メインの給与以外に副業の収入があっても確定申告すれば節税できる!最近は、本業以外に副業で稼いでいる人も増加中。副業の収入分を申告しないと、追徴税がかかる場合があるので注意しましょう。
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<教えてくれた人>: 元国税専門官 金融ライター 小林義崇
04年より東京国税局の国税専門官として、相続税の調査や所得税の確定申告業務に従事。17年にフリーライターに転...
メインの給与以外で、20万円超の所得があれば確定申告を
副業は特に法律で定められた定義はなく、本業以外で、パートやアルバイトなど企業に雇われて働く場合や、自ら起業して事業主として仕事をするなど、さまざまな形態があります。
基本的には、本業の給与収入以外に、副業で年間20万円を超える所得があったら、確定申告が必要です。確定申告することにより、払い過ぎている税金を還付金として取り戻せる可能性があるので、忘れずに申告しましょう。
※会社の就業規定で副業を禁止している所もありますので、勤務先のルールをご確認ください。
●副業の収入は、「雑所得」または「事業所得」として申告する
確定申告書を作成する際、副業で得た収入は「雑所得」または「事業所得」で区分します。明確な収入額の基準はなく、一般的には小遣い稼ぎ程度なら「雑所得」、事業として安定した収益を得ているなら「事業所得」となります。
●所得とは、収入から控除や必要経費を引いたもの
収入=所得と思っている人も多いのでは?所得は年間の収入の合計額から「給与所得控除」や必要経費を差し引いた金額のこと。所得税の対象となるのは、所得金額になります。
フリマで得た利益にも税金はかかる?
フリマアプリで物を売り、プチ稼ぎをしている人も多いでしょう。場合によっては利益の申告が必要になるので、要チェックです。
●不要品を売るだけなら、税金はゼロ!
フリマアプリを通じて、生活用品や洋服、本など、家で不要になった物を売って収入を得たとしても、通常は税金がかかりません。自家用車や家電、家具なども生活必需品として税法で「生活用物産」と分類され、不要品販売でいくら儲けても非課税!不要品でも注意したいのは、継続的に同じような物を販売したり、高価な貴金属や美術品を販売したりする場合。営利目的と見なされ、利益によっては確定申告が必要になります。
●ただし!こんな物を1個30万円以上で売った場合は、申告が必要
自身の生活で使っていた物の中でも、貴金属や美術品、骨董品などを売ったときは、確定申告が必要になる場合も!下記のような品物が1個または1組あたり30万円超で売れた場合は、申告が必要。「総合課税の所得」に区分され、売却による利益のうち、年間で50万円を超えた部分が課税の対象になります。
例えば……
・書絵 ・貴金属
・骨董品および美術工芸品
・貴石、半貴石
・真珠、真珠製品
・べっ甲製品
・さんご、こはく製品
・象牙品 ……など
ハンドメイド作品を売った利益は、場合によって課税対象に
趣味と実益を兼ねて、ハンドメイド作品をフリマアプリで販売している人もいるでしょう。ハンドメイド作品の販売で収入がある場合、利益によっては税金がかかります。課税の対象になるのは、売上金から売れた作品にかかった材料費や送料などの経費を差し引いた利益のみ。ハンドメイド作品の販売以外の収入によって、課税対象となる利益額が異なります(下記・仕入れて売るの図を参照)。
転売で得た利益は、一定額を超えると税金がかかる!
家にある不要品を売るのではなく、ほかの所で仕入れた商品を販売して収入を得ている場合は、営利目的と見なされ、「雑所得」または「事業所得」として確定申告が必要です。ハンドメイド作品販売と同様に、売上金から必要経費を引いた利益に対して、税金がかかります。副業の場合、転売で得た利益が年間20万円以内なら非課税に。専業主婦などで収入がない人は、基礎控除の48万円までは所得税がかからないので、利益が年48万円以下なら申告は不要※1です。
中古品を仕入れてフリマに出品する場合は、「古物商許可」※2が必要!
※1 所得(利益)が43万~48万円だと、住民税の申告が必要。
※2「古物商許可」なく、中古品を売ることは違法です。また、チケットなど転売禁止の物や、酒類·海外の化粧品などで許可が必要な物もあるので、ルールを確認のうえ、出品してください。
<教えてくれた人>
元国税専門官 金融ライター 小林義崇さん
04年より東京国税局の国税専門官として、相続税の調査や所得税の確定申告業務に従事。17年にフリーライターに転身。著書に『図解でわかる 絶対トクする!節税の全ワザ』(きずな出版)など。
※この特集で掲載している情報は、24年12月23日現在のものです。
参照:『サンキュ!』2025年3月号「かしこく節税して手取りを増やす本」より。掲載している情報は2025年1月現在のものです。構成・文/宮原元美 編集/サンキュ!編集部