総務省統計局の家計調査によると、1年の中で消費支出が多くなるのは1番が12月、次いで新生活が始まる3〜4月。節約アドバイザーの丸山晴美さんは「この時期をどう乗り越えるかが、その後1年の家計を左右するポイント」と言います。3~4月にどんな出費があり、どういう準備をすればいいのかを聞きしました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2025年1月時点の取材情報を基にしています。
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監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「3~4月の出費対策」!
3~4月に増えるのは教育費、交際費、被服費
総務省統計局の家計調査のデータを見ると、3〜4月に最も増えやすい出費は学費や教科書代、登校の定期代など教育関連の費用です。
2024年から私立高校も授業料が無償化になりましたが(対象者など内容は自治体によって異なります)、私立高の場合、入学金や寄付金、施設費、制服代、教材費、修学旅行費、積立金など授業料以外にかかる費用も高額です。授業料の負担が無くなったとしても、大きな出費になるケースがほとんどなのです。
公立高校も入学金、制服代、体操着、タブレット購入費用などが別途かかりますが、それでも私立高校と比較すると出費の負担は軽くなります。
ただし、これはあくまでもお金の面を比較した場合の話。最終的にはお子さんと、お金の面と学びたいことややりたいことも含めて、総合的に話し合うことをおすすめします。
一方、教育費がかからない家庭は出費が少ないかというと、そんなことはありません。衣替えの季節なので被服費も上がりますし、春は生活が切り替わるタイミング。子育て世代なら進級や入学式、卒業式、会社勤めなら歓送迎会があり、それに伴う出費が急増します。転勤などで引っ越しをするケースもあるでしょう。
そう考えると、1年で2番目に出費が多いこの時期をどう乗り越えるかが、その後1年の家計を左右する大きなポイントと言えます。
「貯めるための貯蓄」とは別に「使うための貯蓄」を用意
進学費用や引っ越し費用は金額が大きいので、月々の生活費では対応できません。それまで積み立てていたお金を使ったり、貯蓄の一部を切り崩したりして対応する必要があります。
一方、歓送迎会などのそれほど高額ではない出費は、生活費の中から対応する必要があります。私はそのために、普段から「使うための貯蓄」をしておくことをおすすめしています。
「使うための貯蓄」とは「特別費」とも言い、月々の収入の中ではやりくりがむずかしい、突然の支出や高額な支出のための費用です。冠婚葬祭が続いたときや、高額な家電が急に壊れたときなどの支払いなどもこれで対応します。
特別費を用意しておくことで、突然の出費にも慌てず、貯蓄を目的以外のために切り崩さずに対処できます。
わが家もつい最近、オーブンレンジが壊れたため、高額な費用が必要となりました。でも、この「使うための貯蓄」のお陰で妥協せずに、希望のオーブンレンジを購入することができました。
特別費の金額は特に決まっていませんが、私は「50万円」程度をおすすめしています。50万円あれば、たいていのできごとに対処が可能だからです。
特別費がない家庭は、今年の3〜4月は貯蓄や生活費などで対応し、同時に特別費の準備を始めましょう。ボーナスがある家庭なら、その一部を使うと早く準備できます。
既に特別費がある方は、3〜4月はそれで対応を。使った分は4月以降に積み立てをするなどして補填ししましょう。そうして出費が多くなる年末や翌年の春に備えると、家計が大きく崩れるのを防ぐことができて安心です。
将来の大規模出費には、早めの計画+地道な積み立てを
今は昔に比べると教育費の負担が減りつつありますが、それでも選ぶ進路によっては大きなお金がかかることもよくあります。子どもが遠い場所の大学に進学して一人暮らしでもしたら、住宅費や新生活の準備費用など100万円以上のお金がかかることも。
これから高校、大学進学を控えている家庭は、どういう学校を選ぶのかなど、早い時期から子どもとよく相談して決めておくことが大切です。
同時に、先を見据えて、今から毎月1万円でも多く積み立てておくことをおすすめします。そうしてできるだけ計画的に出費に備えることが、家計が不安定になりやすい今は特に大切でしょう。
取材・文/かきの木のりみ