『子どもの"主体性"を引き出す5カ条』親は手助けする伴走者でいて
2023/06/28
親は子どもに「自ら考えて行動できる人になってほしい」と思うもの。現役教師として子どもの成長を見守る「きむち先生」こと木村翔太先生に、"考えるチカラ"を身につけるために、親が心がけたいことを聞きました。
<教えてくれた人>: 東京学芸大学附属世田谷小学校 木村翔太
体育、英語を中心に全教科の授業を行いながら、「あたり前を問う面白さ」を学ぶ「てつがくラボ」の選択授業を担当。...
- 安心して失敗ができるよう大らかに見守る伴走者に
- 親はここに注意!子どもの"主体性"を引き出す5カ条
- 思うようにならない こんなとき、どうする?
- 木村先生監修「小学生が身につけたい!考えるチカラ」シリーズ 好評発売中!
安心して失敗ができるよう大らかに見守る伴走者に
小学生の子を持つ親なら、「歯磨きをして忘れ物をせず登校し、帰ったら宿題をして、10時には寝てほしいと思うことでしょう。確かにスケジュール通りに動いてくれると楽ですが、先回りして「あれして、これして」と口出しし過ぎると、指示されたことしかできなくなります。
「何のためにするのか」を理解し、子どもが"主体的"に考えて行動できるようになるまで、親は待つことが大事。「忘れ物をして困った」「走ったら転んだ」と失敗することで、「次はそうならないようにしよう」と考え、工夫するようになります。
子どもが関わる日常生活ではミスしてもいいことがほとんど。時には親がやってほしくないことをするかもしれませんが、自分で考えて行動する子どもを大らかに見守って。親は子どもが困っているときに手助けする伴走者でいてほしいですね。
親はここに注意!子どもの"主体性"を引き出す5カ条
1 「一人の人」として扱う
子どもが自分の一部だと思っていると、過干渉になりがち。「親の思う通りに育つものではない」と心得て接する。
2 子どもの立場になってみる
自分が子どもだった頃のことを思い出し、当時の自分が「嫌だった」「納得できない」ことは子どもに強要しない。
3 「制限」と「自由」を示す
「今日は半袖かな。どの服にする?」「○時までには宿題終わらせよう」など、制限を示しつつ子どもが考える幅を持たせる。
4 失敗する姿を大らかに見守る
失敗の課程を経験することで考えるチカラが身につくもの。「失敗しても、間違っても大丈夫」という安心感を与える。
5 親も「プレーヤー」でいる
自分の夢を子どもに託して指示する"監督"になるのではなく、親も好きなことや仕事などを通して頑張る姿を見せる。
思うようにならない こんなとき、どうする?
学校の忘れ物が多い……
「なくて困った」と本気で思ってこそ、「次は忘れないようにしよう」と意識するようになるので、忘れ物をすることも大切な経験です。意識しているのに直らなくて本人が困っているようなら、親のサポートが必要です。「明日特別な持ち物はある?」と声をかけたり、忘れないようにするための作戦を一緒に考えたりしながら、少しずつ任せていくようにしましょう。
口うるさく言わないと宿題しない……
親から指示されてばかりいると、自由を享受できず、自ら考えて行動することができなくなります。「宿題をしなさい!」「早くしなさい!」と命令するような言い方ではなく、「今日はどういうスケジュール?」「何時くらいに終わる予定?」「何か困っていることある?」など、子どもが自分でいいタイミングを考えて行動できるような声かけを工夫してみましょう。
おこづかいで無駄遣いをする……
「好きな物を買ったけど、あっちを買えば良かったかな」と後悔しながら、お金の使い方を学んでいきます。親から見たら無駄な物を買うこともありますが、子どもの裁量に任せましょう。後から「それはダメ」「いらないものでしょ」と言うのはNG。親が許容できる範囲の額にするか、それが難しいなら、必要なときにその都度お金を渡すおこづかいのあげ方がいいでしょう。
自分の意見を言えない……
自分の意見を言うためには、まず自分の「考え」がないとできません。普段の生活で「何をしているときが好き?」「どっちのドリルがいい?」など問いかけてみましょう。問われることで考えるようになります。「どっちなの!」と圧をかける調子ではなく、「そうなんだ」と共感して。「何を言っても大丈夫」という安心感を与えながら、どっしりと待つことが大事です。
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<教えてくれた人>
東京学芸大学附属世田谷小学校 木村翔太先生
体育、英語を中心に全教科の授業を行いながら、「あたり前を問う面白さ」を学ぶ「てつがくラボ」の選択授業を担当。「正しさより面白さ」を教育の現場で実践する。東京学芸大こども未来研究所学術フェローを兼務。
参照:『サンキュ!』2023年7月号「小学生のうちに"考えるチカラ"を育むため!親ができること」より。掲載している情報は2023年5月現在のものです。イラスト/ふじいまさこ、トリバタケハルノブ 構成・文/米原晶子 編集/サンキュ!編集部