【税理士が解説】確定申告で還付が受けられる税金〈医療費控除:セルフメディケーション税制〉
2024/02/05
こんにちは。税理士、ファイナンシャル・プランナーでサンキュ!STYLEライターの高田文乃です。
今回は医療費控除のうち、セルフメディケーション税制について解説します。
確定申告とは
確定申告とは、個人の1年間の所得の金額とそれに対する税金を計算して税務署に対して申告を行い、納付または還付を受ける手続きのことをいいます。
通常、毎年2月16日から3月15日までの間に前年分の申告を行います。
直接税務署に提出に行くこともできますが、スマホやパソコンを使った電子申告が便利です。
セルフメディケーション税制とは
薬局などでの一般の医薬品の購入が一定額以上となったときに医療費控除が受けられる制度です。
医療費控除制度の特例であり、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は同時に適用することはできません。どちらか一方の選択適用となります。
通常の医療費控除は、原則1年間に10万円以上の医療費の支払いがないと対象となりません。健康に気をつけて過ごし、病院への通院が少ない場合にはこの制度の適用を受けるほど医療費の支払いが多くないかたもいるでしょう。
そのような方でも
・健康の保持増進および疾病の予防への取組をしている
・特定一般用医薬品等の購入が12,000円以上ある
場合には税金の還付または減額を受けることができます。
健康の保持増進および疾病の予防への取組とは
自分の健康を自分で適切に管理するために、次のような検診の受診等を行うことをいいます。
・勤務先で実施する定期健康診断
・市町村が健康増進事業として実施するがん検診
・定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種
・特定健康診査(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導
・保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
・市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
特定一般用医薬品等とは
医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)等をいいます。すべての医薬品が対象となるわけではありませんが、対象となるOTC医薬品のパッケージには通常「セルフメディケーション税控除対象」のマークが付されています。
また、購入時にセルフメディケーション税制の対象商品であることが明記されたレシートや領収書をもらい、保管しておくことが必要です。
計算方法
対象となる市販薬の購入金額の合計額から12,000円を差し引いた金額(控除限度額は8万8千円)が医療費控除の対象金額となります。
通常の医療費控除より適用しやすくチャレンジしやすい
セルフメディケーション税制は2017年に開始した制度です。開始当初は2021年までの限定措置でしたが、5年間の延長が行われ現状2026年まで適用が可能となっています。
また、延長に伴い制度の見直しが行われたことにより、さらに利用しやすくなりました。
上手に利用して家計の節約に繋げましょう。
・記事を書いたのは・・・高田文乃(税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士)
10歳と3歳の娘と夫4人家族
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。