「糖質ゼロ」=糖質が入っていない…ではないことも!?「カロリーゼロ」との違いも解説
2024/09/16
1853年、ペリー提督とともに黒船に乗って日本にやってきたとされる炭酸飲料。そのとき船に積まれていたのは炭酸レモネードだったとか。
さて、暑い季節やスポーツの後などに飲む炭酸飲料は格別ですよね。あのなんとも言えない爽快感は病みつきになります。
しかし、ここで気になるのは炭酸飲料に含まれる糖質のこと。
そこで今回は炭酸飲料と糖質について詳しく解説します。どうぞ最後までお付き合いください。
教えてくれたのは: シンクヘルスブログ編集部
糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マイン...
炭酸飲料の糖質量
スカッとしたのど越しが美味しい炭酸飲料。ついゴクゴクと飲んでしまうけど、含まれている糖質はどれくらいなのでしょうか。
さっそく、一般的な炭酸飲料の糖質量を見ていきましょう。
<ペットボトル1本あたりの糖質量(g)>
コーラ :58.4g
サイダー :52.3g
果実色飲料(無果汁):65.6g
※ペットボトル1本(500ml)あたり
※利用可能炭水化物計の値を記載
汗をかく季節は、ペットボトル1本なんてあっという間に飲み干してしまいますが、上の表の通り含まれている糖質量はかなり多いです。
ここで、それぞれの糖質量をスティックシュガー(1本3g)に置き換えてみましょう。コーラには19本、サイダーには17本、果実色飲料には21本となり、非常に多いことがおわかりいただけると思います。
さて、無糖の炭酸水を飲んだ時に感じる方がいるかもしれませんが、炭酸には苦味や酸味があります。それをカバーするために、炭酸飲料には糖質がたくさん入っているのです。ですので、炭酸が抜けた炭酸飲料を飲むと当初よりも甘ったるく感じるのです。
●糖質と血糖値の関係
「ジュースを多く摂ると虫歯になる」という話はよく聞きますね。糖質には虫歯のリスクもありますが、糖質の摂りすぎは血糖値の乱れを引き起こします。
<糖質は悪者?>
さて、糖質は悪者というイメージが強いですが、体にとっては重要でかつ即効性のあるエネルギー源です。ただし、糖質の摂取量が足りないと、体を作っているたんぱく質や脂質を分解してエネルギーを作り出すため、体にとっては負担になります。
糖質は体内で消化吸収されて、グルコース(糖質の最小単位)になり、血液に乗って全身に運ばれてエネルギーとして使われます。脳が使える唯一のエネルギー源はグルコースです。一方でエネルギーとして使われなかったグルコースは、中性脂肪として体に蓄えられますが肥満や動脈硬化を引き起こす原因となることも。
このときの、血液中に含まれるグルコース量を測定したものが血糖値です。食後に血糖値が上がるのは正常なことですが、糖尿病の人は血糖値の振れ幅が大きくなります。
●血糖値と糖尿病の関係
一度に糖質をたくさん摂ると血糖値が急上昇し、血糖値を下げるためにインスリン(※)が大量に分泌されます。
血液中に分泌されたインスリンは、グルコースを細胞内に取り込みエネルギーに変える働きを促します。それに加えて、エネルギーとして使われなかったグルコースを脂肪に変える働きを促す作用もあります。つまり、インスリンが大量に分泌されると太りやすくなるのです。
その後インスリンを大量に分泌する状態が続くと、インスリンを分泌する臓器である膵臓が疲れて分泌に必要な量が確保できなくなります。
そうなると、インスリンが必要なタイミングで分泌できなくなるため、血糖値を下げることができなくなり高血糖状態が続き、糖尿病の発症へとつながるのです。
以上の理由から、砂糖入りの炭酸飲料は血糖値を上げやすいため、一度にペットボトル全量飲み切るのではなく、日にちを分けて飲むようにしましょう。なお、糖尿病の方は主治医の指導を受けてから摂るようにしてくださいね。
(※)インスリンとは、血糖値を下げる働きをもつ唯一のホルモンのこと
カロリーゼロの炭酸飲料とは?
