ストレスで起こる体や心の異変~生活習慣病への影響も解説~
2024/08/03
当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。
「なんだかいつもより体の調子が悪いな」「いつもは楽しいと思うのになんだか楽しくないな」と感じることはありませんか?
もしかしたらそれはストレスが影響しているかもしれません。ストレスは体や心の健康に大きな影響を与えていると言われています。
また、糖尿病のコントロールとストレスには深い関係があり、ストレスについて知ることはより上手に糖尿病とのつき合っていくことにもつながります。
本記事では、ストレスが体や心にどんな影響があるのか、早めに気づくにはどうしたらよいかをお伝えしていきます。最後までぜひおつき合いください。
教えてくれたのは: シンクヘルスブログ編集部
糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マイン...
ストレスによって体と心はどう変わる?
ストレスという言葉は近年では身近な言葉となっていますが、あらためてどんなものかを簡単にまとめました。
●ストレスとは
ストレスとは、外から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことを指します。
外からの刺激(ストレスの原因)をストレッサー、それに対する体や心の反応をストレス反応と言います。
●ストレスの原因は日常生活のなかにある
ストレッサーは大きく4種類に分けられます。みなさんのまわりにはどんなストレッサーが潜んでいるか、確認してみましょう。
<物理的ストレッサー>
・暑さ、寒さなどの気温変化
・騒音や混雑(ショッピングセンター・満員電車など)
・光、パソコンやスマートフォンなどのブルーライト
<科学的ストレッサー>
・公害物質や薬品など
・室内の酸素濃度の低下
・タバコなどの臭い
<生物的ストレッサー>
・細菌
・ウイルス
・カビ
・花粉
<心理社会的ストレッサー>
・人間関係の問題
・仕事の責任
・家庭の問題
私たちがストレスというとき、その多くは心理社会的ストレッサーを指していますが、日常生活のなかにはストレッサーがたくさんあり、どれも日常生活のなかで避けてとおることはむずかしいものばかりです。
「自分はストレスがとくにない」と感じている人も、小さなストレッサーがたくさん溜まっているかもしれません。
●糖尿病にまつわるストレス
また、糖尿病とつき合いながら生活していくうえでは、糖尿病特有のストレスがあると言われています。
<糖尿病にまつわるストレス>
食事内容の管理、定期的な通院、服薬の管理、血糖値の測定、体重のコントロール、低血糖への不安
このように、糖尿病の悪化を防ぐためにセルフケアをし続けていくことへのストレスを日々積み重ねているため、より丁寧にストレスに対してケアをしていくことが重要です。
では、ストレスが溜まっていくと、体や心にどんな変化があるのでしょうか。
ストレスで起こる体の異変
ストレスによる体への影響は個人差が大きく、以下はあくまで例となります。
・頭痛
・腹痛
・下痢、便秘
・喘息
・体のふしぶしの痛み
・皮膚のかゆみ
・目の疲れ
・不眠
・血圧の変化
・肥満
・血糖値の変化
こうした症状が慢性化すると、病気へと移行するリスクが高まります。
●ストレスは血糖コントロールを悪化させる?
ストレスを感じると「コルチゾール」というホルモンの分泌が増えます。「コルチゾール」には血糖値を上昇させる働きがあるため、強いストレス状態が続くと血糖値が下がりにくくなります。
ストレスとうまくつき合うことは、糖尿病をはじめとする生活習慣病のコントロールにとって、とても大切です。
ストレスが心に与える影響
つづいてストレスによる心への影響について、代表的なものを挙げます。
・イライラしやすくなる
・不安な気持ちになる
・気持ちが落ち込む
・いつも楽しかったことが楽しくなくなる
・やる気が出ない
・泣きたくなる
一時的な心の変化は誰しも起こりうるものですが、こうした状態が2週間以上、毎日のように続くと心の病気の可能性が疑われます。
ストレスで起こる行動の変化
体と心の変化が起きると、それに伴って行動にも変化が出てきます。
強いストレスを感じたとき、こんな行動をとってしまったことはありませんか?
□タバコの本数が増える
□やけ食いなどの過食が増える
□買い物で浪費をする
□仕事でミスが増える
□飲酒量が増える
□身だしなみに気をつかわなくなる
こうした行動を取り続けていると、さらに体や心の状態も悪くなり悪循環に陥ってしまう可能性があります。
また、生活習慣の乱れによって体重が増加したり、血糖コントロールが悪化してしまうリスクも高まります。
ストレスに早めに気づく方法
ストレスによって体や心、行動にも変化が起きるなら、それらのサインを早めに見つけられれば、対処できるとも言えます。
そこで、簡単にできるストレスの気づき方をご紹介します。
●ストレスのサインについての知識を持つ
ストレスによって、体・心・行動にどのような変化が起きるかを知っておくと、自分の身に起こっていることに気づきやすくなります。
●ストレスを過小評価しない
「自分にはストレスはない」「これくらい大丈夫」「ストレスは考えないようにするのが一番」という考え方は、せっかく体・心・行動からSOSが出ているのに無視していることになります。
日常生活に潜んでいるストレッサーに目を向け、今どんなストレスを抱えているかを振り返るようにしましょう。
●日記をつける
日記は古くからありますが、じつはストレスに気づくにはとてもよい方法です。
心理学では「外在化」という言葉があります。これは、心のなかで考えていることを、一度書き出して外においてみる、という意味です。
悩み事が多いとき、頭の中でぐるぐると考えてまとまらないことはありませんか?そんなときに考えていることを一度書き出してみると、少し客観的に冷静に、物事を考えることができるようになります。