こんな節約はやってはいけない!?節約の専門家がキケンな節約を解説

2025/08/04

節約をがんばることに疲れてきた…そんな「節約疲れ」に陥る人が、いま増えています。節約アドバイザーの丸山晴美さんに「節約疲れ」になってしまう原因と上手な対策をお聞きしました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2025年7月時点の取材情報を基にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「節約疲れ」!

値上がりが続く現代は蓄積疲労型の「節約疲れ」に

「節約疲れ」という言葉は、じつは10年以上前から使われている言葉です。その内容は時代によって少しずつ違いますが、共通しているのは節約することに精神的なストレスや疲労を感じるようになってしまうということ。

以前は、節約すれば消費税が上がった分や、値上がりした分をカバーすることができていました。しかし現代は、物価高は続いているのに手取り収入は一向に増えず、常に節約=お金のことを考えなくてはいけません。

ゴールが見えないまま節約を続けざるを得ない状況が辛くなり、それが蓄積疲労のようになってしまっている人が増えているのではないかと考えられます。

とはいえ、生活のことを考えると、今後も節約はやらなければいけないでしょう。だからこそ、節約疲れに陥らない方法を考えたり、身につけることが必要です。

節約がしんどくなったら、節約する目的をリセットしてみて

「節約が辛い」「節約することに疲れた」と感じたら、それはリセットのサイン。一度立ち止まって節約を見直すタイミングです。このサインを見逃さないようにしましょう。

何を見直すかというと「今の目的が適切なのか」という点です。節約をするにもお金を貯めるにも、まずは目的をしっかり見直すことが大切です。そもそも「何のために節約しているのか」という点をもう一度考えてみてください。

節約の目的には「やりたいこと」と「しなければならないこと」の2種類があります。「やりたいこと」とは旅行など自分の楽しみに関すること。「しなければならないこと」とは、子どもの進学費用などライフイベントで必ず発生することです。

生活や将来を守るためには、基本的に「しなければいけないこと」に必要なお金を貯めることを優先しましょう。ただし、それだけと辛くなってくるので、プラスで自分や家族が楽しめるイベントも組み込むのがおすすめです。

「節約疲れ」になる要因の1つとして、「節約で浮いたお金での成功体験ができていない」ということがあります。節約して浮いたお金をすべて貯蓄や生活費にまわしていると、「節約して楽しいことができた」という実感が得られません。それが続くことでストレスや疲れにつながってしまうのです。

なので、節約して浮いたお金の一部を、月5,000円でもいいから楽しみのためのお金として貯めましょう。1年貯めれば6万円になり、それなりのことができます。そうして思い切り楽しむことで、節約にもメリハリが出て、やりがいを感じられるようになっていきます。

家族のために自分だけが我慢する節約はNG!

家族がいる人で節約疲れを感じている場合は、家族が協力してくれないことが要因の1つかもしれません。

一人暮らしなら、節約した分で欲しいものを欲しいときに買うことができますが、家族が多くなればなるほどそうはいきません。そのため「家族のためにこんなにがんばっているのに…」という自己犠牲感が強くなりやすいのです。

そのうえ家族が協力的でなく、「お母さんが上手にやりくりしてよ」という態度をされると、「私は何のために…」という思いに陥りやすくなるもの。

節約は目的を達成して家族みんなが幸せになるためにやるものですが、その間、自分や家族が不幸になってしまうのでは何の意味もありません。自分自身や家族を犠牲にしすぎてまで節約する必要はないと私は思います。

このような状況になっている場合は、家族と節約について話し合い、協力体制をつくることが大切です。

協力体制を得るのがむずかしい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの第三者に家計診断や家計相談をするのも一案。正しい目標金額や資産運用方法などがわかるなど、がむしゃらに節約しなくてもよくなるようなアドバイスが得られるはずです。

「消えもの」でストレスを解消しても満たされにくい

一方、「節約疲れ」の間違った解消法もあります。その1つが、日々のちょっとした飲食や散財でストレスを解消すること。例えば、「今日もがんばったからコンビニスイーツを買おう」や「夜のビールぐらいしか楽しみはないから今日も1本」などです。

こうしたものは消費してしまうと形に残らない、いわゆる「消えもの」です。少額であっても毎日買えばまとまった出費になりますし、そのわりにお金を使った意識や満足感が得られにくく、また嗜好品には依存性が高くなかなかやめることがむずかしいものです。

すべてが悪いとは言い切れませんが、これら「消えもの」出費が習慣的なムダづかいを生んでいることにも注意しなくてはいけません。
それよりも日々の嗜好品の出費は我慢して、その分をお誕生日会やクリスマスを盛大に行ったり、プチ旅行などをしたりした方が、気分転換になるし楽しいのではないでしょうか。

ただし、節約にも向き不向きがあります。

私自身は「節約することでお金がたまり、それで楽しいことややりたいことができるなんておもしろいし素敵!」と思って節約に興味を持ちました。今では「節約することは、生活のレベルを上げることにつながる」と感じています。

しかし、人によっては節約することで、生活ランクが下がるように感じる人もいるでしょう。「節約するより働いた方がラク!」と思う人もいるかもしれません。

そういう人は無理に節約をがんばる必要はないと思います。節約意識は大事だけれど、お金の増やし方はほかにもあります。パートや副業などで収入を増やす方法もあるし、資産運用などでお金に働いてもらうのもいいでしょう。自分が楽しんでがんばれる、自分に合った方法を見つけることも意識してみてはいかがでしょうか?

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

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