炭酸飲料を飲みたいけどカロリーが気になる、という理由から「カロリーゼロ」と書いてある飲料を選ぶ方は多いのではないでしょうか。
実は、「カロリーゼロ」「ノンカロリー」「カロリーなし」と謡っている飲み物の中には、カロリーがある商品もあります(もちろん本当にカロリーがゼロの商品もあります)。
カロリーがあるのになぜ?と思うかもしれませんが、消費者庁の食品表示基準で「100mlあたり5kcal未満のものまではゼロカロリーと表示して良い」と定義が定められているからです。
つまりペットボトル1本(500ml)飲む場合、多くて20kcal程度は摂取する可能性があるという計算になります。100mlあたりのカロリーが低いことには違いないですが、「チリも積もれば山となる」ということをお忘れなく。
ちなみに、100mlあたり20kcal未満のものは「低カロリー」「カロリー控えめ」「カロリーオフ」と表示できるため、こちらの場合も購入前には栄養成分表示をしっかりと確認しましょう。
●糖質ゼロとの違い
カロリーゼロと並んで「糖質ゼロ」と書かれている商品もよく目にしますね。カロリーの表記と同じ理由で、本当に糖質がゼロの商品もありますが、「糖質がまったく入っていない」というワケではありません。
食品表示基準では、100mlあたり糖質が0.5g未満のものは「糖質ゼロ」と表示して良いと定められているため、ペットボトル1本(500ml)飲んだ場合は、スティックシュガー1本(3g)分が含まれている計算となります。
「糖質ゼロ」は通常の商品よりも糖質量が少ないのは事実ですが、糖質がどのくらい入っているか把握するためにも、栄養成分表示を確認する習慣が身に着けられるといいですね。
●甘いワケ
「カロリーゼロ」と記載されているにもかかわらず甘味を感じる飲料には、人工甘味料が使われていることが多いです。
人工甘味料とは、食品に甘味をつけるために使われるもので、科学的に作られた食品添加物です。体内で消化吸収されてエネルギー源とはならないため、血糖値には関与しません。
ところで、人工甘味料にはいくつか種類がありますが、いずれも強い甘味を持つため、わずかな量で甘味をつけられることが特長です。
参考までに砂糖の甘味度を1とすると、人工甘味料の1つであるアスパルテームは200にもなります。また、人工甘味料にはカロリーが全くないと思われがちですが、実はさきほど挙げたアスパルテームのカロリーは砂糖と同じく1gあたり4kcalです(カロリーがゼロの人工甘味料もあります)。
しかし、砂糖の200倍の甘さをもつため、使用量は砂糖よりもはるかに少量で済むのです。
以上のことから、人工甘味料はダイエット食品などのような摂取カロリーを抑えたい食品によく使われたり、食後の血糖値が上昇しないため糖尿病の治療に期待されています。
●体に悪いのか
現在日本で使用が認められている人工甘味料は、国により安全性が確認されている成分と分量内です。
しかし最近では、耐糖能(※)に異常をきたし、糖尿病の発症や悪化につながる研究結果が報告されていることも事実です。
人工甘味料が体に及ぼす影響については未だ解明されていない点も多いですが、メリットとデメリットを知った上で摂取しましょう。
(※)血糖値を正常に保つ能力
カロリーゼロだけど糖質が含まれている炭酸飲料はダイエットに向いているの?
カロリーゼロ飲料はダイエットに活用しやすいといえます。
なぜなら、先ほども説明した通りカロリーゼロとうたっている商品は、たとえペットボトルを1本飲み切ったとしてもカロリーは20kcal未満だからです。
しかし減量を成功させるためには、消費カロリーが摂取カロリーを上回る必要があります。そのため、ペットボトル1本あたりのカロリーが低いからといって、1日に何本も飲みすぎないように注意しましょう。
無糖の炭酸水(ガス入りの水)は糖尿病に良いのか
栄養成分的には、無糖の炭酸水を糖尿病の方が飲んでも問題ありません。その理由は血糖値に影響を与える糖質が含まれていないからです。
ところで炭酸飲料を飲む目的として、甘さやアルコールを挙げる方よりも、のど越しを求める方がとても多いです。
一方で炭酸水の飲みすぎは胃の膨満感をきたして食事量が減る懸念があるため、エネルギー量の確保ができなくなり治療に支障が出ますのでご注意ください。
加えてフレーバー付きの炭酸水には、糖質が含まれている商品も出回っているため、購入前には成分表示の確認を忘れずに行いましょう。
まとめ
以上、炭酸飲料に入っている糖質量や「カロリーゼロ」と「糖質ゼロ」の違いについて分かりましたね。
また、糖質と血糖値の関係性についても理解が深まったかと思います。
それでは当記事を参考に、ほどほどに炭酸飲料を楽しんでいただければ幸いです。
■参考文献
文部科学省 食品成分データベース
東京都福祉保健局 栄養成分表示ハンドブック
独立行政法人 農畜産業振興機構 人工甘味料と糖代謝