教育費は将来確実に使うお金なのに、NISAで貯めても大丈夫?新登場のNISAに注目が集まりがちですが、教育費の貯め方は、ほかにもあります。まずは、それぞれの貯め方の基本をおさらい。わが家に合った貯め方を見極めましょう。

<教えてくれた人>: ファイナンシャル・プランナー 前田菜緒
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。アラフォーで出産し、長女(12歳)、二女(9歳)のママ。著書に『書...
貯め方は、その特徴をよく理解して選択を
大学受験費用、入学金、4年間の授業料など大学進学にかかる「教育費」の貯め方として、これまでは児童手当、学資保険、預貯金が主にあげられてきましたが、そこに加わったのがNISA。それぞれの貯め方には一長一短があり、子どもの年齢によって向き不向きがあります。
「1つの方法だけで貯めるのではなく、いくつかを組み合わせることで、より確実に、手厚く備えることができます。それぞれの貯め方の特徴を理解して、選択することが大事です」。
●大学進学用に準備すべき教育費の目安は、18歳までに1人あたり約600万円
国公立か私立かで必要になる金額は異なりますが、まだ進路が決まっていない場合は、入学金と4年間の授業料として500万円、受験費用や滑り止めの学校の入学金用にプラス100万円。合計600万円あると心強いです。
貯めるのは鉄則!児童手当
●知っておこう!
24年10月から支給年齢が18歳※1までに拡充された!0歳からぜ~んぶ貯めると1人最大245万円。
これまで、児童手当は中学生以下が支給対象でしたが、昨年10月から18歳までになりました。受給額は2歳まで月1万5000円、3歳以上は月1万円。受給1回目から毎月貯めると、18歳のときに最大245万円※2が貯まることに。また「第3子以降」の受給額が、年齢に関係なく月3万円に増額※3されました。
※1 18歳の誕生日以後の最初の3月31日まで
※2 4月生まれの子の場合は245万円。5月生まれ以降、順次逓減します
※3 上の子に親の経済的負担がある場合は22歳年度末までカウント対象になり、その子から数えて第3子以降の児童手当が月3万円に
●メリット
確実にもらえる
●デメリット
生活費と混同しやすいので、専用口座を作るなど、確実に貯める管理が必要
預貯金か学資か、どちらか選択しても〇 学資保険
●知っておこう!
預貯金だと使っちゃう人は強制的に貯められるのでおすすめ。
・18歳で1人約200万円※の学資金を受け取ることも可
毎月決まった額の保険料を払うことで、あらかじめ設定した学資金を受け取ることができる貯蓄型の保険。契約者(親)が万が一の場合は、その後の保険料は免除されて、当初の契約通りの学資金が支払われます。
※学資金、保険会社によって異なる返戻率、子どもの年齢、契約者の年齢・性別、保険料払い込み期間などによって月保険料が異なります
※2歳以上で加入すると元本割れする商品もあるので注意
●メリット
・親に万が一のことがあった際、保険料払い込みが免除される
・生命保険料控除の対象だから、税金が安くなる
・保険料が口座引き落としなので確実に貯まる
●デメリット
・返戻率が低め
・中途解約すると元本割れすることも
「なかなか殖えない」のが最大の弱点 預貯金(積み立て貯蓄・定期預金)
●知っておこう!
給与天引きなどで強制的&自動的に貯まる仕組みに。
目標金額の600万円を確実に貯めるには、毎月いくら貯蓄する必要があるかをまず計算。その金額分が、毎月決まった日に専用口座に自動的に入金される仕組みをつくるのが〇。定期積立預金などを利用すると便利です。
●メリット
・元本割れしない
・必要なときにすぐに現金化でき、ネットバンキングで振り込み可
●デメリット
・金利が低め
・インフレに弱い
・別の目的で使ってしまう危険性がある
24年1月から教育費の新たな貯め方として登場!NISAってなあに?
●知っておこう!
投資でお金が殖えても本来かかる税金がかからない制度です。
通常、投資で殖えたお金(利益)からは約2割の税金が引かれ、手元に残るのは約8割。でもNISA口座を活用して投資信託や株を買って殖えた分からは税金が引かれずに、“儲け”を丸々受け取ることができます。また投資信託を毎月決まった金額分ずつ買う「積み立て投資」は、長期間続けることで元本割れリスクを低く抑えることに。
●メリット
・一般的には預貯金よりも利回りがいい
・利益が非課税
●デメリット
・元本割れのリスクがある
・積み立て投資の場合は殖やすのに時間がかかる
【注意点】
●月収(手取り)の6カ月分を貯めてから、投資を始めましょう。
投資は、手取り月収6カ月分の「生活防衛費」を預貯金で貯めてから。生活費に困ったときはこちらを下ろして、運用中のお金は崩さないこと。投資は余剰金でするのがルールです。
●子ども名義の口座はつくれません
NISA口座を開設できるのは、利用する年の1月1日時点で18歳以上の人。未成年の子ども名義の口座はつくれないので、親名義のNISA口座を利用。ちなみに、口座は1人につき1口座のみ開設可能。
ただしNISAで教育費を貯めていいのは子どもが9歳未満まで!
<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 前田菜緒さん
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。アラフォーで出産し、長女(12歳)、二女(9歳)のママ。著書に『書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方』(翔泳社)がある。
※投資に元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任の上で行ってください。
※この冊子に掲載した情報は、24年12月17日現在のものです。情報は変わることがあります。
参照:『サンキュ!』2025年3月号「NISAで教育費貯めてもいいですか?BOOK」より。掲載している情報は2025年1月現在のものです。監修/前田菜緒 取材・文/村越克子 編集/サンキュ!編集部