日本人女性の先生が教室の黒板に書き込む

「学校崩壊」ってどういうこと?「教師不足」は約2500人

2023/12/02

学級崩壊とは違う!今、問題になっているのは「学校崩壊」なんです。親世代の頃からどんどん変化する学校教育、ついていけていますか?今どきの教育・進学事情や新しい教育用語を、専門家にインタビュー取材します。

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<教えてくれた人>
・学校現場のエキスパート 庄子寛之さん
ベネッセ教育総合研究所教育イノベーションセンター研究員。大学院で臨床心理学科を修了。東京都内の公立小学校に約20年勤務し、「先生の先生」として全国で講演。『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)など著書多数。

・ジャーナリスト 宮本さおりさん
夫の米国留学で新聞記者から専業主婦に。帰国後、子育て・教育分野を中心に執筆。『データサイエンスが求める新しい数学力』(日本実業出版社)著者。大学生と中学生の母。

Q 学級崩壊とは違うの?今、問題になっている「学校崩壊」ってどういうこと?

日本の小学校における黒板と黒板消しゴム
mapo/gettyimages

A 志望者の減少、離職者増……。「教師不足」によって学校運営が成り立たなくなること

「学校崩壊」とは、教師の数が足らず、学校の運営が難しくなる状況のことです。よく似た言葉に「学級崩壊」がありますが、こちらは生徒が授業中に騒ぐなど、生徒側の状況により普通の授業ができず、クラスの運営が厳しくなることを指します。
文部科学省が全国の公立小中高校と特別支援学校を対象に行った調査では、全国で約2500人の教師が不足していることが分かりました。教師が不足している学校では、本来は担任を持つはずではない管理職の教師が担任を持つなど、一人の教師への負担が増える状況も生まれています。
その原因の一つには、第2次ベビーブームの時代に大量採用された世代の教師が定年を迎えたことが挙げられます。その穴埋めが必要にもかかわらず、近年は教師志望者が少なく、採用倍率も過去最低を記録しています。
また、同省が行った別の調査では、精神的疾患による教師の休職者数も過去最多を記録、定年を待たずに離職する教師も増えています。
「学校崩壊」はいまや全国的な問題として早急な対応が求められています。

教師不足の実態

各自治体の教育委員会が、学校に配置することとしている教師の人数(配当数)に対して、不足している教師数は始業日時点で約2500人。

※出典:文部科学省「教師不足」に関する実態調査(令和4年1月31日公表)より

教師の負担を減らすための取り組みは?

誰もいない地面にサッカーボール
takasuu/gettyimages

文科省は部活動の指導が教員の長時間労働を助長する要因の一つと考え、民間に委ねる「地域移行」を呼びかけています。東京などの大都市圏では徐々に進んでいますが、地方では指導者が足りないことが課題になっています。というのも、部活動の時間は平日の夕方2~3時間だけなので、それを専業とするのは難しく、他の仕事と掛け持ちでは時間が合わないなどの問題があり、人材の確保が進んでいない状況です。(庄子さん)

教師の仕事は以前よりも増えているの?

勉強のイメージ
78image/gettyimages

新しい指導要領の導入により、小学校では英語やプログラミングの授業が追加されました。また、「GIGAスクール構想」でデジタル端末が配備されたことにより、デジタル機器やICT技術を使いこなすための知識を学ぶ必要も出てきました。授業以外では、休職中の教員の穴埋めや、子ども同士のトラブルの仲裁に加え、不登校・発達障害の子に対する個別対応が増えるなどの要因が積み重なって、現場の負担が増えています。(庄子さん)

参照:『サンキュ!』2023年12月号「今どきの教育事情どうなってるの?」より。掲載している情報は2023年10月現在のものです。撮影/押尾健太郎 プロップ制作/川村ちゃん 取材・文/宮本さおり 編集/サンキュ!編集部

 
 

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