突然のまとまった出費に備えるために用意する費用が特別費。「物価の高騰が続く今は、2種類の特別費を上手く活用することが家計を守るキーポイント」と節約アドバイザーの丸山晴美さんは言います。2025年版特別費の準便の仕方と活用法を聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2025年9月時点の取材情報を基にしています。

監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「2つの特別費」!
特別費がない家計はマイナスのループに陥りがち
毎月予算を組んでやりくりしていても、イレギュラーの出費があって赤字になる月はどうしてもありますよね。
例えば交際費が赤字になったら、家計のどこかからお金を補填する必要があります。余っている日用品費を使ったり食費から取ったりといろいろ工夫しますが、いずれにしても家計を乱すことになります。
それでも月の予算内でカバーできるならいいですが、例えばトイレが古くて壊れ、取り替えが必要になった場合には数十万円もの費用がかかり、月の予算内でカバーするのは困難。住宅購入や子どもの進学のためなどにコツコツ貯めていた貯蓄を、切りくずさなければいけなくなる場合が少なくありません。
いったん貯蓄を切りくずすと、目標学達成までの期間が延びて、貯蓄するモチベーションが下がってしまいます。「自分はなんてやりくりが下手なんだろう」と罪悪感や自己嫌悪を感じたり、家計管理そのものが嫌になったりするなど、考えがマイナスな方向に行ってしまう人も少なくありません。
だからこそ、こうしたイレギュラーな出費に対応するための特別費をしっかり準備しておくことが、家計を守るうえで重要なキーポイントになるのです。
月と年の2つの特別費を用意するのがポイント
最近は旅費も高いし家電も高いし、物価もどんどん高くなっています。何をするにもお金がかかるので、ちょっとした出費でも、家計にはけっこうなダメージになることが少なくありません。
だからこそ、今は2種類の特別費を準備しておくことが大切です。
1つは「月の特別費」。いつも予算内に収められたらよいのですが、例えばイベントが重なって食費の予算がオーバーした場合など、多少の赤字が出た時にカバーする特別費です。私は毎月2万円程度の特別費を用意しておくことをおすすめしています。
もう1つは「年の特別費」で、別名「使うための貯蓄」。例えば子どもがスポーツをやっていて急に十万円近い遠征費が必要になったり、大型家電が壊れて急いで買い替えが必要になったりなど、月の収入ではカバーできない大きな出費に備える特別費です。
私は「年の特別費」として常に50万円をプールしておくようにしていますが、もちろん50万円以上でもOK。毎月できる範囲で少しずつ積み立てていき、自分が安心できる金額を用意しておきましょう。
「月の特別費」が余ったときは「年の特別費」に加え、翌月の「月の特別費」は新たに用意します。こうすることで「年の特別費」をより早く貯めることができます。
「年の特別費」は貯めるまでが少し大変ですが、一度貯まればそうそう使う機会はありませんし、全額一気に使うことは稀です。少し使ったら補填しつつ何年も流用できるので、とても便利で心強い費用になります。
特別費は家計にとっての保険であり、貯蓄体質になる第一歩に
これら2つの特別費は、いわゆる保険みたいなもの。毎月いくらかを支払い、何かあったときにその拠出金のなかから出すという考え方で、これを用意しておくことで、コツコツ貯めている大切な貯蓄を目的以外に使うことから防ぐことができます。
大きな出費というのは重なるもので、私も今年はオーブン電子レンジに洗濯機、掃除機と、大型家電が次々に壊れて大変でした。でも、特別費を用意していたおかげで、あわてることなく、別の目的のために貯めていた貯蓄を切りくずすこともなく、乗り越えることができました。
特にここ数年は、物価はどんどん上がる反面、手取り収入は上がらず、お金のことに関して気持ちに余裕が持ちにくくなっています。だからこそ、いざというときすぐに出せるお金を用意しておくことが、気持ちの大きな余裕につながります。
そして、これを習慣化することで家計が安定し、貯蓄体質にもなっていけるのです。
取材・文/かきの木のりみ