臨床心理士に聞く!年中さん4つのストレスサイン&対処法
2022/02/15
年中さんは、幼児期で最もストレスを感じやすい時期と言われています。それはいったいどうしてなのか、そしてストレスサインからおうちのかたの関わり方をご紹介します。
ストレスを感じやすい年中さん。でもそれは自主性の発達の証でもあります
「最近、けんかが多くて…」「うちの子、何を考えているのかわからない」。年中さんは、おうちのかたからこんな声がよく聞かれる時期なんです。それは、自主性が発達し、感情が複雑になってきているものの、それをうまく言葉や行動に表すことが難しいから。友だちとのトラブルも増えるため、幼児期で最もストレスを感じやすくなるんですね。
ストレスを感じている場合は、何らかのサインを出しているもの。おうちのかたがそのサインに気づいて適切に対処すれば、お子さんはストレスを乗り越え、将来必要なストレス耐性を身につけていくことができるのです。
こんなストレスサインはある? 臨床心理士に聞く症状別の対処法
ストレスの表れ方はお子さんによってさまざま。症状が違えば、最適な対処法も違います。実際に多くの親子に接してきた臨床心理士の帆足暁子(ほあしあきこ)先生に、症状別の対処法について聞いてみました。
<お話をうかがった先生>
帆足暁子(ほあしあきこ)先生
一般社団法人親と子どもの臨床支援センター代表理事。公認心理師。臨床心理士。保育士資格・幼稚園教諭の免許をもつ。 「0・1・2歳児 愛着関係をはぐくむ保育」(学研)、共著に『育てにくさをもつ子どもたちのホームケア』(診断と治療社)。
情緒不安定(ちょっとしたことで泣く、怒る、はしゃぐなど、感情の振幅が大きい)
ストレスを感じると、多くの場合、子どもは情緒不安定になります。添い寝や一緒に入浴する、登園前・降園後に抱っこの習慣をつくるなど、たっぷりスキンシップをとって安心させましょう。親子で過ごす時間は、一番安心感を生むもの。また、弟や妹が生まれたときのおすすめは、お手伝いを任せること。人の役に立てる体験から自信を取り戻し、情緒が安定しやすくなります。
爪かみ・指しゃぶり
寝る前だけなど場面が限られていれば心配ないけれど、日中ずっと続く場合不安が強いことの表れなので要注意。おしゃべりや手遊びを楽しみ、安心させましょう。やめさせるため、指に塩を塗るなどの強硬手段は、表面的な対処療法でしかないのでおすすめできません。
言動が乱暴(家族への対応やものの扱いが乱暴になる)
突然乱暴な言動をとるようになったら、それはストレスサインかも。「バカ」など人を傷つける言葉を言ったら、「誰かにそう言われたの?」などと理由を聞いてみましょう。言われていやな印象を受ける場合は、ほかの望ましい言葉で言い換えるよう促してみて。乱暴な言葉を叱るのではなく、なぜイライラしているのか、お子さんと一緒に考えることが大切。
おもらし・頻尿
オムツがはずれているのに再開した場合は、精神的不安が原因になっている可能性が。安心できれば減るものなので、くすぐって大笑いさせるなどして、お子さんが安心できる楽しい時間をつくりましょう。決して怒らないことも大切です。もし、心配な場合は、専門医を受診しましょう。
ストレスに強い子は、ストレスの中から生まれる。将来のストレス耐性のために、今できること
ストレス耐性を身につけるには、「ストレスを体験すること」も必要です。そして、「ストレスを感じたときに感情をコントロールする体験」を積み重ねることが大切です。言い換えると、ストレスは悪いことばかりではなく、ストレスに強くなるための大事なきっかけでもあるのですね。
年中さんは、自分では感情をコントロールするのがまだ難しいもの。ストレスを感じたときに、安心できるおうちのかたに、自分のイライラやモヤモヤを受け止めてもらい、安心できるようになだめてもらう必要があります。なだめるといっても、難しいことはありません。お子さんの話をよく聞きながら、どっしり構えて、ゆっくり落ち着いた声で話しかけたり、優しく抱きしめたりするだけで十分です。でも、こうしたなだめ方は、学童期に入ると反抗期もあり難しくなります。ストレスを解決できる力の土台が育ってきている今こそ、なだめて感情をコントロールする手助けをしましょう。この積み重ねによって、年長さんの頃から、自分でストレスを解決できる場面が増えていきます。そこでストレスを克服できると、お子さんの大きな自信につながるはずです。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