香典袋の書き方マナー、宗派別の表書き・内袋の書き方、包む金額を解説
2019/01/23
訃報のお知らせを受けて通夜やお葬式に参列、または法事に参列するたびに、「香典袋はどの袋だったっけ」なんて悩んでいませんか。香典袋の表書きは宗派によってルールがあります。書き方や袋の選び方などもしっかりマスターして、品格のある女性を目指したいところ。そこで今回は、冠婚葬祭アドバイザーの中山みゆきさんに聞いてみました。
香典袋に書くのは筆ペン?色は決まっている?
香典袋の表面の上段には表書き、下段には自分の名前をフルネームで書きます。基本的には、表書きも自分の名前も手書きで書くのがルールです。
【通夜、葬式、告別式の場合】
上段の表書きは、最近では最初から印刷しているものが多いのでそれらを使ってもいいですが、せめて下段の名前は自筆にしたいところ。
ペンは筆ペンで、「涙で墨がにじんで薄くなってしまいました」という意味がこめられた薄墨の筆ペンで書きます。薄墨と黒と一緒になっている筆ペンが文房具店などで売っているので、1本用意しておくといいでしょう。
薄墨で書く人は少ないので、きちんと薄墨ペンを使っていると、マナーがしっかりしている人だと思われますよ。なければ普通の黒の筆ペンでも大丈夫です。ボールペンやサインペンは略式なので避けたほうがいいでしょう。
【法事の場合】
四十九日以降の法事・法要では、薄墨の筆ペンではなく、黒い墨の筆ペンで書きます。通夜やお葬式は急なことで、墨が涙でにじむということで薄墨を使いますが、初七日を過ぎてからは黒い墨を使います。こちらも、ボールペンやサインペンは略式なので避けたほうがいいでしょう。
香典袋の表書きは宗派によって違う。わからない場合は……
【通夜、葬式、告別式の場合】
●仏教・仏式……「御霊前」「御香典」「御香奠」「御香料」
ただし、浄土真宗、曹洞宗は「御仏前」を使います。「御仏前」という表書きは一般的には四十九日以後の法事に用いますが、浄土真宗と曹洞宗は、お通夜や葬儀でも「御仏前」とします。
仏教・仏式で宗派がわからなかったら「御香典」にするといいでしょう。キリスト教や神道以外であれば、各宗派、無宗教葬でも「御香典」という表書きを使えることを覚えておくと便利です。
●キリスト教のカトリック、プロテスタント……「御花料」
●神道……「御玉串料」「御榊料」「御神前料」「御神饌料」
銀の水引を使用することが多い。注意したいのは、蓮の模様が描かれていないものを選ぶこと。蓮柄は仏用です。のしはつけません。
●相手の宗派がわからない場合
仏式、神式、キリスト式など共通に使用できる表書きが、「御霊前」です。蓮の模様があるものは仏式ですので、相手の宗教がわからない場合は模様の無い「御霊前」を使用します。
ただし、浄土真宗やキリスト教のプロテスタントでは正式ではなく、失礼にあたることもあるので注意しましょう。
【法事の場合】
●仏教・仏式、曹洞宗、浄土真宗……「御仏前」「御供物料」
●キリスト教のカトリック、プロテスタント……「御花料」
●神道……「御玉串料」「御神餞料」「御神前」
●相手の宗派がわからない場合……一般的に使われる「御霊前」ですが、失礼のないようにご家族の方に尋ねるのが確実です。
香典袋の内袋の書き方マナー
香典袋の内袋の書き方は、通夜、葬式、告別式、法事すべて同じになります。香典袋の内袋がある場合は、内袋の表側に「金壱萬円」と金額を記入します。裏側には住所と名前を書きます。
内袋が無い場合は、香典袋の裏に郵便番号、住所、氏名、金額を書きます。金額の数字は、算用数字でも失礼にはなりませんが、なるべく壱(イチ)、弐(ニ)、参(三)、阡(千)、萬(万)というように漢数字で書くのがマナー。内袋にお金を入れる場合は、裏側に紙幣を表にして入れます。
内袋は、薄墨の筆ペンでも黒の筆ペンどちらでも大丈夫です。内袋の金額と名前は、読み取りやすさが最優先。薄墨で読み取りにくい文字よりも、黒ではっきり読み取れる方がいいです。黒でもマナー違反にはなりません。
表(写真上)には金額を書きます。裏(写真下)には住所、名前を書きます。
お金はこのように入れます。新札はNG、必ず折目をつけてください。
香典袋の水引や色などのルール
【通夜、葬式、告別式の場合】水引は「結びきり」を使います。
●水引の結び……「繰り返さない」「一度で終わる」という意味の「結びきり」
●水引の色……水引は黒白が一般的。銀色もあります。
●水引の本数…… 弔事には2本、4本、6本の偶数の水引を使用するのが基本。本来は、2本や4本を用います。現在では市販品をみても5本、7本を束ねた水引が多くなっています。
【法事の場合】水引は「結びきり」と「あわじ結び」を使います。
●水引の結び……「結びきり」
●水引の色……一回忌までは、黒白、または双銀の水引。三回忌以降は青白。関西地方は黄白を使います。
●水引の結び……慶事・弔事両方に用いられる「あわじ結び」。両方の端を持って引っ張るとさらに強く結ばれるので「末永くつきあう」という意味があります。
●水引の色……一回忌までは、黒白、または双銀の水引。三回忌以降は青白。関西地方は黄白を使います。
香典袋は包む金額に合わせて選ぼう
香典で包む金額によって、水引や紙の種類を変えましょう。中身が少ないのに、豪華な香典袋だと不釣り合いですからね。
●香典の金額 3千円~5千円……水引が印刷された簡易な香典袋。
●香典の金額 1万円~3万円……黒白、双銀の水引の香典袋。
●香典の金額 3万円~5万円……高級和紙、双銀の水引の香典袋。
●香典の金額 10万円〜……高級な和紙で厚みがあり少し大きめの香典袋。
まとめ
宗派によっては、失礼にあたる香典袋の表書きもあることがわかりました。悲しい席だからこそ、ご遺族の方に嫌な気持ちをさせないよう、しっかりと正しいマナーを身につけましょう。
教えてくれたのは・・・中山みゆきさん
冠婚葬祭アドバイザー。All Aboutで冠婚葬祭サイトの運営に携わる。現在は、その知識を生かして冠婚葬祭関連のアドバイス活動を重ね、「思いやり」の心を大切にした情報を発信中。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)