娘と話しているアジアの母

2・3歳児の「聞く力」をアップさせるコツ

2021/12/17

言葉の爆発期と言われる2・3歳。おうちのかたはお子さんの話す力に大きな成長を感じていることでしょう。それに対して「聞く力」の成長は、なかなか目に見えにくいもの。しかし、「聞く力」は学ぶ力の第一歩となります。乳幼児がどうやって「聞く力」を育んでいくのか研究を行っている、岩立京子先生に話をうかがいました。

<お話をうかがった先生>
岩立京子先生
いわたて・きょうこ/東京家政大学子ども学部子ども支援学科教授。専門は発達心理学。幼稚園の園長としての経験を踏まえ、乳幼児の「聞く力」について共同研究を行っている。『子どもと考える!どうしていけないの?どうしたらいいの?』(PHP研究所)ほか、著書多数。
※取材当時の情報です。

2・3歳児の「聞く力」アップ術

聞く力の3つの土台を、今日からどうやって育んでいけばいいのでしょうか?日常のシーンでありがちな困り事に合わせて、具体的な関わり方を紹介します。

聞く力の3つの土台とは?

【土台1】話し手に対する愛着 物事に対する興味

2・3歳は、好きな人や興味をもったものに対しては耳を傾けられるようになる時期です。大好きなおうちのかたとのやりとりを通じて、「聞くって楽しい」と思える体験を増やしましょう。お子さんの好きな絵本を読み聞かせるのもいいですね。

【土台2】 注意を向け続ける自己コントロール力

相手が話している間、注意を向け続ける力は園や小学校で先生の話を聞くときにも必要です。ただ、2・3歳児は自分の力だけで注意をコントロールするのはまだ難しいので、お子さんが集中して聞ける話し方をおうちのかたが心がけましょう。

【土台3】「話している間は聞く」というルールの理解力

「ママが話しているときは聞く」「ママが話し終わってから自分が話し始める」というルールの理解は、会話のキャッチボールの基本となります。おうちのかたがいいお手本になってあげてください。何度も経験するうちに、聞き手の姿勢を学んでいきます。

絵本を読み聞かせるとき、途中で飽きないよう急いでストーリーを読み上げるけれど……

◆クイズや問いかけが興味をもって聞くきっかけに

Hitoshi Nishimura/gettyimages

話に集中できず飽きてしまうお子さんの場合、絵を見てやりとり遊びをしましょう。「今度はママは何て言うんだろう」というワクワク感で、だんだん聞けるようになります。1ページ目から通して読むことが必ずしも正解ではありません。お子さんが興味をもったページでクイズを出すなど、聞いて考えるきっかけをつくっていきましょう。

聞く力のどの土台が育つ?

【土台1】愛着/興味
【土台2】自己コントロール力

子どもが話を聞かないときついつい「何やってるの!」と怒ってしまいます

◆聞けないことを叱る前に聞かせる努力を

子ども子育てのイメージ
maroke/gettyimages

怒ってしまう気持ちはとてもよくわかります。でも、おうちのかたがいきなり話し始めたことに注意を向けるというのは、2・3歳児には難しいもの。お子さんの目の高さに目線を合わせ、「今から大事なお話をしますよ~」と前置きするなど、聞く準備をととのえてから話し始め、大事なことは繰り返しましょう。あとから「なんで聞いてなかったの!」と怒ることも防げます。

聞く力のどの土台が育つ?

【土台2】自己コントロール力

「あれ見て!」と言ってきたとき反応がワンパターンになってしまいます

◆ワンパターンでもOK!大切なのは笑顔で言葉を繰り返すこと

韓国の女の子の指差し
ma-no/gettyimages

子どもは、おうちのかたと発見や喜びを共有することで世界を広げます。「そうだね、犬がいたね」と、目を見て笑顔で、お子さんの言葉を繰り返しましょう。自分の言葉を受け止めてくれることが伝わると、「パパが繰り返してくれるのをもっと聞きたい!」と思えるもの。「話して→聞く」体験を重ねる中で、ルールの理解も進みます。

聞く力のどの土台が育つ?

【土台1】愛着/興味
【土台3】ルールの理解力

岩立先生のメッセージ

◆まだうまく聞けなくても焦らないで

都合の悪いことは聞かないふりをしたり、いつもは話を聞けるのに今日は上の空だったり。2・3歳は発達上、気まぐれな時期です。「ちゃんと聞きなさい」と追い詰めても、やる気がなければ聞かないもの。「あーあ残念。○○ちゃん、本当は聞けるのにね」と、あっさり対応しましょう。「ママは私がちゃんと聞けると信じてくれている」と伝えられます。
個人差もありますが、3歳を過ぎるとだいぶ安定してきます。耳を傾けやすくなる時期ももうすぐ。長い目で「聞く力」を育んでくださいね。

参照:〈こどもちゃれんじ〉

 
 

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