怖いと泣くアジアの幼児

親も子もストレス知らず!がまんできる年中さんの育て方

2022/03/29

お店でほしいものを見つけると、「買って買って!」と駄々をこねたり、ちょっと転んだだけで大声で泣いたり。「少しはがまんしなさい!」と思っても、がまんさせるのって大変ですよね。親子ともなるべくストレスを感じずに、年中さんのがまんする力を育てる方法をご紹介します。

<お話をうかがった先生>
汐見稔幸先生
(しおみとしゆき)●家族・保育デザイン研究所代表理事、東京大学名誉教授東京大学名誉教授。専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。自身も3人の子どもの育児を経験。保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長でもある。持続可能性をキーワードとする保育者のためのエコカレッジ「ぐうたら村」村長。NHK E-テレ「すくすく子育て」など出演。

ふだんの関わり方で“がまんする力”は 年中さんからグンと伸びる!

子どもだけでなく大人もそうですが、がまんとは欲求をゼロにすることではなく、先延ばしにする、または、別の欲求を満たして満足させることです。純粋に何かを完全にがまんするというのは、難しいことなのです。
年中さんは、「わかっているけどがまんできない」という状態から、徐々に「がまんできる」ときが増えていく時期なのです。おうちのかたのふだんの関わり方によって、年中さん後半頃から、がまんの力がさらに伸びていきますよ。

判断基準をつくってストレス軽減!がまんさせること・させないこと

怒り女性
yamasan/gettyimages

がまんさせる・させないの大きな基準は以下の通りです。判断基準をつくっても迷うときは、家庭の方針に沿って臨機応変に対応しましょう。「こういうときは、いくら泣こうが譲らない」というルールを決めておくといいですね。

がまんさせること

「社会のルールに反すること」
交通ルールやマナーを教えるためにがまんさせるのは、子どものためなので譲ってはダメ。「よくがまんできたね、お姉さん(お兄さん)になったね」とほめることで、子どもが「がまんできる自分ってすごい」と喜びを感じます。この喜びが、がまんする力につながりますよ。

がまんさせないこと

「おうちのかたの好みや都合」
例えばおうちのかたが虫嫌いだと、お子さんに虫をさわってほしくないと思うかもしれませんね。でも、お子さんのさわりたい欲求をがまんさせると、好奇心が失われてしまうことも。おうちのかたの都合や好みでがまんさせるのは、なるべく避けましょう。

がまんさせないこと

「きょうだいげんかをするとき」
上の子にはがまんさせることが増えがち。でも、「がまんしなさい」と命令するのではなく、きょうだいのコミュニケーションの仲立ちをするといいですね。裁判官ではなく、気持ちを代弁する通訳になるのです。

がまんさせないこと

「習い事をやめたがるとき」
理由を聞かずに「飽きっぽい」と考えるのではなく、子どもの様子を見たり、話を聞いたりしてみましょう。「やってみたらおもしろくなかった」「先生が怖い」など、子どもなりに理由があるものですよ。

コツさえつかめばストレスなし!年中さんのがまんのさせ方OK・NGポイント

年中さんは、まだ自分ひとりで欲求をコントロールするのは難しい時期。だから、おうちのかたの手伝いが必要なのです。例えば、お菓子を食べたがる場合。「がまんしなさい」と要求をただ否定するのではなく、「明日にとっておこうね」と先延ばしにしたり、「○○くんの好きな絵本を読もうよ」と別のことへエネルギーを向けたりすることで、がまんさせるといいですね。

【OK】
・欲求を先延ばしにする
・別の楽しみを提案する

【NG】
・欲求を否定するだけ

「こんなとき、みんなはどうしてる?」年中さんの「困った…」ケース別対応例

【帰り時間を約束していても、遊びをやめようとしないとき】

公園の時計
aozora1/gettyimages

■別の好きなことに目を向けさせる
<先輩ファミリーの体験談>
・好きなテレビ番組が放映される日は、「○○が始まる前にお風呂に入らないと! 早く帰ろう!」という声かけが効きます。

■次の楽しみにつなげてがまんさせる
<先輩ファミリーの体験談>
・友だちの家なら、「また来てねって思ってもらえるよう、約束を守って今日は帰ろうね」と伝えます。「また来られる」と思えるからか、すんなり聞くことが多いですね。

【子どもにはがまんさせているのに、友だちがお菓子を買ってもらっているとき】

市内のスーパー マーケット
Rattankun Thongbun/gettyimages

■楽しみをとっておく
<先輩ファミリーの体験談>
・次に買いたいお菓子を娘に考えさせて、「楽しみはとっておこうね」と言います。がまんできたら、次にお菓子をあげるとき、あめ玉を1個追加しています。

■ほめて自信につなげる
<先輩ファミリーの体験談>
・「お友だちは今日は買ってもらえる日なんやね。いいな~」と話して、息子ががまんできたら「えらい!」とほめちぎる。この体験が自信につながるようで、がまんできる回数が増えてきました。

【電車の中など、外出先でお菓子やジュースをほしがるとき】

氷と絞りたてのオレンジジュース。クリッピングパスを持つ白い背景にガラスのジュース分離
Komphachai Muangngam/gettyimages

■考えさせて時間を稼ぐ
<先輩ファミリーの体験談>
・何が飲みたいか考えさせて時間を稼ぎ、「もうすぐだね、楽しみだね」と、一緒に時間がたつのを待ちます。

■状況を説明して途中でフォローする
<先輩ファミリーの体験談>
・「○○だからもう少し待てる?」と説明して、数分以内に「もう少し待っててね」と、忘れていないことを伝えます。長く待たせたら、「待っていてくれてありがとう」と言います。

年中さんをがまんさせるのはまだまだ大変。ご紹介した【がまんのさせ方OKポイント】を参考に、根気強く接してみてください。だんだんと「わかった」と納得できることが増えていきますよ。

※取材時の情報です。

参照:〈こどもちゃれんじ〉

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND