冷凍野菜に栄養はあるの?オススメレシピとともに管理栄養士が解説
2024/07/29
「冷凍野菜には栄養がなさそう」
なんとなく冷凍野菜の購入を躊躇している方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
時短料理やお弁当作りに役立つ冷凍野菜も、本当に栄養があるのか気になりますよね。
そこで今回は冷凍野菜の栄養について、管理栄養士が詳しく解説していきます。
冷凍野菜を美味しく食べるコツもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
教えてくれたのは: シンクヘルスブログ編集部
糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マイン...
冷凍野菜に栄養はあるのか
冷凍野菜にも、栄養があります。
とくに市販の冷凍野菜は製造の過程で、栄養素の損失が最小限になるよう工夫されているのです。
その工夫の1つは、野菜を「急速に」凍結することです。
野菜を冷凍庫に入れると、-1度で凍り始め-5度になるとほとんどが凍結します。
栄養素の損失を最小限に抑えるには、-1〜-5度の温度帯時間を30分以内に短縮するとよいのです。
また-18度以下で冷凍保存された野菜の栄養価は、長期間保たれることがわかっていますよ。
●生野菜との栄養価の違い
野菜に含まれる栄養価は、冷凍と生で大きな差はありません。
なお、栄養素の中で1番損失しやすいものは、ビタミンCだと言われています。
つまりビタミンCの変化を見れば、そのほかの栄養素はそれより変化が少ないと考えられるのです。
そのようなビタミンCも、野菜を急速凍結して-18度以下で保存すれば、損失は最小限にとどめられます。
ちなみに冷凍と生野菜では、栄養価を維持できる期間に大きな差があります。
生野菜は冷蔵保存していても長期間品質を維持することは困難です。
一方で冷凍の場合は、-18度で保存すると1年間品質を保てます。
ただし家庭用の冷凍庫で冷凍野菜を作ると、栄養価が落ちる可能性もあります。
なぜなら急速凍結機能が付いていない冷凍庫の場合は、凍結に時間がかかり野菜の組織が損傷してしまうからです。
参考までに-18度とは保存するために適した温度であって、冷凍食品の工場では-30〜-40度の凍結装置を使っていますよ。
家庭では野菜を-30度以下で凍結することは困難ですが、次のような工夫をして凍結にかかる時間をできるだけ短くするとよいでしょう。
・野菜の水気をしっかり取る
・下茹でした場合は十分に冷ます
・野菜を金属製バットに薄く広げる
また購入後できるだけ早く凍結させると、栄養価が高い状態での保存が可能です。
冷凍すると栄養価が上がる食材
ここでは、冷凍野菜にオススメの食材をランキング形式でご紹介していきます。
身近な野菜にも「冷凍すると増える栄養素があるもの」や「常温保存よりも栄養素の損失が大幅に少ないもの」があります。
ぜひ参考にしてくださいね。
●1位:さつまいも
加熱調理後のさつまいもを冷やすと、レジスタントスターチ(※)が増えます。
なおレジスタントスターチには、食物繊維と似たような下記の働きがあります。
・血中コレステロール濃度の低下
・血糖値上昇の抑制
ちなみに凍結等によって冷やしたさつまいもは、再度加熱してもレジスタントスターチが元のでんぷんに戻ることはありません。
つまり冷凍したさつまいもは、食べるときに加熱してもレジスタントスターチが残っているというわけです。
参考までに、本来さつまいもは低温に弱く、冷蔵庫での保存はオススメできません。
一方で、焼いたり蒸したりした後のさつまいもは冷凍保存できます。
さつまいもを大量に入手したときには、ぜひ加熱後に冷凍保存してくださいね。
(※)レジスタントスターチとは、糖質の1種である「でんぷん」が変化したもの。
●2位:人参
人参を冷凍すると、β-カロテンが増えます
β-カロテン(100gあたり)
人参(生) 6900μg
人参(冷凍)9100μg
ただし、なぜβ-カロテンが増えるのか根拠を示した著名な論文はなく、詳細はわかっていません。
なお、β-カロテンは体内でビタミンAとなる栄養素で、皮膚や粘膜の健康を保ちます。
ちなみにβ-カロテンは油との相性がよいため、冷凍人参も油を使って調理すると吸収率が高まりますよ。
●3位:枝豆
エダマメは収穫してすぐに鮮度が落ちてしまうので、できるだけ早く冷凍保存することがオススメです。
冷凍すれば品質は保たれますので、凍結前の枝豆を常温保存するよりも栄養価が高いというわけです。
冷凍野菜に栄養がないと言われる理由
冷凍野菜に栄養価がないと噂されるのは、昔の製造方法が原因かもしれません。
以前は野菜が凍結するまでの時間が長かったため、栄養やうま味の成分が流れ出てしまっていたのです。
食材を解凍するときに、水分が出てきた経験はありませんか?
