新学期「友だちできた?」としつこく聞かず、新しい人間関係を見守りましょう

2023/06/07

環境が大きく変わる新学期。子どもを持つ親の心配は尽きません。現役教師として子どもの成長を見守る「きむち先生」こと木村翔太先生に、学校でのモヤモヤを抱える子どもとの関わり方のコツを聞きました。

体育、英語を中心に全教科の授業を行いながら、「あたり前を問う面白さ」を学ぶ「てつがくラボ」の選択授業を担当。...

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新学期は人間関係が不安定。親は大らかに見守りましょう

学校のバッグ
paylessimages/gettyimages

新学期はいつもより子どもがエネルギーを使っている印象を受けます。1年かけて人見知りを克服した子は、また一からのスタート。前のクラスでお笑い担当だった子が同じポジションでいられるとは限りません。このように誰もがどこまでキャラクターを出すかを探り合っている感じです。新しい先生の「怒るポイント」も見極めなくてはいけませんしね(笑)。
一方で、前のクラスで人間関係に困っていた子はリセットできますし、逆に居心地が悪い環境を、どう乗り越えていくかを学ぶ成長の機会でもあります。そうして少しずつ時間をかけながら新しい人間関係ができ、クラスも安定していくものです。
学校ではテンションを上げて緊張して過ごしているので、家では少し疲れている様子を見せるかもしれませんが、親は焦らず、大らかに構えて見守ってほしいですね。

「いつもと違う……」わが子のサインをキャッチ

「モヤモヤを抱えているかも?」をキャッチするポイントは、日常生活の中での変化です。「いつもより表情が暗い」「食欲がない」「眠れない」「話しかけても上の空」など、わが子の違和感をキャッチしましょう。そのためには普段の会話やコミュニケーションが大切です。

子どもの話を聞くコツ3ステップ

1 状況を聞く
どうしたの?
何かあったの?

2 思いを聞く
どう思ったの?
どう感じたの?

3 対応を聞く
どうしたいの?
どうすれば解決できるかな?

アジアの少年沿う彼の母親
Image Source/gettyimages

親はどっしりと構えて、「そうなんだ~」「分かるわ~」と共感しながら話を聞きましょう。先回りせず子どもが考えて話すのを待ちます。「何かあるんじゃないか」を前提に、不安げに細かく聞き過ぎないよう心がけて。

共感しながら話を聞きましょう

新学期のモヤモヤ こんなとき、どうする?

仲が良かった友だちと離れてしまった……

密な関係だったほどロス感は強いものですが、友だちは「いなくなったから、つくろう」と思ってできるものではありません。クラスのグループ活動などで関わり合う中で、自然と新しい関係ができていくものです。「友だちできた?」としつこく聞かず、時折、「気の合う人いそう?」と声をかけながら、新しい人間関係ができていくのを焦らず見守りましょう。

新しい担任のことがイヤそう……

親も一緒になって先生の悪口を言うのはNG。先生は1年間変わらないので、「そうなんだね」と聞きながら、先生との関係が悪くならないようにポジティブな言葉に"翻訳"してみては。「いちいち注意する⇒ケガを心配しているんじゃない?」「漢字のトメ・ハネに細かい⇒将来困らないように教えているのね」など、子どもが前向きに過ごせるような声かけを。

学校の様子を話してくれない……

親に面と向かって見つめられると子どもは話しづらいもの。ちょっと疲れているだけなのに、あれこれ聞かれると面倒くさくなって作り話をすることもあります。肩を並べて同じ方向を向いていると話しやすいので、散歩をしたり、テレビを一緒に見たりしながら、さりげなく話しかけてみては。「仕事でこんなことがあって」と親の悩みをきっかけにするのも手。

「学校行きたくない」と言う……

学校は無理やり行く場所ではないので、休ませてあげてください。イヤなことがあったときにエスケープするのは大事な力です。「一度休んだらズルズル続くのでは」という親の不安も分かりますが、まずは親がテンパらないこと。休息の1日を過ごし、2日目に話を聞いて対策を考えても休みが続きそうなら、先生に相談を。意外とすぐに解決することもあります。

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<教えてくれた人>
東京学芸大学附属世田谷小学校 木村翔太先生
体育、英語を中心に全教科の授業を行いながら、「あたり前を問う面白さ」を学ぶ「てつがくラボ」の選択授業を担当。「正しさより面白さ」を教育の現場で実践する。東京学芸大こども未来研究所学術フェローを兼務。

参照:『サンキュ!』2023年6月号「"友だち関係のモヤモヤ"親はどうする?」より。掲載している情報は2023年4月現在のものです。イラスト/ふじいまさこ 構成・文/米原晶子 編集/サンキュ!編集部

 
 

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