相続税って絶対払うの?少しでも減らす方法ってあるの?相続に関するギモンを超わかりやすく解説
2024/05/02
いつか必ずやってくる「相続」。きょうだい間でモメないためにも、読者から特に多く上がった疑問の声に、相続専門税理士の桑田さんが答えてくれました。これだけでも押さえておくと、きっと役立つはず!
<教えてくれた人>: 円満相続税理士法人 相続専門税理士 桑田悠子
祖父が亡くなったときに相続の大変さを痛感し、困っている人の役に立ちたいという思いから相続専門の税理士に。SN...
桑田さんが所属する円満相続税理士法人代表橘慶太さんのベストセラー書籍
Q そもそも、相続ってどれくらいもらえるの?
A 「法定相続人」の相続の割合を知っておきましょう
法定相続人とは、遺産を相続する権利がある人のこと。「下の図の場合、法定相続人は配偶者である妻と子です。この場合の法定相続割合は、妻が半分、子は残りの半分を等分した割合となります。遺言書や話し合いで自由な分け方が可能ですが、遺留分は変わりません」。
Q もし、相続で困ったらどこに相談すべき?
A 困りごとのケースによって相談先が変わります
「相続税は税理士、モメごとは弁護士など要件によって窓口が変わります。ただ、相続は相談先の横のつながりも多く、必要に応じて紹介してもらえることも。今はオンライン化も進んでいるので、実家のある地域にこだわらず、自分が相談しやすいところに頼んでOK」。
●家族間でモメている相続を扱えるのは弁護士だけ!
・家族仲が不仲で、相続争いが起きて困っている → 弁護士
・家族仲は良好で、相続税や税務署からの調査が不安だ → 税理士、公認会計士
・家族仲は良好で、各種名義変更で困っている → 司法書士、行政書士
Q うちそんなにお金ないと思うけど……、相続税って絶対、払うの?
A 課税の対象になるのは故人100人の内、約9人と少なめです(※)
相続税は下記のように基礎控除(非課税枠)があり、これを超えた部分にしかかかりません。「9割の人は対象外ですが、地価が高い地域や法定相続人が少ない場合は注意。仮に1億円の財産があり、相続人が子ども1人なら、相続税は1220万円。これを10カ月以内に納税する必要があります」。
※国税庁「令和2年分相続税の申告実績の概要」より
無条件に与えられる3000万円と、法定相続人ひとりにつき600万円が基礎控除。課税対象となる資産がある場合、10~55%の相続税がかかる。
Q 相続税を少しでも減らす方法ってある?
A あります。簡単なのは、「生命保険」です。
「故人自身が保険料を支払った生命保険金を、相続人が受け取ると、『法定相続人の数×500万円』まで相続税が非課税になることがメリットです。高齢でも、一括払いの保険なら加入できるものが多いので、検討する価値あり」。他にも対策はいろいろあるので税理士に相談しよう!
●新制度にも注目 年110万円までは完全非課税に!
年110万円までの贈与は非課税ですが、これまでは贈与した人が亡くなった場合、死亡から7年前までの分は、相続財産としてカウントされていました(暦年贈与)。24年1月からの新制度では、この相続財産へのカウントがなくなります(精算贈与)。多くの人にとって新制度の方がお得ですが、使うには税務署に申請が必要です。
Q 親の借金を引き継ぎたくないので、相続放棄ってできる?
A できます。――が、申込期限があるので注意を!
「相続放棄は、自分に相続の権利があると知ってから3カ月以内に申請すればOK。ただし葬儀や死後の手続きでバタバタしているうちに期限が切れてしまうこともあるので、注意しましょう。また、遺産の一部をもらっていたら、後で借金があると気づいても放棄できなくなる点にも留意が必要です」。
これだけでも知っておこう!相続スケジュール
■亡くなったことを知り、自分が相続人となったことを知った日の翌日から…3カ月以内
→「相続放棄」〆切
■亡くなったことを知った日の翌日から…4カ月以内
「準確定申告」(※)〆切
■亡くなったことを知った日の翌日から…10カ月以内
「相続税の申告と納税」〆切
※被相続人が1月1日から死亡日までに確定した所得金額および税額を計算して、相続人が申告と納税をすること
<教えてくれた人>
円満相続税理士法人 相続専門税理士 桑田悠子さん
祖父が亡くなったときに相続の大変さを痛感し、「困っている人の役に立ちたい」と相続専門の税理士に。X(旧Twitter)やインスタグラム、TikTokで相続に関するお役立ち情報を発信中。趣味はサウナと料理。インスタアカウントはyuko_tax
参照:『サンキュ!』2024年5月号「親&きょうだいとモメない相続」より。掲載している情報は2024年3月現在のものです。全体監修/桑田悠子 構成/竹下美穂子 イラスト/ネコポンギポンギ 編集/サンキュ!編集部