2・3歳児の「聞く力」を育てる3つの土台とは?
2021/12/18
言葉の爆発期と言われる2・3歳。おうちのかたはお子さんの話す力に大きな成長を感じていることでしょう。それに対して「聞く力」の成長は、なかなか目に見えにくいもの。しかし、「聞く力」は学ぶ力の第一歩となります。乳幼児がどうやって「聞く力」を育んでいくのか研究を行っている、岩立京子先生に話をうかがいました。
<お話をうかがった先生>
岩立京子先生
いわたて・きょうこ/東京家政大学子ども学部子ども支援学科教授。専門は発達心理学。幼稚園の園長としての経験を踏まえ、乳幼児の「聞く力」について共同研究を行っている。『子どもと考える!どうしていけないの?どうしたらいいの?』(PHP研究所)ほか、著書多数。
※取材時の情報です。
3つの土台が2・3歳の「聞く力」を育てます
"ただ聞くだけ"なんて何でもないことのように思えるかもしれませんが、支えてくれる土台がないと、「聞く力」は育っていきません。2・3歳の今は、次の3つの土台をしっかり固めていくことが大切です。
土台1 話し手に対する愛着 物事に対する興味
2・3歳は、好きな人や興味をもったものに対しては耳を傾けられるようになる時期です。大好きなおうちのかたとのやりとりを通じて、「聞くって楽しい」と思える体験を増やしましょう。お子さんの好きな絵本を読み聞かせるのもいいですね。
土台2 注意を向け続ける自己コントロール力
相手が話している間、注意を向け続ける力は園や小学校で先生の話を聞くときにも必要です。ただ、2・3歳児は自分の力だけで注意をコントロールするのはまだ難しいので、お子さんが集中して聞ける話し方をおうちのかたが心がけましょう。
土台3 「話している間は聞く」というルールの理解力
「おうちのかたが話しているときは聞く」「親が話し終わってから自分が話し始める」というルールの理解は、会話のキャッチボールの基本となります。おうちのかたがいいお手本になってあげてください。何度も経験するうちに、聞き手の姿勢を学んでいきます。
「聞く力」は全ての学びにつながっている!
園の先生の話を聞き、新しいことに挑戦すること。学校の授業を受け、好奇心を広げていくこと。何かを「学ぶ」ためには、何かを「聞く」ことが欠かせません。
文科省が2017年3月に改訂した※教育要領の中にも「伝え合う力」が盛り込まれました。伝え合うとは一方的に話すだけでなく、相手の話も聞くこと。それによって私たちは、新しいことを知り、興味を広げていきます。全ての学びは「聞く力」とつながっているのです。
ただ、2・3歳児の「聞く力」の特徴をひと言で表すと「楽しそう、おもしろそうと思わなければ聞かない時期」。同じ絵本でも、内容を覚えてしまうほど集中して聞ける子もいれば、すぐ飽きてしまう子もいるのは、聞けるかどうかが興味に左右されるからです。だからこそ「聞くって楽しいな」と思えるおうちのかたの関わりが大事。楽しい体験を通して、「聞く力」の土台を育みましょう。
※幼稚園教育要領のほか、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領にも同様の内容が盛り込まれています。
参照:〈こどもちゃれんじ〉