初盆・新盆とは?日程、迎える際にやること、用意するものを解説
2018/07/22
そろそろ「お盆はどうする?」、「今年は初盆だから」なんて声が聞こえてくる時期ですね。「初盆って一体どんなことするのかしら」「そもそもお盆って」、なんて疑問を持ってしまう方のために、冠婚葬祭アドバイザーの中山みゆきさんに基礎知識をわかりやすく教えてもらいました。
お盆の起源とは?
お盆はご先祖さまの霊をあの世から自宅にお迎えして供養する期間のことで、日本の大切な伝統行事の一つ。その起源はいろいろな説がありますが、お盆という言葉は仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」からきていると言われています。この言葉はお釈迦さまの弟子の一人である目連(もくれん)が、自分のお母さんを成仏させたというお話が由来です。
ある日、目連は亡くなったお母さんが地獄に落ち苦しんでいるのを知ります。すぐにお釈迦さまに相談すると、「多くの僧侶に食べ物を施して供養するように」とのこと。目連はさっそくその通りにすると、お母さんは極楽浄土に行くことができました。それ以来、この日は地獄に落ちて苦しむご先祖さまの霊を救い、感謝をささげる日になったと言われています。
お盆の時期が地方によって違うのはなぜ?
一般的にお盆というと、8月13日から16日までの4日間ですね。でも実は地方によって違いがあり、東京などの関東地方では7月13日~16日、さらに7月全体をお盆の月としている地方もあります。自分の実家と夫の実家のお盆時期が違うなんてこともあるわけです。
先ほどの目連が、お母様の供養を行った日は7月15日。なので、関東地方はその日程に合わせているようです。一方、8月13日から16日がお盆の地方は、農業の盛んなところになります。なぜかというと、7月は農業の繁忙期のため、農作業が落ち着く1か月後の8月をお盆の時期にずらしていったようです。
初盆には何をしたらいいの?
人が亡くなり四十九日法要が終った後に、初めて迎えるお盆のことを「初盆(はつぼん)」と言います。または、「新盆」と書いて、「にいぼん」「あらぼん」と読むこともあります。
故人が初めて自宅に里帰りする初盆は、親戚だけでなく故人と親しかった方々をお招きして、僧侶にお経を読んでもらい盛大に供養するのが一般的です。その後、会食の法要をすることもありますので、初盆の場合はなるべく早めに準備にとりかかっておくことをおすすめします。
初盆だからこそ用意するものは?
初盆を迎える家は、初めてあの世から帰ってくる故人が迷わないように初盆専用の絵柄の無い「白提灯」を飾りますが、これは初盆でしか使わないものなので、最近では絵柄のついた提灯を始めから用意することが多くなってきています。このような提灯なら毎年、お盆に飾ることができますから経済的ですね。
故人の親戚や親しかった方々が、初盆に「盆提灯」を贈る習わしがあるところもありますが、これは昨今の住宅事情から提灯を贈るより、現金を贈ることが一般的になってきています。
お盆準備から送り盆までのスケジュール
お盆を8月13日から16日までとしているところでは、13日の最初の日はご先祖さまの霊をお迎えする「迎え盆(お盆の入り)」、16日の最後の日はあの世にお送りする「送り盆(お盆の明け)」となります。
お盆の準備の仕方は宗派によって違うので、前もって菩提寺の僧侶に早めに聞いておきましょう。下記に大まかなお盆のスケジュールをまとめてみましたので、参考にしてください。
【お盆の準備】
●菩提寺への問い合わせや依頼など
●仏壇、仏具の掃除をして清める
【12日夕刻から13日の朝】お盆の入り
●「精霊棚(しょうりょうだな)」を作りお供えをする
【13日の夕刻】迎え日
●仏壇や「精霊棚」の前に提灯を灯して、庭先や玄関先で「おがら」を焚いて「迎え火」をする
【15日か16日の夕刻】お盆の開け
●「おがら」を焚いて精霊送りの「送り火」をする
●「精霊流し」をする
※「精霊流し」は、飾りやお供えを盆船にのせて海や川に流すものですが、許可されている地域でなければできません。
「精霊棚(しょうりょうだな)」とは、「盆棚(ぼんだな)」とも言い、ご先祖さまの霊をお迎えする祭壇のこと。お盆の間は仏壇の前に置いて、仏壇から位牌、ろうそく、香炉、花立を移します。きゅうりで作った馬、なすで作った牛、個人の好きだった飲み物や食べ物なども一緒に飾ります。小さな机などで代用しても大丈夫です。自宅にスペースがない場合は仏壇の中に飾りつけをしても問題はありません。
「迎え火」と「送り火」で使う「おがら」は、「ほうろく」と呼ばれる素焼きのお皿の上に折ってつみ重ね、火をつけて燃やします。「精霊棚」、「ほうろく」、「おがら」は仏壇店はもちろん、最近ではネット通販でも買うことができます。
精霊棚は組立式のものが便利です
おがらとほうろくのセット
まとめ
お盆の起源や初盆だからこそやるべきことなどがわかったかと思います。お盆は、なによりご先祖さまをお迎えする気持ちが一番大切です。お盆で何をするかは、その家その家で無理せずにできる範囲で決めていきましょう。
教えてくれたのは・・・中山みゆきさん
All Aboutで冠婚葬祭サイトの運営に携わる。現在は、その知識を生かして冠婚葬祭関連のアドバイス活動を重ね、「思いやり」の心を大切にした情報を発信中。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)