光熱費の高騰とともに、間もなくやってくる酷暑の夏。エアコンによる快適性をとるか、節電をとるか……かなり悩ましい問題です。そこでサンキュ! 記者が、パナソニックによる“節電と快適さを叶えるエアコン活用術”のセミナーに参加してみました。ポイントは“がまんをしない省エネを”。エアコンの快適性の極意を教わってきました。
後半は、「最高の空気質」を実現できる[私の推し家電]についてプロに伺います!
暑さも厳しいが、お財布も厳しい。エアコン我慢派が増加中
6月20日、気象庁が発表した3カ月予報によると、今夏も沖縄から関東にかけて厳しい夏が予想されます。そうなると気になるのが冷房の電気代です。
パナソニックの調査※では「今年の夏は節電のため、冷房の利用をガマンしようと思いますか?」と、質問したところ、「強く思う」9%、「やや思う」35%と、合わせて44%という数字に。実はこの数字、昨年と比べて6ポイントもアップしています。背景には、昨今の電気料金の値上げが大きく影響していると思われます。
※ 20~60代の男女1106名を対象。パナソニック「エオリア」調べ
“がまんをしない省エネ”で正しく酷暑を乗り切る
電気代節約のためには、冷房はぎりぎりまで我慢して電源はこまめに切るべき、と考える人も多いようです。けれどもエアーマイスターの福田風子さんによると
「エアコンの冷房は我慢せずに入れましょう」と、きっぱり。
「理由は熱中症です。確かにエアコンの電気代は心配ですが、体調の方がもっと心配です。
エアコンで熱中症対策をして快適に過ごし、上手に節電することが重要と言えるでしょう」
そこで省エネのポイントを伺いました。
室温28℃が目安。さらに「湿度」「輻射熱」をコントロールし快適空間に
「28℃はあくまで目安。日当たりや建物の状況で感じ方が変わりますので、そのつど室温調節をしましょう」
①風量は「微風」ではなく「自動」がおすすめ
「風量設定で『微風』にすると節約につながるように思えますが、実は設定温度になるまで時間がかかるため、逆に消費電力が増えることも。風量『自動』であればスピーディにスタートし、設定温度になると自動で風量を弱めます。『自動』を積極的に活用しましょう」
②サーキュレーターで“気流”を活用
「冷たい空気は下に溜まりがち。『足先は冷たいのに体感は暑い』『リビングは涼しいのに台所が暑い』などの時は、室内に“冷気ムラ”が発生しています。サーキュレーターや扇風機などを併用して空気を循環させ温度ムラを解消しましょう」
③輻射熱対策で室温をキープ
「エアコンによって室温が28℃で維持されても、窓から伝わる熱で蒸し暑く感じることがあります。遮光カーテンや日射遮断フィルムなどで、窓から入る輻射熱を遮断しましょう。
このほかにも『湿度を調整する』『衣類で調整する』などがあります。
『ちょっと暑いな』と、感じたら上記の点を改善してみてください。冷房の温度設定を下げなくても、快適性が高まります。省エネを心がけつつ、エアコンを活用してほしいと思います」
寝室の冷房はタイマー派? つけっぱなし? 正しいのは……
みなさん、寝室の冷房はタイマー派ですか? それとも連続運転でつけっぱなしですか?
節電を考えると3時間切タイマーを使っている人が多いように感じますが、パナソニックでエアコンの商品企画を担う小出昇之介さんによると
「私たちプロは、寝室の冷房は連続運転をおすすめします」
夏の睡眠不足は、熱中症のリスクを高めることも
「実は当社の調査で『深夜2時~5時に冷房のリモコンを操作している人が多い』というデータがあります。
実際に寝室の冷房で『3時間切タイマー』と『連続運転』を比較した調査では、『3時間切タイマー』のほうが夜中に覚醒した回数や時間は多く、『連続運転』のほうが快眠環境であることがわかっています。
実は日中の熱中症対策では『睡眠』は非常に重要です。
睡眠の質の低下による寝不足は、日中の疲労感が増加し、ちょっとした運動で体温が上昇しやすいなど熱中症のリスクが高まる可能性があるとわかっているからです※」
※出典:熱中症環境保健マニュアル2022(環境省)
つけっぱなしの電気代に、罪悪感をもつ必要はなし
「電気代が……と、懸念されると思いますが、実はエアコンの消費電力は“外気温とエアコンの設定温度の差”で決まります。差が大きいほど消費電力が多くなりますが、差が小さければ消費電力は抑えられます。
暑くて寝苦しいとはいえ、夜間は日差しがないので外気温は25℃~30℃。冷房の設定温度を27℃にしても温度差は3℃ほどです。
当社のログデータによると、夜間に冷房を8時間使用しても25円~30円ほど(昨年夜間に冷房運転をしている機器から試算)。数字は機器や環境により異なりますが、少なくとも昼間よりは電気代はかかりません。
これくらいの金額であるならば、暑くて寝苦しい夜は、つけっぱなしによる快適な睡眠環境をお客様におすすめしたい、と考えるのです。
また日中は締め切っていたり、換気がでいていない寝室は熱がこもっているため、就寝30分前には冷房を入れることも快眠のポイントと言えそうです」
【まとめ】熱帯夜の賢いエアコンの使い方
①寝室に入る30分前に冷房を入れ、上に向けて風をあてておく
②設定温度は26~28度。タイマーは設定しない
③湿度は60%以下に保つ
今、エアコンに求められるのは「最上の空気質」
「今や、エアコンの使命は温度調節だけではありません。
湿度、換気、温冷感など、いろんな角度から空気にアプローチし自動で制御する能力を求められ、さらにコロナ禍のなか健康で清潔な空間も求められるようになりました」
「そこで〈エオリア〉LXシリーズの最新モデルは新しく給気換気に加え、排気換気が搭載されました。空気中の有害物質の抑制をするナノイーXとの併用により、より新鮮な空気をお部屋にとりこめるようになったのです。
そしてお掃除機機能も注目です。
エアコンのフィルターの自動お掃除機能は一般的ですが、当社ではフィルターのホコリをブラシでかき取ったら、そのホコリを集めて屋外へ自動排出する独自の機能を搭載しています。
ごみを外へ投げ捨てる⁉ と、思われるかもしれませんが、フィルター掃除は基本的に24時間に1回。ごみの量は耳かき1杯程度(約0.02g)なので環境への負荷はかからないレベルです。
お掃除の手間が省かれるうえに、フィルターが常に清潔なので無駄な消費電力がかからず(=節約)、お掃除の押し付け合いなど無駄な夫婦げんかもなくなります(笑)
最近はペットを飼っている方も多いので、お留守番のペットのために24時間エアコンを稼働している家庭が増えています。
毎日使う家電だからこそ、一年中心地よい空気に包まれるエアコンを選んでほしいと思っています」
協力/パナソニック株式会社
取材・文/川口美彩子
インタビュー・インタビューフォト/前田智三