【医師監修】すぐにお腹が空くのは糖尿病のサイン?~対策法も解説~

2025/02/20

当記事は、医療法人 南昌江内科クリニック 糖尿病専門医、一般社団法人 南糖尿病臨床研究センター センター長 前田泰孝先生​にご監修いただきました。
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。

「血糖値が高めと言われてから、以前よりお腹が空く感じがするんだけど、気のせいかな…」

自覚症状がなく進行することが多い糖尿病。

そのため、疲労感や喉の渇きなどのご自身の変化に気がついた時にはかなり進んでいる可能性があるのですが、実は「空腹を感じる」のも糖尿病の症状のひとつです。

そこで今回は、糖尿病と空腹の関係について、お伝えすることにしました。

空腹時の対策もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

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血糖値と空腹の関係

私たちの体は、食べ物からエネルギーを生み出して生命活動を維持しています。そのエネルギー源の一つが糖質です。

通常、糖質を含む食品を摂ると、糖質は消化吸収されてブドウ糖になり血液中に入ります。すると血液中の糖度が上がって血糖値(血液中のブドウ糖の量)は上昇します。

しかし、食事のタイミングが遅いなどの理由で食事時間の間隔が空きすぎると、血糖値は下がったままで上昇しません。

その結果、脳は体がエネルギー不足だと判断し、空腹感を感じさせて何かを食べるように指示を出すのです。

つまり、血糖値が低い状態を改善しようと脳から出される信号が空腹感で、これは生命活動の一環と言えます。

すぐお腹が空くのは糖尿病の初期症状?

一般的に私たちの血糖値は空腹時が110mg/dl、食後でも140mg/dl未満におさまっていますが、糖尿病ですとこれより数値の高い状態が続くようになります。

なぜなら、血糖値の上昇を抑えるホルモンであるインスリンの分泌不足あるいは効きが悪いため、ブドウ糖が血液中に蓄積されるからです。

ところが、初期の糖尿病ではインスリンが過剰に分泌され、血糖が一時的に下がり過ぎてしまうことがあります。

そもそも、糖は私たちの体を動かすエネルギー源(栄養素)です。血糖値が下がるということは、エネルギー不足を意味します。

すると、体は身体機能を正常に保つために食事をとるよう働きかけ、これが空腹感として現れます。


●空腹は我慢する方が良い?
必ず我慢が必要、ということはないでしょう。

なぜなら空腹感は上記でお伝えしておりますように、体のエネルギー不足の合図だからです。

しかも空腹を感じている時に、万一血糖値が下がりすぎてしまうと、一時的に低血糖になることもありますので注意が必要です。

血糖管理と空腹対策を両立させるために

出典:写真AC

空腹感があるたびに何かを食べていては、体重増加(内臓脂肪の増加)につながる可能性も高く、血糖コントロールを乱す要因になりかねません。

しかし、適度にエネルギー不足を補う必要はあります。

そのため、ポイントは

①カロリーを摂りすぎない
②血糖値を急上昇させない

ということです。

血糖値の急上昇が繰り返されるような状態になると、細胞から活性酸素が過剰に発生し、動脈硬化のリスクが高まります。また、血糖値に反応してインスリンが過剰に分泌されることがあり、さらに低血糖を起こしてしまい悪循環につながります。

●カロリーを摂りすぎない
カロリーの摂りすぎを防ぐには

・脂質の摂取量を抑える
・間食を工夫する

などの対策法があげられます。

糖質やたんぱく質が1gあたり4kcalなのに対し、脂質は1gあたり9kcalあるので、糖質やたんぱく質よりも摂取量を抑えたときの効果が感じやすいです。

また、毎日間食する習慣のある方は1日置きなど間食の回数を減らしていくと良いでしょう。さらに、間食の食べすぎを抑える点から食べるものを選ぶなど、工夫することも大切です。

<空腹感を抑えるオススメの間食>
空腹感を抑えたいときには、ナッツ類を間食に選ぶとよいでしょう。

ナッツ類の糖質量は他の食べ物よりとても少なく、低糖質な食べ物です。噛み応えもあるため、咀嚼回数が増えて満腹中枢を刺激し、少量でも満足できます。一方でナッツ類のカロリーは高めですので、量を意識しながら食べることをおすすめします。

また、どうしても甘いものが食べたい場合はハイカカオチョコレートを活用するとよいです。商品にもよりますが、1枚(5g)あたりの糖質は2.0g以下と非常に低いです。

さらに、ハイカカオチョコレートには血糖値の上昇を抑えて過剰な糖を中性脂肪に変えるのを防ぐ働きも期待できますので、血糖値の改善にも役立つかもしれませんね。

●血糖値を急上昇させない
血糖値の急上昇を抑えるためには、

・食事内容(食物繊維豊富、ご飯少なめ)
・食べる順番(野菜や肉・魚類から食べる)
・食べ方(よく噛んでゆっくり食べる)

以上のポイントを踏まえると効果的です。

さらに、普段から運動習慣があると血糖値の上昇を抑えられます。

まとめ

以上、糖尿病で血糖値が高い状態になると、体はエネルギー不足とならないよう食事をとるよう働きかけ、これが空腹感としてあらわれるとわかりましたね。

そして空腹を感じたら、必ずしも我慢する必要はありません。ナッツ類やハイカカオチョコレートを活用しながら、空腹と上手に付き合うとよいでしょう。

それでは当記事が、あなたの血糖コントロールに役立つことを願っています。


参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット
The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 81, Issue 3, March 2005, Pages 611–614
MSD 患者さんのための糖尿病ガイド 糖尿病とは

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。


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