身の回りにあるすべてのモノは、必ずトラックで運ばれ手元にある!~連載『はじめよう!フェムテック』

2023/08/20

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、レタスクラブの編集部やハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。31歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった32歳。

<ゲスト>
●橋本愛喜さん Aiki Hashimoto
大阪府生まれ。 元トラックドライバーで工場経営者。その後、日本語教師を経て、現在はフリーライターとして活躍。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上の工場へ配達。現在は労働環境、国際文化ギャップ、ジェンダー、差別、誹謗中傷などに関する社会問題を中心に執筆。メディア出演・講演なども行っている。最新刊は『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路~現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA)。Twitter: @AikiHashimoto

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。今回のゲストは、 元トラックドライバーで、現在はフリーライターの橋本愛喜さんです。「工場経営、トラックドライバー、日本語教師、現在はライターと、さまざまな経歴をおもちの橋本さん。実は学生時代には、トラックドライバーではなく、まったく違う道を志していたそう。大学卒業前に、何が起こったのでしょう? 興味深いです。早速、お話を伺いたいと思います」(伊久美)

衣食住、生活のすべてを物流が支えている

■東島アナ「ゲストは、元トラックドライバーで、現在はフリーライターの橋本愛喜さんです。まずは、トラックドライバーになられたきっかけを教えてください」

■橋本「私は大学卒業後、実はアメリカへ歌の勉強のために留学をしようと思っていました。ところが、大学を卒業する直前に父親が倒れまして、家業である町工場の経営を引き継ぐことになったのです。金型を納品していたので、その引き取り業務のために大型トラックの免許を取得しました。工場の仕事もあったので、毎日トラックに乗っていたわけではないのですが、断続的に10年間乗りました」

■東島アナ「トラックドライバーさんには、企業に物を届けるドライバーさんと個人へ荷物を届けるドライバーさんがいらっしゃると聞きましたが、橋本さんはどちらでしたか」

■橋本「私は運ぶことを生業にしていない、いわゆる白ナンバー*のトラックドライバーでした。今、私が取材&執筆しているのは、運ぶことを生業にしている緑ナンバー*のトラックドライバーさんたちについてです。現在、2024年問題ということで、トラックドライバーさんの労働時間を減らす動向があります。よくメディアでは宅配の問題を取り上げられるのですが、実は宅配の輸送量は物流全体の7%にしか過ぎないのです。残りは企業間の輸送になります」

*白・緑のナンバープレート:貨物自動車運送事業法という法律により、自社の製品や荷物を社有のトラックで運ぶことを使用目的に運搬する場合は白ナンバー。 有償で法人・個人の物を運搬、送迎するなどの目的で、運賃が利益となる場合は緑ナンバーの装着が義務付けられています。

■伊久美「確かに物流というと宅配のことを思い浮かべてしまいますが、たったの7%なのですね」

■東島アナ「物流は“産業と暮らしを支える大動脈”と表現されることもあります。本当に、暮らしになくてはならないものですよね」

■橋本「おっしゃるとおりです。今、みなさんの目に映るほとんどのものが、一度はトラックに乗っています。そう考えると、普段意識することはあまりないと思いますが、改めてトラックは必要なものだと感じませんか? このスタジオにある机も、トラックが運ぶだけではなく、机の材料である木も森から生産工場へ運んでいます。トラックがないと私たちは生きていけない!と言っても過言ではないと思います」

再配達が減らない現実!消費者は無くす努力が必要

■東島アナ「最近、コロナ禍の影響もあり、宅配を含めた荷物が増えているという話を、ニュースで耳にされていると思います。そんな中、橋本さんは、“送料無料”という言葉に疑問を感じていらっしゃるそうです。詳しく教えていただけますか」

■橋本「宅配でよく使われている“送料無料”という言葉ですが、実際には少なからず送料がかかっているので完全に無料というわけではないのです。現在、私は企業間輸送についてメインで取材していますが、“送料無料→お得→買おう”という消費者の傾向を見るにつけ、誤解を生じるのではと危惧しています。運ぶ=コストと捉えることは、トラックドライバーさんの存在が、潜在的に必要ないと思われてしまう可能性があるからです。ですから“送料込み”や“送料弊社負担”などの表現に、言い替えていただく必要があるように思います」

■伊久美「“トラックドライバーさんによって運ばれた”というプロセスを忘れてはいけないですね。私も意識していこうと思います。改めて考えてみるとドライバーさんにとって、再配達や時間指定というのも大変ですよね」

■橋本「そうです、まさに今、問題視されています。ドライバーさんからすると、指定された時間に行ったのに不在だととても負担になります。再配達依頼は何度でも行えて、しかも無料です。消費者は簡単に依頼しがちかもしれませんが、ドライバーさんの負担を考慮して、極力再配達をなくしていく意識を皆さんに持っていただけたら嬉しいです」

■伊久美「宅配ボックスや置き配については、どのようにお考えですか」

■橋本「今後、どんどん進めていく必要があると思います。ただ、私が一つ懸念しているのは、宅配の配達員さんは、唯一消費者と対面できる存在なのに、宅配ボックスや置き配が普及していくと、消費者と会わないで済んでしまいます。そのことで消費者から、“人を介して届けられている”という意識がなくなってしまいそうで……」

■東島アナ「荷物をドライバーさんから受け取ると、そのかたに対して“ありがとう”という気持ちが沸き上がります。改めて人が運んできてくれていることを心に留めておきたいと思います」

合言葉は「はじめよう!フェムテック!」

●次回も、元トラックドライバーで、現在はフリーライターの橋本愛喜さんをゲストにお迎えします。

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 

 
 

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