知らないと大損!?いつかやらなければいけない「相続財産調査」について専門家が解説
2024/10/26
親がどの銀行の何支店に口座を持っているか、あなたは把握していますか?節約アドバイザーの丸山晴美さんは、「これを知らないと、いざという時にとても大変なことになる」と言います。その理由と、そうならないためにやっておくべきことを聞きしました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2024年10月時点の取材情報を基にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「相続財産調査」!
親の銀行口座などを調べなければいけない「相続財産調査」とは?
「相続財産調査」というものをご存じですか?これは亡くなった人の財産を全て洗い出し、財産額を確定させること。親が亡くなった時、遺産分割や相続放棄、相続税申告などのために誰もが必ずやらなければならないものです。
相続財産の種類はさまざまですが、国税庁の2022年分のデータによると、相続税申告された財産のうち、現金や預貯金などが占める割合は全体の34.9%。相続財産のうちで最も多い割合です(※1)。
しかし、親の銀行口座などをすべて知っている人は少ないのではないでしょうか。
相続財産調査が正しくできないと、プラスの財産(預貯金、土地、保険金積立金など)よりマイナスの財産(借金、住宅ローンなど)が多いと勘違いして財産放棄をしたり、その逆になってしまうなど、判断を間違えて後悔するおそれがあります。
また、申告後に税務調査で新たな財産が発見された場合、その分の相続税と延滞税に加え、過少申告加算税が課され、悪質と認定された場合は重加算税等の高税率の税金を加算され納税しなければなりません。
つまり、本来納める必要のなかった税金まで課せられるリスクが生じるのです。
そうならないために、今からしておくべきことについて解説します。
弁護士などに依頼すると10〜30万円もの費用がかかる
昔はタオルやカレンダーなど、銀行のノベルティグッズが家にあり、それでどこの銀行と取引があるかが推測できました。今は紙の通帳すら使わなくなってきている時代で、キャッシュカードが見つかればラッキーという状況。親の銀行口座などの金融資産を調べることが、とても難しくなってきています。
一方、相続財産調査の期限に決まりはありませんが、相続放棄や限定承認の期限が「相続が発生したことを知った日(=亡くなったことを知った日)から3カ月」とされています。手続きのことを考えると、2カ月余りのうちに相続財産調査を終える必要があるのです。
相続税申告を税理士に依頼することで負担はかなり軽減されますが、遺産総額の0.5~1.5%の費用がかかります。相続をめぐって親族間で争いが起こった場合は弁護士に相談・依頼することになり、内容によってはさらに費用がかかります。
親が元気なうちに口座の確認や整理をしよう
これらのことを考えると、親が元気な時に銀行口座や取引のある金融機関について教えておいてもらうことが大切です。「◯◯銀行の◯◯支店に口座がある」程度の情報でいいので、親に確認してメモを残しておきましょう。
ついでに、使用しているクレジットカードや加入している生命保険、証券口座などについても確認しておくと安心です。
また、親が何年も使っていない銀行口座を持っている場合は、速やかに解約してもらいましょう。銀行口座は名義人以外が解約しようとすると、委任状や代理人の本人確認書類などが必要になりとても面倒。名義人本人が手続きをするのが、最もラクで早い方法です。
人生はいつ、何があるかわかりません。万一、自分に何かあった場合、相続財産調査を相続人である配偶者や子どもたちがすることになります。その時、配偶者や子どもたちが苦労をしないように、自分の口座も今から整理し、必要な情報をエンディングノートや遺言書などで相続人へ残すことが大切と言えるでしょう。
取材・文/かきの木のりみ