タブレットばかり見てる子ども…注意したほうがいいの?「GIGAスクール構想」で変わる日本の教育
2024/03/26
ニュースでよく耳にする「GIGAスクール構想」、最新の学校教育についていけていますか?1人1台の端末で対話型の授業ができるように。今どきの教育・進学事情や新しい用語を、専門家にインタビュー取材します。
<教えてくれた人>
・教育イノベーター 小村俊平さん
ベネッセ教育総合研究所・教育イノベーションセンター長。日本STEM教育学会幹事、日本教育情報化振興会理事、内閣府子ども・若者調査委員。国内外の教育動向に詳しく、メディア取材や講演の実績が多数ある。
・ジャーナリスト 宮本さおり
夫の米国留学で新聞記者から専業主婦に。帰国後、子育て・教育分野を中心に執筆。『データサイエンスが求める新しい数学力』(日本実業出版社)著者。大学生と小学生の母。
Q ニュースでよく耳にする「GIGAスクール構想」で日本の教育、どう変わる?
A 子どもたちが自ら考え、課題を解決する力を養う対話型の授業ができるように。
GIGAとは、「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取ったもので、全ての児童や生徒が世界に繋がる革新的な扉という意味があります。世界に通じる教育を実施するために、小中学校に『1人1台端末』の配備と、学校における高速通信ネットワークを整備するというのが、GIGAスクール構想の目的です。
こうした背景には、2018年に行われたOECDの調査で、日本の学校教育におけるデジタル機器活用率が調査国中最下位だったことが挙げられます。加えて、10年に一度行われる学習指導要領の改訂時期も迎えており、新しい学びを実現するためにも、教育の現場への情報通信技術(ICT)の普及が欠かせませんでした。
コロナ禍の影響もあり、学校のICT環境整備はぐんと進みました。教師の説明を生徒が聞くという授業方法を"一斉授業"と呼びますが、新しい学習指導要領では、対話や創造性を大切にする指導が求められているため、ICTを活用し、生徒同士や、先生と生徒の対話を中心とする授業へと変化しています。
学校におけるICT環境の整備状況
※「教育用コンピュータ」とは、校務用に利用しているコンピュータは含まないが、指導者用と学習者用の両方を含む。※「教育用コンピュータ」はタブレット型のコンピュータのほか、コンピュータ教室等に整備されているコンピュータを含む。出典:令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和4年3月1日現在)。
タブレットばかり見てる子ども。注意したほうがいい?
「デジタル機器=遊んでいると思う親御さんが多いのも分かりますが、端末を使った宿題も増えていますし、動画配信サイトには優れた教育動画も上がっています。やみくもに注意するのではなく、『何に使ってるの?』『何が面白い?』と声をかけ、タブレットをどう活用するべきか親子で考えてみては?最終的には子ども自身が正しい使い方ができるように導けるといいですね」(小村さん)。
対話的な授業でどんな力がつき、将来どう役立つの?
「覚えればできることは機械がやってくれる時代になります。子どもたちが社会に出たときに必要なのは、課題を発見し、乗り越える力です。一斉授業は知識を詰め込む学習には適していますが、創造性や課題解決力は養われにくい面も。一方、対話型授業では、生徒が自分で考える時間が増えるため、新しいアイデアや意見を出す力や、周囲と協力して課題を解決する能力を養えます」(小村さん)。
参照:『サンキュ!』2023年3月号「今どきの教育事情どうなってるの?」より。掲載している情報は2023年1月現在のものです。プロップ制作/川村ちゃん 取材・文/宮本さおり 編集/サンキュ!編集部