30代で、仕事と妊活は両立できない!?上司から「妊娠はちょっと待って」と言われて退職を決意。フリーで働く今。

2024/01/26

働く女性のリアルな声を聞きました。今回は、人事のエキスパートでありながら、妊活を会社に理解してもらうことができず、会社員を続けることを断念した南川優奈さん(仮名・36歳)。

現在はフリーのキャリアコンサルタントとして活躍しています。そんな彼女のこれまでを聞きました。

教員を目指して免許を取ったけれど、子どもより社会人の教育がしたいと思った

編集部:現在、フリーランスのカウンセラーとして活動中ですが、これまでのキャリアについて教えてください。

南川さん(以下、南川):新卒の時は地元の住宅メーカーに就職をしたのですが、半年ぐらいで退職をしまして。その後は地元の障害福祉関係の企業の方に転職をして、そこでバックオフィス、人事労務総務全般を6年半経験しました。

次はキャリアアップのため、アパレルメーカーに転職をして、そこで1年半人事業務をしていました。

編集部:会社は変わったけれども、ずっと人事のお仕事をされてきたのですね。

南川:そうですね。学生時代は教員になろうと思っていましたが、学校の勉強を教えるのではなく、人材教育の方に関心を持ちました。人事として会社に入って、従業員の満足度を上げていきたいという思いがずっとあって、そこにやりがいを感じてきました。

会社に新しい人事評価の制度をつくる!やりがいと充実感のある仕事を体験

一番長かった2社目が従業員100人くらいの小規模の会社だったんですけれど、その分裁量が大きくて、提案すると社長から「チャンジしてみようか」と言われてやらせてもらえるような環境だったので、充実感がありました。

編集部:具体的にはどんなチャレンジをされてきたのでしょうか?

南川:障害者福祉系の会社だったので、働いているのが介護職とか看護職の方だったんです。その方たちのキャリアパスを充実させたくて、人事制度をブラッシュアップしました。

新しく評価制度をゼロベースから構築した経験が一番やりがいがありましたね。

介護職とか看護職の仕事って評価しようがないということになりがちなんです。でも、キャリアアップしたい方々からしたら、自分たちが何をもって評価されてるかわからなくて、モチベーションが上がらない環境でもあります。

そういう方たちをボトムアップしたい思いがあって、評価制度を作って導入したっていう経緯です。

結婚して妊活を始めたら、上司からの「ちょっと待って」。

上司に妊活を理解されず、フリーランスへ
上司に妊活を理解されず、フリーランスへ

編集部:充実したキャリアを積んで、ステップアップのためにアパレルメーカーに転職されました。
そこで、ショックなことが?

南川:結婚して不妊治療を始めていたところだったので、会社にもそのことを伝えたのですが、「ちょっと今は妊娠は待って」と言われてしまったんです。

私の説明の仕方もあまり良くなかったかもですが、今でこそ不妊治療が認知されてきてますけれど、2年前だとまだ「不妊治療って何?」みたいな状況だったので。

理解も進んでなかったのかな、と思います。

編集部:そう言われた時はどう思いましたか?

南川:仕事と妊活は両立できないんだって、自分のキャリアが目の前で崩壊した感覚があって、私の人生ここで終わった、みたいな気持ちだったんです。

でも今振り返ると、今が一番生き生き働けてるかなという感じもあるので、退職したことは間違ってなかったかなとは思ってます、結果的に。

妊活と両立させるなら、フルリモートでフルフレックス。そう決めて仕事を選んだ

編集部:それで今は個人でお仕事されているということなのですね。

南川:フルリモートでフルフレックスっていう形式だと、不妊治療中でも働きやすいなって思った時に、なかなか会社員で雇用してもらってという選択肢がなかったんです。

なので、業務委託っていうところにチェンジをして、今の働き方に行き着きました。

編集部:今、業務委託でお仕事を請け負っているということですか?

南川:今2社から委託をされています。

1社は不妊治療のアプリを開発されている会社さんです。アプリではオンラインカウンセリングもしているのですが、そこにキャリアカウンセラーとして所属してます。

もう1社はeラーニングで、マーケティング関係の職業訓練を請け負っているベンチャー企業さんなんですけれど、そこの職業訓練校のキャリアコンサルタントとして活動しています。

その人のキャリアを一緒に探す仕事。ときには愚痴まで聞くことも

編集部:今のお仕事はどういうところが面白いですか?

南川:いろんな立場の方、いろんなバックグラウンドを持ってらっしゃる方の、今までのキャリアの歩み方を聞くのがメインなんですけれども、すごく楽しいですし、私自身も気づきをいただけています。

e-ラーニングの講座なので、この学校を卒業した後にフルリモートで働きたいという声がすごく多いんです。まさに自分が経験してきたことなので、求人サイトの探し方とか、おすすめの求人をご紹介したりとかもしています。

その方のライフとキャリアを一緒に考えて、「今は子育て中だから。キャリアの方をちょっと抑えてこういう働き方しましょうか」みたいなプランニングも一緒にしています。

だから、家族環境とか、そういう話から旦那さんの愚痴とかもいろいろ聞いたりすることもあります。



フリーランスになり、今が一番楽しく仕事をしているという南川さん。積み上げたキャリアを生かして自分らしい仕事の仕方を自ら見つける姿勢がうかがえます。次回は、お仕事の獲得方法や、人事として今の女性活躍の現状をどう感じているかなどをお聞きします。

【話を聞いた人】
●南川優奈さん(仮名・富山県・36歳)
夫との二人暮らし。結婚3年目、現在不妊治療中。大学で教員免許を取得したが、学校の勉強ではない大人の教育をしたいと思い、企業人事の道へ。人事・労務として3社で経験を積んだ。

○お仕事データ
勤務形態 フリーランス
勤務時間 9:00〜12:00+18:00〜19:00など日による
年収 約100万円
お仕事内容 職業訓練校などの業務委託として、キャリアカウンセリング(オンライン)を行う。

南川優奈さん(仮名・36歳)
南川優奈さん(仮名・36歳)

イラスト/すぎやまえみこ 取材・文/尾崎真佐子 企画/サンキュ!コメつぶ編集部

 
 

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