多様な人々が交流できる場を増やし、希望がもてる社会を実現したい ~連載『はじめよう!フェムテック』

2023/07/10

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、レタスクラブやハースト婦人画報社の編集部を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。30歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった32歳。

<ゲスト>
●勝山恵一さん Keiichi Katsuyama
一般社団法人・HASSYADAI social 代表理事。京都市出身の28歳。非行を繰り返し、高校を中退。その後、19歳でパートナーが妊娠し、彼女の兄でもある株式会社ハッシャダイ代表との出会いをきっかけに同社の営業職に就くと、4カ月連続で成績日本一に。自らの過去の経験をモデルに“ヤンキーインターン”サービスの立ち上げ、カリキュラム開発を行う。 現在は、一般社団法人 HASSYADAI social を立ち上げ、全国各地の高校でキャリア教育プログラムを実施するほか、少年院、児童養護施設、法人向けと、幅広く日本の若者達に、人生を自分自身で選択できるきっかけを提供するための活動を行っている。https://social.hassyadai.com/

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組。ゲストは、 HASSYADAI social 代表理事 の勝山恵一さんです。「恵ちゃんとは、3年くらい前に知り合ったのですが、以来、 HASSYADAI social の活動に、ずっと感銘を受けています。彼らはブレない思いをもって、若者たちの未来を本気で考えています。 今回も話を伺って、ただ彼らを応援していくということだけでなく、本当に幸せな世界をつくっていくための行動を、自分も行っていきたいと思いました」」(伊久美)

避妊や性に関して、学び相談できる場が求められている

■東島アナ「ゲストは、2回目のご登場になります、 一般社団法人・HASSYADAI social 代表理事の勝山恵一さんです。すべての若者が、人生を自分で選択できる未来のための活動を、全国の高校、少年院、児童養護施設など、120カ所以上で行なっていらっしゃいます」

■伊久美「いつも、精力的に全国を飛び回ってすごいですよねぇ」

■勝山「ありがとうございます。昨日も北海道の高校へ行ってきました」

■東島アナ「実は、今年5月の特別番組に、神戸市の公益社団法人・小さないのちのドア代表で、マナ助産院院長の永原郁子さんが出演してくださいました。小さないのちのドアでは、思いがけない妊娠や出産育児で追い詰められている女性をサポートする活動をされていて、24時間の相談窓口を設置し、経済的自立ができるまでの生活支援を行っていらっしゃいます。永原さんは、間違った知識から望まない妊娠や出産をしてしまうことで、“未来の選択肢が狭まらなように”という思いから活動を始められたそうです。このような問題から青少年を守るために、勝山さんは何が必要だとお考えですか?」

■勝山「私自身も19歳の時にパートナーが妊娠をして、その時はとても不安と焦りを感じていました。今後どうするべきかがわからず、親に相談することも躊躇していました。性に関して学校の保健体育の授業はありましたが、性のリテラシーをしっかり学ぶ機会が少なかったので、だれに相談したらよいかわかりませんでした。自分の経験からも、もう少し性に関して、リアルに学べる機会が必要だと思います」

■伊久美「19歳の恵ちゃんは、本当に焦ったんだろうなぁと想像します。何も準備ができていなかったのと、生まれてくる子どもを養うことにも大きな不安があったはずです。結局、だれかに相談できたのですか?」

■勝山「私は少し悩んだ後、勇気を出して、母に相談して、“本当に無責任だ”と𠮟られました。私自身は子どもが大好きなので、父親になりたい気持ちはあったのですが、その時は、社会の仕組みについて何もわかっていませんでしたし、就職活動の方法もわからず、頑張りたい気持ちがあっても道筋がないので、目の前が真っ暗でした。そして、何かいわれると“やめてくれ~”という感じで、追い詰められていました」

■東島アナ「19歳ですから、それがリアルですよね。永原さんも、“だれに、どこに相談してよいのかわからない”ということに、不安を感じているかたが多いとおっしゃっていました。性に関して、子どもたちが相談できる場の必要性を感じますね」

