【税理士が解説】確定申告で還付が受けられる税金〈医療費控除〉
2024/01/25
税理士、ファイナンシャル・プランナーの高田文乃です。
さて、年が明けると確定申告の時期が近づいてきます。
今回は確定申告をすると税金の還付が受けられる医療費控除についてお伝えしたいと思います。
確定申告とは
確定申告とは、個人の1月1日から12月31日までの1年間の所得の金額とそれに対応する税金を計算して税務署に申告を行い、納付または還付を受ける手続きのことをいいます。
通常、翌年の2月16日から3月15日までに前年分の申告を行います。
還付申告の場合は翌年1月1日から5年間行うことが可能です。
直接税務署に申告に行くこともできますが、スマホやパソコンを使った電子申告が便利です。
医療費控除とは
1年間に支払った医療費が10万円を超えると税金の還付を受けることができます。
この場合の医療費は実際に支払った医療費から保険金などの給付を差し引いた金額となります。
自分の医療費だけでなく、家族のために支払った医療費も対象となります。
また、所得金額が200万円に満たない場合には医療費が10万円を超えなくても、総所得金額の5%が医療費控除の対象となります。
会社員、パート、アルバイトなどの給与収入では、年収が300万円に満たない場合には医療費が10万円以下であっても医療費控除の対象となる可能性があります。
例)給与収入が250万円の場合
給与所得控除後の所得金額=1,670,000円
1,670,000円×5%=83,500円
83,500円を超えて医療費の支払いがあると還付の対象となります。
*超えた金額は所得控除の対象となりますが、その全額が還付になるわけではありません。
総所得金額から所得控除額を差引き、税率を乗じた金額が源泉徴収税額から還付されます。
*医療費控除の対象となる金額と税率は各人の所得によって異なるため、還付を受けられる金額は一律ではありません。
例)給与収入400万円、医療費が20万円の場合の還付税額
(医療費控除以外の所得控除がない場合)
(1)給与所得控除後の金額 2,760,000円
(2)医療費控除 200,000円-100,000円=100,000円
(3)基礎控除 480,000円
(1)-(2)-(3)=2,180,000円 → 税率10%
(4)還付税額 10万円×10%=1万円
対象となる医療費
医師・歯科医師による診療、治療費や治療または療養に必要な医薬品の購入が対象となります。
ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。
また、風邪をひいた場合の風邪薬などの購入は対象となりますが、ビタミン剤などの病気の予防に用いられる医薬品の購入は対象となりません。
美容目的の医療行為も対象外となります。
出産したら医療費控除の確認を忘れずに
妊婦定期健診費用をはじめ、出産時の入院費用、切迫早産や妊娠悪阻などの医師が認めた入院費用などから、妊婦検診費の助成や健康保険から給付のある出産育児一時金、加入している医療保険による入院給付金等を差し引いた金額が医療費控除の対象となります。
助成金や手当金を差し引いても妊娠・出産にかかる出費は10万円を超えるケースが多いため、医療費控除の制度についても忘れずに確認しましょう。
◆この記事を書いたのは・・・高田文乃(税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士)
10歳と3歳の娘と夫4人家族
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。