この水分は「ドリップ」と呼ばれ、栄養やうま味の成分を含みます。
このドリップが出てしまった食材は、栄養価やうま味が低下します。
すでにお伝えしているように、現在は野菜を急速に凍結させてドリップの発生を防ぐ技術が生まれました。
そして凍結後も、凍結前の野菜の栄養や美味しさを保てるようになったのです。
その結果2018年には、冷凍野菜として初めて機能性表示食品も認められました。
機能性表示食品とは、国の定めるルールにしたがって科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。
機能性を表示できるほど、冷凍野菜にも栄養があると言えるのではないでしょうか。
【お手軽!】市販の冷凍野菜を活用しよう
市販の冷凍野菜には、たくさんのメリットがあるのをご存知ですか?
・品質が管理されている:生産・輸送・販売など常に-18度以下に保たれている
・下処理が済んでいる:丁寧に洗浄し、食べられない部分が取り除かれている
・適切に包装されている:アレルギー表示や取り扱い方法が記載されている
・急速凍結されている:野菜の栄養価やうま味が低下しない技術を使っている
・長期間の保存ができる:腐らせることなく、食べたい分だけ使用できる
このため冷凍野菜は、時短調理したい方や少量しか調理しない方にとってオススメの商品です。
「野菜を使った調理は面倒だ」と思っている方も、ぜひ試してみてくださいね。
●美味しく食べるコツは解凍・調理法にあり!
冷凍野菜を美味しく食べるコツは、2つあります。
「凍ったまま加熱調理すること」と「加熱時間を短くすること」です。
凍ったまま調理すると、野菜のうま味が活かされたり、調味料がよくしみ込んだりするからです。
また冷凍野菜は、一般的に7〜8割の加熱処理を行ってから急速凍結されています。
したがって調理するときには、生野菜と比較して2〜3割の加熱時間が適しています。
ゆえに「冷凍野菜はふにゃふにゃしている」と感じる方は、加熱しすぎかもしれません。
凍っていると、つい加熱時間を長くしたくなりますが「冷凍野菜の加熱時間は短く」と覚えておいてくださいね。
●管理栄養士オススメのレシピ
ここでは、冷凍野菜を使ったスープのレシピをご紹介します。
お湯を沸かすだけで簡単に作れますので、朝食や帰りが遅くなった日の夕食などにご活用ください。
【材料】~1人前~
・お好きな冷凍野菜 70g程度
・ソーセージ 2本
・水 150ml
・コンソメ 小さじ1/2
・塩 少々
・こしょう 少々
【作り方】
①鍋に水を入れて、火にかける
②沸騰したら冷凍野菜とソーセージ、コンソメを入れる
③再び沸騰したら、塩こしょうで味をととのえて、完成
まとめ
以上、冷凍野菜の栄養について解説しました。
冷凍野菜の栄養は生野菜と変わらないと、おわかりいただけたでしょうか?冷凍保存は、野菜の品質を保つのに有効です。
「冷凍野菜は美味しくない」と感じる方は、調理の際に加熱時間を短くしてみてくださいね。
それでは当記事が参考となり、冷凍野菜を上手に利用して、簡単に美味しい食事を楽しんでいただけたら幸いです。