青い背景に血糖値計、ランセット、聴診器とスプーンの角砂糖

「糖尿病」になりやすい人の共通点、運動不足、過剰な糖質摂取、あとひとつは意外なことが要因に?

2024/10/31

生活習慣病である「糖尿病」。日常に発症リスクが潜む、誰にとっても身近な病気だとご存じですか。

「糖尿病」の症状やかかりやすい人の特徴、健康的な生活を取り戻すための治療について、たいや内科クリニックの院長で糖尿病専門医である加藤大也氏に聞きました。

Q.「糖尿病」とはどのような病気ですか

「糖尿病」とは、血糖値を調節するホルモンであるインスリンの分泌が不足したり、働きが低下したりすることで、血糖値が慢性的に高くなる病気です。おもな分類として、1型糖尿病と2型糖尿病があります。

1型糖尿病は、主に自己免疫によりインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど、またはまったく分泌されなくなることが原因で発症します。

一方、2型糖尿病は、遺伝的要因や生活習慣(肥満・運動不足など)により、インスリンの働きが低下するインスリン抵抗性と、インスリン分泌量の低下が原因で発症します。

高血糖が続くと血管や神経が損傷し、糖尿病性腎症・網膜症・神経障害などの合併症を引き起こすリスクがあるため、早期の発見と適切な管理が重要です。

Q.「糖尿病」になりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか

「糖尿病」になりやすい人には、いくつかの共通した特徴があります。

特に2型糖尿病では、遺伝的要因が関与することも多いですが、生活習慣も大きく影響します。運動不足・過剰な糖質摂取・ストレス過多な生活は、2型糖尿病のリスクを高めます。

また、高血圧や脂質異常症を持つ人・肥満の人・妊娠中に初めて糖代謝異常を指摘された人も注意が必要です。

Q.「糖尿病」にならないために、どのようなことに気をつければいいでしょうか

「糖尿病」を予防するためには、バランスの取れた生活習慣が重要です。

日常的に適度な運動を取り入れることで、インスリンの働きが改善され、血糖値が安定します。また、食事においては糖質の摂取を控えめにし、野菜やタンパク質を中心としたバランスのいい食事を心がけましょう。

さらに、睡眠不足や過度なストレスも血糖コントロールに悪影響を与えるため、心身のリラックスを心がけることも大切です。定期的な健康診断を受けることで早期に異常を発見し、適切に対処することが「糖尿病」の予防につながります。

Q.「糖尿病」の自覚症状にはどのようなものがありますか

「糖尿病」は初期には自覚症状がほとんどない「サイレントキラー」とも呼ばれる生活習慣病のひとつです。

進行すると次第に以下の代表的な症状が現れることがあります。

・頻繁に喉が渇く
・多量の水を飲む
・尿の回数が増える
・体重の急激な減少
・疲れやすさ
・視力の低下

これらの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診し、血糖値の検査を受けることが大切です。

Q.「糖尿病」を治療することはできますか

現在のところ、糖尿病は一度発症すると根本的な「完治」はむずかしいとされています。

しかし適切な治療を受ければ、血糖コントロールを良好に保つことができます。食事療法や運動療法と、必要に応じた薬物療法の併用により、合併症のリスクを軽減して健康的な生活の維持が可能です。

とくに2型糖尿病の場合、生活習慣を改善することで血糖値が正常に戻り、薬や減らしたり中止したりできるケースもあります。「糖尿病」は「治す」より「上手につき合う」という意識が重要です。

教えてくれたのは・・・

加藤大也 院長

たいや内科クリニック院長。1997年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。2003年4月から同大学医学部内分泌・代謝内科助手を務める。2010年5月、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝科病棟部長などを経て2022年5月、たいや内科クリニックを開院。糖尿病専門医・総合内科専門医・甲状腺専門医 藤田医科大学医学部客員講師。医学博士 糖尿病、生活習慣病を中心に、日々診療に取り組む。患者さん目線で分かり易い説明がモットー。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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