夢の実現に繋がる“移動体験”のすすめ

■東島アナ「永原さんは、“生きていく上で、目標や生きがいづくりが大切”ともおっしゃっていました。この点についてはいかがでしょうか?」

■勝山「同感です。地元の仲間の中には、中学校2年生で父親や母親になるようなケースも結構多かったです。親子関係がとても悪く、家に親がいなかったことに原因があると考えられます。親がいない家が友人たちの溜まり場になる。また、突発的なさみしさから、年上の男性を家へ連れ込み、妊娠してしまうという事例を目の当たりにしてきました。彼らが、未来やキャリアに対する希望、興味があるものを探求していける機会をつくれていたら、きっと違ったアクションが生まれていたのではないかと思ったのです。未来に対して自分の目標を設定し、一緒に頑張れる仲間と繋がりをもつことは、非常に大事だと思っています」

■伊久美「そうは言っても諦めたり、冷めていたり、絶望すら感じている若者たちに、希望をもたせるということは大変だと思います。でも、恵ちゃんは、この活動をずっと続けてきているのですよね」

■勝山「そうです。僕が大切だと思うのは “移動体験” です。親が経済的に苦しい状況になってしまっていると、その子どもたちも同じような状況に陥る確率は高いのです。関わる人たち、コミュニティが一緒なので、生き方や働き方の選択肢がない。自分自身も地元にいたときはそうでした。ただ、私はパートナーの兄との素晴らしい出会いがあって、地元以外のコミュニティへ移動体験したことがきっかけで、自分と同年代で、さまざまな生き方、働き方をしている人がいることを知り、すごくワクワクしました。経済的に苦しい状況になっている人ほど、コミュニティの数が少ないですし、同じような悩みを抱えている人たち同士で、解決できないまま悩んでいるケースが多い。ですから、一度違ったコミュニティに移動し、挑戦していけるような環境に身を置くことで、考えが変わるきっかけが生まれると思うのです」

■伊久美「今の話は、大人にとっても同じことがいえると思う。ずっと同じコミュニティに居続けていると、ヒントがだんだん減っていくことがありますよね。だから、勇気が必要ですが、“移動体験”は参考になると思いました」

■東島アナ「そうですね。そして、子どもを育てる、若者の成長という点でいうと、地域での取り組みも何かの支援となると思うのですが、地域の考え方についてはいかがですか?」

■勝山「地域の連携やコミュニティは大切だと思っているのですが、一方で今の社会状況を考えると、いきなり地域の人たちが若者たちと繋がるというのは、ハードルが高いように思います。私はやはり学校という教育の場と地域の連携、大人との連携をつくっていくことが重要だと思いますね。地域の住人や企業の人々が学校に来て、安心安全の場をつくり、地域のいろいろな人たちがコミュニケーション、相談をできる場を実現したいです」

■東島アナ「すでに、取り組みを行っている学校もあるのですよね」

■勝山「学校の中にコワーキングスペースがある高校が、石川県にあります。おそらく日本で初めての空間だと思いますが、起業家や街の人々が集まっていて、そこにふらっと若者たちが訪れ、いろいろな相談ができる場になっているのです」

■伊久美「最高ですね! 実際、活発に交流されているのですか?」

■勝山「はい。地域の人たちもたくさん来ていて、若者たち同士も出会える場所にもなっているので、ある種のセイフティネットになっていくのではないかと思います」

■東島アナ「よいモデルケースですよね。学校という安心感もありますしね」

■伊久美「ひとつだけのコミュニティではない、教育も地域も、学生さんたちを、いわばチームで助け合い、教育していく。それは、本当に素晴らしいことだと思います。これまでの HASSYADAI social の活動と、私たち大人がしっかり協力し合えば、そういう場がどんどん増えていくと思います。未来に希望がもてますね」

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀

 
 

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