「節約するならもやし」は過去の話!? 節約の専門家が教えるやってはいけない食費節約4選

2025/08/12

値上げが続く今、ほとんどの人は食費の節約を頑張っているのではないでしょうか。しかし、節約アドバイザーの丸山晴美さんは「“食費節約に効果的”と言われていることの中には、効果がなくなってきているものや逆効果のものもある」と言います。中でも多く見られる食費節約の落とし穴4選について聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2025年8月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「食費節約の落とし穴」!

落とし穴1:「節約するならもやし」はもう過去の話に!?

「物価の優等生」や「家計の味方」と言われてきた「もやし」。でも、最近はそうとも言えなくなってきています。

もやしはたしかに安いですが、昔に比べると確実に値上がりしています。そのうえ、もやしはあまり日持ちしません。袋に爪楊枝で穴を開けたり、水につけて冷蔵保存するのが定番ですが、それでも数日たつと色が悪くなったり味が落ちたり。また、色味がない食材なので、料理の彩りとしてもイマイチです。

それよりも、例えばキャベツは最近だいぶ安くなってきました。もやしよりはもちろん高いですが、1玉買って葉をむきながらレジ袋に入れて乾燥を防ぎながら使えば、1カ月近く新鮮な状態で食べられますし、回鍋肉やロールキャベツ、とん平焼きなどいろいろな料理に主役級で使えます。

小松菜も1年中価格が低めで安定している上に、ビタミン類が豊富で栄養価も高く、彩り野菜としても優秀です。
コスパ的なことを考えると、実はもやしよりも他の野菜を、値段が安い時に買うほうがトータルでおトクな場合が少なくないのです。

また、豆腐や納豆、厚揚げなどの大豆製品も「物価の優等生」と言われる食材で、こちらはタンパク質が豊富なのが特徴です。タンパク質が豊富な食材は満腹感を得られやすいと言われていて、その点でももやしはイマイチ弱いと言えるでしょう

もちろん、もやしを買うことに問題はありませんが、「節約するなら絶対もやし!」という思い込みは、もう捨てた方がいい時代になってきたのかもしれません。

落とし穴2:見切り品、特売日を重視しすぎると節約疲れのキケンが

見切り品や特売日を意識するのも節約の定石で、ほとんどの人はこれらをチェックしていると思います。ただ、これらにこだわりすぎると、だんだん「見切り品以外は買わない」「特売日以外に買うのは損」という状態になり、そのうちに複数のスーパーをはしごして時間と体力を消耗したり、買い物がマンネリ化して楽しくなくなり、節約すること自体に疲れてしまうことが。

また、こうした値段だけの買い方は、栄養の偏りにもつながる可能性があります。
売り場をよく見て、旬の野菜やその日たまたまセールになっている食材もチェックし、栄養バランスや彩りも気にしながら選ぶと、料理も楽しくなりますし、節約しながらも豊かな食卓にすることが可能です。

落とし穴3:買い物リストを作って買う、は意外とハードルが高い

定番節約テクニックの1つに「買い物リストを作り、その通りに買い物をする」というのもあります。例えば、土曜日に1週間分の献立を考えて必要な食材をメモし、そのメモ通りに買い物をするなどです。

昔からある節約テクの1つですが、これはできる人とできない人にはっきり分かれるテクなので注意が必要です。最近では生成AIのサービスに1週間分の献立と必要な食材を提案してもらい、リスト化して買う方法もあり、それも1つのやりくりテクニックになっています。

リスト通りに買い物するところまでは誰でもできますが、問題はその後。1週間、献立通りに食事を作り、全食材をムダなく全て使い切ることができるかというと、そこがなかなか難しく、ある意味料理の上級者向けテクニックとも言えるのです。

私の場合、献立は冷蔵庫の中やストック品を見ながら、その時に調理に当てられる時間と気分を重視するタイプです。「豚肉が冷蔵庫にあって、なんだか辛いものが食べたい気分だからこれを作ろう」という風にして、動画などで食材からレシピを検索してメニューを決めます。

そういう私からすると、1週間先の献立を決めてその通りにすることが、大きなストレスになるのです。もちろん、買うべきものを買い忘れないようにアプリにメモをして買い物へ行きますが、1週間分のレシピを決めて買うことはかえってストレスになるタイプです。

「1週間の献立を決めて食材も買ってあるのだから、この通りにしなきゃ」と思って頑張ることが、節約疲れの一因になることも少なくありません。節約を頑張るのはいいけれど、その方法が自分に向いているかどうかは、よく見定めることが大切です。

落とし穴4:フルタイム勤務の人は、まとめ買いのプレッシャーに注意

上の買い物リストにもつながるもので、まとめ買いも節約に有効と言われるテクの1つです。スーパーに行く回数が減れば、その分余計なものを買ってしまう機会が減り、節約につながるというのが理由です。夫婦共働きで、あまり買い物に時間が使えないという方がやっているケースが多いようです。

ただ、まとめ買いにも向き、不向きがあります。
特にフルタイム勤務の人が1週間分のまとめ買いをすると、「仕事をしつつ、これを1週間以内に使い切らなきゃ!」というものすごいプレッシャーにかられます。

また、1週間分の買い物は、持ち歩くのも大変。
私も息子がいるので、牛乳だけでも1週間分で6本買います。それだけでもう6kg!これにプラスして1週間分の肉や野菜などを買い込んでいたら、大変な分量になります。

車で行けば運ぶのはラクだけど、毎週末、車で買い物に出かけるのはどうでしょう。それだけで週末の半日が潰れることになるので、もったいない気もします。

まとめ買いをする場合は3日に1回程度の、負担にならないペースにしましょう。
そして、節約するならまず1週間分の予算を決めること。その中でおさまるように買い物をすることが大切です。

買い物をする際は、自炊の食材となるものを優先的に買い、予算が残ったらお菓子やジュース、お酒といった嗜好品を買いましょう。そうすれば、予算内に収めつつ楽しむことができ、罪悪感も持たずにすみます。こうした自分なりのルールをしっかり決め、守ることもポイントです。

食費は毎日のことなので、気になりやすく節約もやりやすいもの。でも、固定費など別の費用でも節約はできますから、あまり自分を追い込みすぎないようにしましょう。
節約食材の中にも、健康に良い食材はさまざまあります。そういったものもうまく取り入れつつ、健康的に食費を節約していってくださいね。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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