相続専門のプロが解説!迷惑をかけられた兄に遺産を1円も残したくない両親。絶縁状態のきょうだいと揉めないためにやっておくこと

2025/06/07

両親の遺産相続、絶縁状態のきょうだいともめたくない場合はどうすればいい?頭を悩ませる実家と親のモンダイに、専門家がずばりアドバイス!未来のために今からちょこっと考えておくと安心です。

祖父が亡くなったときに相続の大変さを痛感し、困っている人の役に立ちたいという思いから相続専門の税理士に。新刊...

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両親が、迷惑をかけ続けられた兄に遺産を1円も渡したくないって……

2人きょうだいの妹です。兄は長年、親にお金を無心してきた様子。親はあきれ果て、今は絶縁状態です。「自分たちが死んでも長男には遺産を一切渡さないでほしい」と私に言うのですが、将来、兄ともめたくなくて……困っています。
相談者 M・Nさん(神奈川県 43歳)

お兄さんには「遺留分」を請求する権利があるので、難しいかもしれません

遺言があれば、基本的にご両親の意思で遺産を分けることができます。ただし子どもには遺留分という法的な権利があるため、親の死後、兄が遺留分を請求してきた場合は対応しなければなりません。

遺留分って?

法律で定められた、最低限の割合の遺産を相続する権利のこと。子どもや親、配偶者などの法定相続人(故人の兄弟姉妹以外)に認められている。割合は相続人の構成により異なる。

後でもめないために、ご両親に遺留分を加味した遺言書と、その分の現金を残してもらいましょう

有効な遺言書がないと、兄は法定相続分をもらえる権利がありますが、遺言がある場合、兄に保証される権利はその半分の遺留分のみ。専門家に相談し、遺言書を親に用意してもらうと安心です。遺留分を請求されると現金払いが原則。その分を確保しておいて。

法定相続分って?

法律で定められた相続人が受け取る遺産の割合のこと。故人が遺言を残さなかった場合、この割合に従って遺産を分ける。遺産割合は相続人の構成により異なる。今回のケースなら配偶者が1/2、子どもは1/4ずつ。

お兄さんに渡す遺産を少なくする方法として「生命保険」を利用する手もあります

預金や不動産などと違い、生命保険金※は相続財産に含まれず、原則的に遺産分割や遺留分の対象外。そのためご両親が預金で生命保険に加入し、受取人をあなたに指定すれば、兄は保険金を遺留分の対象とできず、結果的に兄に渡る遺産額を抑えられます。ご両親にこういう方法もあると話してみては?

※ただし、極端に高額な保険金は遺留分の対象になる場合があります。

相続における生命保険金って?

故人が保険料を支払った生命保険金は受取人の財産とみなされ、基本的に相続遺産に含まれない。故人の意思に沿って特定の相続人に資産を多く残す方法として有効。一括払いの保険なら高齢でも加入できるものも。

<教えてくれた人>
円満相続税理士法人 税理士 桑田悠子さん
祖父が亡くなったときに相続の大変さを痛感し、困っている人の役に立ちたいという思いから相続専門の税理士に。新刊に『マンガ・図解でわかりやすい! 世界一やさしい 相続超入門』(インプレス)。インスタグラムアカウントは「yuko_tax」。

マンガ・図解でわかりやすい! 世界一やさしい 相続超入門



参照:『サンキュ!』2025年5・6月合併号「どうしよう!実家と親のモンダイ」より。掲載している情報は2025年3月現在のものです。構成/竹下美穂子 取材・文/神坐陽子 編集/サンキュ!編集部

 
 

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