布マスクの正しい洗い方・手順は?使い捨てマスクの再利用は可能?全国マスク工業会に聞いた
2020/04/26
新型コロナの感染拡大に伴い、長らく続いてるマスク不足。そんななか、政府による布マスクの配布(1世帯につき2枚ずつ)がスタートしました。布マスクのメリットとは、なんと言っても洗って再利用できること。
しかし、布マスクを洗った経験がある人は多くないでしょうし、正しい洗い方というのもよくわからないはず。また、使い捨ての不織布タイプのマスクを消毒などして再利用できないか?と考えている方もいるでしょう。
そこで今回、家庭用・医療用マスクの製造、販売業者や、輸入業者から構成された団体「全国マスク工業会」に、不織布タイプのマスクを再利用する是非や、布製マスクの洗い方などについてメール取材を行いました。
布マスクを洗う際に注意すべき点は?
政府による一斉配布もあって、今後利用する人が急増するであろう布マスク。洗浄してくり返し使うことが前提となりますが、ふつうに洗濯機などで洗っていいものなのでしょうか。
全国マスク工業会からの回答は「同封されている洗い方が参考になります」としたうえで、布マスクを洗う際には以下の点をとくに注意したほうがよいとのことでした。
・もみ洗いではなく、軽く押し洗い
・十分なすすぎを行う
・乾燥機は使わず、陰干しで自然乾燥
・柔軟剤の使用は避ける
布マスクの洗い方解説、花王の衛生科学情報サイトや経済産業省のYouTubeでも
また、ご存知の方も多いかもしれませんが、布マスクの洗い方については花王の衛生科学情報サイトでも詳しく解説されています。その手順は以下の5ステップ。
1.標準濃度の衣料用洗剤(使用量の目安に従って洗剤を水に溶かしたもの)に
マスクを10分ひたし、水道水でためすすぎをしたあと、マスクの水気をきる。
2.塩素系漂白剤15mlを水1Lに溶かして、マスクを10分ひたす。
3.水道水を用い充分にすすぐ。
4.清潔なタオルに挟んで水分を吸い取る。
5.形を整えて干す。
引用元:外で使用していたマスクのケア ~マスク(布)の洗い方~/花王 衛生科学情報
同サイトには「炊事用手袋を使用する」といった複数の注意点も書かれているので、洗う際には合わせて確認するようにしましょう。
また、経済産業省の公式Youtubeチャンネルでは、布マスクの洗い方解説動画が公開中。動画の最後では「洗濯で縮んでも 品質に影響なし」「1日1回洗濯する」など、布マスクの利用に関するポイントも紹介されています。
不織布タイプの再利用は可能なのか?
全国マスク工業会が所属する一般社団法人 日本衛生材料工業連合会のホームページに記載されている内容によれば、家庭用マスクはフィルター部分の素材により「ガーゼタイプ」と「不織布タイプ」の2種類にわけられるそうです。
ガーゼタイプは「主に綿織物を重ね合わせたマスク」で、最近は内部に特殊なフィルタを縫い込んで、花粉などの通過を防ぐようにした仕様のものもあるそうです。
一方、不織布タイプは「複数の原料を組み合わせることで、厚みや空隙を自由に調整できるのが特徴」というもので、使い切りを前提にしたものが中心とのこと。また、医療用マスクの素材としても一般的に使われているそうです。
医療用マスクの素材としても一般的に使われている……ということで、安心感がある不織布タイプ。しかし、前述のとおり同素材のマスクは使い切りが前提です。消毒などをして再利用することはできないのでしょうか?
全国マスク工業会の見解は、結論から言えば“不織布タイプの再利用は推奨できない”でした。
不織布マスクを“洗う”消毒はフィルターにダメージ
「どのような方法で消毒するかにもよりますが、例えば、洗って繰り返し使える表記がないマスクを、洗うことによって消毒するのはお勧めできません。
不織布マスクは目の細かさ以上に、中間層に使用されているフィルターの効果によってさまざまな遮蔽効果を実現しています。このフィルターは、一般に「静電加工」という静電気によって飛沫や花粉を捕集し、取り込んでおく機能があるフィルターです。
このフィルターは洗うことによって捕集機能を無くしますので、洗った使い捨て不織布マスクは、購入時に比べて大きく機能が落ちることとなりますので、洗う事はお勧めしておりません」(全国マスク工業会)
“洗うことによる消毒”はフィルター機能の低下を招くため、推奨できないとのことでした。では、洗わない消毒――たとえば消毒(除菌)液をスプレーするなどはどうなのでしょうか。
「消毒(除菌)液を不織布マスクに使用することも、一般的には推奨しておりません。静電加工された一般的なフィルターや特に抗菌材、活性炭などを含む素材の機能に影響を与える可能性があるためです。また、マスク専用を謳った消毒(除菌)スプレーなどを利用する際は、注意事項をご覧のうえ利用判断をしたほうがよいでしょう」(同上)
洗うにしろ、スプレーするにしろ、いずれにしてもフィルターへの影響は避けられないようです。
なお、マスクの消毒と言えば、台湾のデジタル担当政務委員である唐鳳(オードリー・タン)氏がTwitterで公開した“電鍋”を使った方法が話題になりました。
消毒のために必要な電鍋が日本では一般的ではないため実践するのは難しいかもしれませんが、洗うわけでもなくスプレーするわけでもない方法となっています(※)。唐鳳氏による消毒方法の解説Twitterは日本語で書かれているので、興味がある方はチェックしてみてください。
💁 同僚の @urakagi が翻訳と吹き替えを担当してくれました。日本の皆さんのお役に立てれば幸いです。
— Audrey Tang 唐鳳 (@audreyt) April 1, 2020
ℹ️ 注意:この方法が使えるのは、破損していなくて汚れてもいない、室外または感染リスクの低い場所で使用されたサージカルマスクのみです。また、本消毒法は 3~5 回が限界です。 pic.twitter.com/HIVVvZEErB
※この消毒方法に関して、全国マスク工業会は「私どもには、回答できる電鍋の情報がございません。また不織布マスクの機能を損なわないように殺菌する方法についても情報を持っておりません」とのことです。
まとめ
いまや生活必需品とも言えるマスク。とくに布マスクについては、効果的に使うために正しいケア方法を理解しておくことが重要でしょう。今回ご紹介した情報などを参考に、ぜひ適切な使い方をしてください。
編集/サンキュ!編集部