒に暖房器具を出してみてはいかがでしょうか?
「酉の市」に行ってみよう
立冬の時期に行われるイベントで有名なのが「酉の市」です。関東地方を中心に、日本各地にある「大鳥神社」(大鷲神社・鷲神社)で11月の酉の日に行われます。
秋の収穫を願って江戸時代に始められたお祭りですが、開運招福や商売繁盛を願うお祭りとして定着しました。酉の市では縁起熊手の屋台がたくさん並びます。毎年一回りずつ大きくしていくと幸運をかき集めることができるといわれているので、初めて購入する際は小さめなサイズにしましょう。
子どもの大イベント:七五三
立冬の頃に行う子どもの大イベントといえば、七五三ですね。七五三は子どもの成長を感謝するために氏神様に挨拶をするというイベントです。3歳(男女どちらも)・5歳(男の子)・7歳(女の子)の該当する子どもがいる家庭では、衣装決めや写真撮影、お祝いの食事会などさまざまな計画を立てているのではないでしょうか?
七五三のお参りは11月15日とされていますが、当日は参拝客で混み合います。この日にこだわらず、子どもや家族の都合に合わせて日取りを決めるのがおすすめです。
海外では立冬に何をする?
二十四節気が生まれた中国では、立冬の日に特別な食べ物を食べる習慣があります。中国南部では肉や魚を食べ、北京や天津など中国北部では餃子を食べるのが一般的。中国北部で餃子を食べるようになったのは次のような理由があります。
立冬の頃、中国北部は日本とは異なりすでに寒い時期。中国北部の冬は寒さが厳しく、風邪などの病気やしもやけなどに悩まされる人が多いのです。外気にさらされる耳はとくに凍傷になりやすい場所。耳と似た形をした餃子を食べることで、冬の間家族の耳を守ろうと、立冬に餃子を食べる習慣が生まれたのです。
まとめ
立冬は冬が始まる日。11月上旬で暖かい日もあるため、あまり実感がわかない人も多いでしょう。冬至と異なり立冬ならではの慣習はあまりありませんが、咲き始める花を楽しんだり旬の食材をいただいたりと、さまざまな楽しみがある時期です。子どもと一緒に立冬という季節を感じながら、冬支度を始めてみてはいかがでしょうか?