椅子に微笑むアジアの女の子

年中さんは「ごめんなさい・ありがとう」が言えなくなる!?

2021/11/21

最近うちの子、「ごめんなさい」「ありがとう」が自分から言えなくて・・・。実は、そんなことが起こりがちなのが年中さんです。どうして言えなくなるのか、どうすれば自分から言えるようになるのか。年中さんならではの心の不思議を探りながらお子さんへの関わり方をご紹介します。

<監修者>塩崎尚美先生(しおざきなおみ)
●日本女子大学人間社会学部心理学科教授。専門は、臨床発達心理学 乳幼児精神保健。著書に『乳幼児・児童の心理臨床』(放送大学出版社)、『実践に役立つ臨床心理学』(北樹出版)など。

※2013年度こどもちゃれんじモニターアンケート111名回答より

「ごめんなさい」「ありがとう」が言えない年中さん。それは、言うか言わないかを判断し始めた、成長のしるし

自分の感情とは関係なく言えていたのは3歳まで。4・5歳になると、どういう場面で「ごめんなさい」「ありがとう」を言わないといけないのか理解できます。それでも言えないのは、お子さんが自分の頭で考え始めたから。状況を理解し、自分の気持ちも自覚できるので、言うか言わないかを自分で判断するようになります。おうちのかたに「言いなさい」と言われて、そのまま言葉にしていたときより一段階発達した状態なのですね。おうちのかたからすると、「素直じゃなくなった」と見えるかもしれませんが、お子さんが成長した証拠ですよ。では、いったいいつ頃から素直に自分から「ごめんなさい」や「ありがとう」が言えるようになるのでしょうか?

※2013年度こどもちゃれんじモニターアンケート111名回答より

個人差・男女差はあるけれど 素直に言えるようになるのは、小学生になってから

素直に言えるようになるためには、どんなときに言うのか理解できることと、心から言えることが必要になってきます。ところが、このふたつの発達は別々なのですね。男女差はありますが、ふたつがそろうのは小学生くらいからと言えるでしょう。

 年中さんの今はどんなときに言うべきか理解できているので、大切にしたいのは「気持ち」の部分です。そこをないがしろにすると、形だけの言葉になってしまうことも。今、お子さんが言えている場合も、気持ちを大切にしているかどうか、ぜひ振り返ってみてくださいね。また、年中さんは、言葉によって相手との関係がどのように変わるのかを集団の中で学び始める時期。例えば、「ごめんなさい」を言わないと友だちと気まずい状態が続くけれど、「ごめんなさい」を言ったら前の関係に戻れた、というような体験をたくさん積んでほしいときなのです。

 そして、大切なのは、言わなくてはいけない場面を経験すること。友だちとの付き合いの中で、言えたり言えなかったりする、その経験こそが大切。お子さんが外で言えていないと、おうちのかたは心配になるかもしれませんが、それは成長のしるし。勇気を出して「言いなさい」を控えてみましょうね。

子どもがなかなか言えない・・・。 そんなとき、親はどうすればいい?

これまでお話ししたように、年中さんはどんなときに「ごめんなさい」「ありがとう」を言う必要があるのか、理解できているもの。だから、子どもの意思を尊重することが大切です。お子さんのタイプや反応に合わせて、おすすめの関わり方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「恥ずかしくて言えないよ・・・」という場合

こういう場合は、言葉が出やすくなるよう、フォローしましょう。「早く言いなさい」などとは決して言わず、「どう言えばいいんだっけ?」と問いかける程度にとどめて、お子さんが自分から言えるのを待ってみて。ふだんからおうちのかたが言う姿を見せて、あとは気長に待つのでもいいかも。

「どうして言わなくちゃいけないの!?」と、納得がいっていない場合

こういう場合は、自分が言われる体験をいっぱいさせましょう。自分が言われ慣れていないと、どういう場面で言えばいいのかわからないのは当然のこと。自分が言われる体験を通して、「ありがとうって言われると、こんな気持ちになるんだな」と、意味を理解できるのです。うれしい・気持ちいい実感が多ければ多いほど、自然と言葉が出てくるものですよね。

「『言いなさい!』って言われるのがイヤ!」と、頑固になっている場合

こういう場合は、無理じいはしないで、軽く質問してみましょう。強制すると、余計に頑固になってしまうかも。無理じいはやめて、「何て言えばいいんだっけ?」と軽く尋ねてみると案外うまくいったりします。それでも言わないときは、お子さんの意思を尊重して引くことも大事。ただ、「ここは謝るべきだよ」ということは伝えましょう。そのうえで最終的には、お子さんの気持ちを尊重する心構えが大切です。

「だってぼく(わたし)、悪くないもん!」と、認めようとしない場合

こういう場合は、まずは子どもの主張を聞いて、気持ちを受け止めましょう。お子さんにはお子さんの言い分があって、それをおうちのかたにわかってもらいたくてしかたないのです。まずはお子さんの言い分をしっかり聞いて、「わざとじゃなかったんだね」「たたかれたから怒ったんだね」など、謝りたくない気持ちを受け止めて。それから「でも、これはいけないと思うよ。ごめんなさいって言えるかな?」と伝えると、自分の気持ちをわかってもらえた安心感・満足感から、案外素直に言葉が出てくるものですよ。

いかがですか? おうちのかたの受け止め方次第で、実はお子さんの反応も変わってくるものです。お子さんの様子を見ながら、「ごめんなさい」「ありがとう」が素直に言えるように成長を見守りましょう。

参照:こどもちゃれんじ

 
 

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