年中さんで「お手紙」がブームになるのはなぜ?3つの理由
2022/03/25
年中さんはだんだんと文字が書けるようになり、大好きな友だちやおうちのかたに手紙を書くこと、手紙を渡すことが楽しくなる時期です。ここでは、“お手紙ブーム”の理由と、せっかくなら夢中になるお手紙を「気持ちを伝える体験」にするポイントをご紹介します。
<お話をうかがった先生>
沢井佳子先生
(SAWAI, Yoshiko) チャイルド・ラボ所長。 認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。 教育番組『ひらけ! ポンキッキ』の心理学スタッフ、静岡大学客員教授 等を歴任。 『こどもちゃれんじ』の「考える力」プログラム監修、幼児教育番組『しまじろうのわお!』監修。 日本こども成育協会理事、日本子ども学会常任理事。
Q.お子さんはお手紙交換をしていますか?
お手紙のやりとりをしている:46%
お手紙をもらっているけれど自分では書いていない:18%
お手紙を書いて渡しているけれどもらってはいない:8%
まったくしていない:28%
(※2015年すてっぷ制作モニターアンケート111人の回答)
年中さんで「お手紙ブーム」になるのは 3つの理由があった!
理由1:社会性の発達
●好きな人(家族、友だち)に気持ちを伝えたいと思う
●好きな相手が喜ぶとうれしいという気持ちが強くなる
理由2:表現方法の発達
●折り紙や工作、絵、文字など、表現方法のレパートリーが増える
理由3:言葉の発達
●語彙が増える
●話し言葉を文字で表せることに気づき始める
年中さんでお手紙交換が盛んになるのは、この3つの発達が見られるから。ただ単にひらがなが書けるようになったから手紙を書きたいと思うわけではなく、家族や友だち、先生などの「好きな相手」がいて、「伝えたい気持ち」があるからこそ、手紙への興味や意欲が生まれるんですね。また、手紙を交換する体験を通して、徐々に「今、目の前にいない相手」にも、手紙を書くことで気持ちを伝えられるということに気づいていきます。
次からは、お子さんの様子を見ながらお手紙体験を広げるための、おうちのかたの関わり方をQ&A方式でご紹介します。
年中さんのお手紙体験を もっと広げるポイントは?
Q.子どもから手紙をもらったらどうすればいい?
A.お子さんが伝えたかったことを「解読」してあげましょう。
まずは「ありがとう」など、手紙をもらったことに対してお礼の気持ちを伝えてくださいね。おうちのかたが喜んでくれると、お子さんもうれしくなるものです。さらに手紙の内容から、お子さんが伝えようとしたことを読み取ってみましょう。例えば猫の絵が描かれていたら、「猫を見つけたの?」などと尋ねてみて。また、時間に余裕のあるときに、返事の手紙を渡せるといいですね。
Q.ひらがなをあまり書けない場合は?
A.文字にこだわらず伝えたい気持ちを大切に
この時期は、ひらがなを上手に書くことよりも、伝えたい気持ちがあることを大切にして。伝えたい気持ちが表現されたものなら、たとえ絵だけでも、それは立派な手紙です。お子さんが文字で伝えたいことがあれば、おうちのかたが聞いて代筆するのもおすすめです。
Q.手紙を書くことに興味がない場合は?
A.好きなことをきっかけに伝える楽しさを体験させて
手紙のやりとりに興味がなくても、自分の好きなことを人に知ってもらいたいという気持ちがあるはず。例えば電車が好きなお子さんなら、画用紙に電車の絵を描いたりシールを貼ったりしてはどうでしょうか。この画用紙をきっかけに、「○○ちゃんは赤い電車が好きなんだね」と、おしゃべりを発展させることができます。おうちのかたも好きなものを言葉や絵で説明し、伝え合う楽しさを体験できるといいですね。
手紙への意欲には個人差があります。決して無理じいはせず、お子さんのできる範囲で自分の気持ちを表現して伝える楽しさを感じられるといいですね。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