確定申告で払い過ぎた税金を取り戻そう!会社員でもフリーランスでも、医療費控除やiDeCo、ふるさと納税などに該当する場合は、確定申告を行うことで還付金が受け取れる可能性があります。

<教えてくれた人>: 元国税専門官 金融ライター 小林義崇
04年より東京国税局の国税専門官として、相続税の調査や所得税の確定申告業務に従事。17年にフリーライターに転...
医療費控除
【医療費控除の対象になる費用】
・診療費、治療費
・入院費(部屋代、食事代など)
・医薬品の購入費(医師の処方箋がある場合)
・通院のための交通費
・あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、鍼灸師による施術費
・保健師、看護師、准看護師または特に依頼した人による療養上の世話の対価
・助産師による分娩の介助の対価
・介護費用
・医療用器具の購入代、レンタル料……など
●申告の際、「医療通知書」を添付すれば、明細書は不要
申告に必要な「医療費控除の明細」への記入は、健保などから届く「医療通知書」があれば、病院への支払金額の明細は不要。(通知書は1~9月までの記載のみなので、10~12月分は領収書を添付)。
家族全員の年間の医療費が10万円超えたら申告を!
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間の医療費が10万円を超えた場合(総所得額等が200万円未満なら、その5%を超える医療費を支払った場合)に適用されるもの。医療費控除は、納税者本人のほか、生計を1つにする配偶者や子どもや親も対象になるので、家族にかかった医療費の領収書をまとめて計算してみて。ただし、医療にかかった費用が全て対象になるわけではなく、病気の予防や美容目的の費用は対象外に。上の一覧を参考にして、申請するものをまとめましょう。
【医療費控除の対象にならない費用】
・健康診断、人間ドックの費用
・美容整形費用
・美化のための歯科矯正費用
・眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器の費用 (治療に必要な特殊眼鏡はOK)
・車で通院する場合のガソリン代、駐車場代
・ビタミン剤など、病気の予防や健康促進のための医薬品代
・疲れを癒やしたり、体調を整えたりするためのマッサージ費……など
★医療費控除の対象となる費用の詳細は、国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp)をチェック!
★25年の確定申告の期間は、25年2月17日~ 25年3月17日。申告予定がある人は早めに準備を!
薬局で買った薬代が年1万2000円超なら、「セルフメディケーション税制」※を
医療費の総額が10万円以下の場合も、薬局で買った薬や湿布など(医師の処方箋がないもの)のレシートをチェックしてみて。「セルフメディケーション税控除対象」のマークが付いている対象品の購入額が、1年間で1万2000円超あれば、購入金額に応じて、最大8万8000円の控除が適用されます。
※「セルフメディケーション税制」は、医療費控除と併用はできません。
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)※
※会社員の場合、年末調整でも控除可能。
●老後資金を積み立てしながら、所得税、住民税が減らせる
iDeCo(確定拠出年金)は、公的年金とは別に自分年金が作れる制度。毎月の掛け金で運用商品を選び、長期運用することで老後資金が準備できます。iDeCoの掛け金は小規模企業共済等掛金控除として申告することで、全額が所得税控除の対象になるのがメリット!iDeCoの掛け金が多いほど、その年の住民税と所得税が少なくなります。さらに、通常、投資で得た利益には税金がかかりますが、iDeCoで運用期間中の利益は非課税、受け取り時も一定額までは非課税なので、節税効果が高いのが特徴です。
※JIS&T「iDeCoポータル」(https://www.jis-t.kojingata-portal.com)で試算。年収は手取り額ではありません。
課税所得とは、必要経費や保険料等の各種控除を差し引いた額であり、個人によって異なります。
iDeCoと住宅ローン控除を併用するときの注意点は?
iDeCoと住宅ローン控除を併用した場合、iDeCoの控除によって税額が少なくなると、住宅ローン控除の節税メリットが減ってしまうケースも。銀行のサイトなどで試算してみて、住宅ローン控除を優先したうえで、iDeCoの掛け金を設定しましょう。
寄付金控除(ふるさと納税)
●2000円以上の返礼品を受け取ることで節税効果に
ふるさと納税は、寄付した金額のうち2000円を超える部分について、所得税・住民税から控除される制度。税金を前払いした分が戻ってくるものなので、大きな節税ではありません。ふるさと納税の一番のメリットは、寄付した自治体からさまざまな返礼品がもらえること。自己負担の2000円以上の返礼品をもらうことができれば、十分得したことになります。なお、寄付先が5自治体以内であれば、「ワンストップ特例制度」で各自治体に申請すると、確定申告を省略できます。
控除の対象は、総所得額の40%が上限
寄付金控除の対象となる寄付額は、総所得額の40%まで。これ以上寄付すると、自己負担の2000円を超え、メリットがなくなります。ふるさと納税のポータルサイトなどで試算しておきましょう。
初めての確定申告Q&A
Q 確定申告書はどこで手に入る?どこに提出する?
A 国税庁のHPでフォームに入力し、ネットで提出も可能
確定申告の必要書類は、所轄の税務署でもらうか、国税庁のHPでダウンロードを。国税庁HPの「確定申告書作成コーナー」で、必要項目のフォームに入力して提出することも可能。提出方法は、(1)e-Taxで送信、(2)税務署に持参、(3)税務署に郵送の3つがあります。
Q 期限を過ぎてからでも申告することはできる?
A 「還付申告」なら、5年さかのぼって申告できる
会社員で、年末調整で手続きできない控除を申告する場合は、確定申告の期限を過ぎても、「還付申告」によって還付金を受けることができます。「還付申告」は、還付金が発生する年の翌年1月1日から5年以内であれば申告可能です。
<教えてくれた人>
元国税専門官 金融ライター 小林義崇さん
04年より東京国税局の国税専門官として、相続税の調査や所得税の確定申告業務に従事。17年にフリーライターに転身。著書に『図解でわかる 絶対トクする!節税の全ワザ』(きずな出版)など。
※この特集で掲載している情報は、24年12月23日現在のものです。
参照:『サンキュ!』2025年3月号「かしこく節税して手取りを増やす本」より。掲載している情報は2025年1月現在のものです。構成・文/宮原元美 編集/サンキュ!編集部