「突然の出費に振り回される」「月末になると不安になる…」
そんな“行き当たりばったり家計”に悩む方は多いのではないでしょうか?
そこで今回は、FP2級保持・元銀行員で“頑張らない家計管理”を実践中のライターしばが、「行き当たりばったり家計から抜けだす方法」をご紹介します。
- STEP1|まずは出費を「予測できる/できない」で分ける
- STEP2|行き当たりばったりは「3つのルール」で防ぐ
- STEP3|本当に予測できない出費だけ「貯金」で対応する
- STEP4|大きな買い物は「買っていいタイミング」を決める
STEP1|まずは出費を「予測できる/できない」で分ける
行き当たりばったり家計から抜け出す最初のステップは、出費を「予測できるもの」と「予測できないもの」に分けることです。
なぜなら、家計に悩む人の多くが、そもそも「毎月、何にいくら必要なのかがよくわからない」という状態だから。
でも実は、家賃・光熱費・通勤費・保険料、さらには子どもの学用品や季節のイベント費まで、ほとんどの支出は「予測できるもの」。
それらを書き出してみると、「最低いくらあれば生活できるか」という金額がはっきりします。
土台となる支出とその金額が分かれば、「どこなら削れるか」「どこは優先して残したいか」が判断しやすくなるもの。
まずは家計簿やカード明細を見返しながら、支出をざっと書き出してみてください。
そのうえで 「予測できる/できない」 に分けてみると、お金の流れが驚くほどクリアになりますよ。
STEP2|行き当たりばったりは「3つのルール」で防ぐ
お金に振り回されてしまう原因は、「収入が少ないから」だけではありません。本当の理由は、“いつ・いくら必要なのか”が曖昧なままお金を使っていることにあります。
支払いのタイミングが読めないと、毎月の家計は常にサプライズ続き。結果として、不安がどんどん膨らんでしまうのです。
でも裏を返せば、予測できる支出をきちんと扱うだけで、家計の不安の大部分は消えていきます。
次からは、今日から始められる「行き当たりばったりを防ぐ3つのルール」を紹介します。
家計がグッとラクになるコツばかりなので、ぜひ続けて読んでみてくださいね。
【ルール1】いつ・いくら必要か書き出す
ルール1は 「いつ・いくら必要かを書き出す」 こと。
先ほど「予測できる/できない」に分けましたが、次のステップはそれらを “いつ発生するのか・いくら必要なのか” まで具体的にしていく作業です。
光熱費や食費などの毎月の支出はもちろん、保険料の年払い、固定資産税、車検などの “年1回〜数年に1回の出費” も忘れずに。
年間カレンダーに支出を書き込んでみると、
「この月は出費が集中するな」
「ここは余裕がありそう」
という“お金の波”が一目でわかるようになります。
たったこれだけで、家計管理がぐっとラクになりますよ。
【ルール2】年単位でざっくり予算を決める
次に、ルール2は 「年単位でざっくり予算を決める」 こと。
月ごとに家計を見ていると、出費が多い月に気持ちが揺れたり、「先月は節約できたのに今月は全然だめ…」と、一喜一憂しがちです。
でも、年単位で予算を捉えると、お金の全体像がつかめるようになり、貯蓄も支出も“自分でコントロールしている感覚”がぐっと強くなるのです。
「だいたいこのくらいの金額がかかりそう」と、ざっくり見積もるだけでOK。
完璧でなくても、方向性が見えているだけで家計はぐっと安定しやすくなりますよ。
【ルール3】資金準備の方法を決める
そして最後に、ルール3は 「資金の準備方法を決める」 こと。
せっかく予算を立てても、必要なときにお金がどこにあるのかわからないと対応できません。だからこそ、あらかじめ 「どこから支払うか」 を決めておくことが大切です。
たとえば、
・税金や車検などの大きな出費は特別費用の口座から支払う
・毎月1万円ずつ、積立用の口座に移しておく
・家電の買い替えなどはボーナスを専用口座にキープして対応する
このように、“お金の置き場所”を分けておくだけで、急な支払いにも落ち着いて対処できるようになります。
STEP3|本当に予測できない出費だけ「貯金」で対応する
行き当たりばったり家計でよく見られるのが、「足りなければとりあえず貯金から出せばいいか…」という考え方です。
一見すると柔軟で良さそうに思えますが、実はこれが大きな落とし穴。
計画なく貯金を切り崩していると、じわじわと将来の資金が目減りしていき、いざというときに 「あれ、思ったより残っていない…」 という事態になりかねません。
そこで大切なのが、「予測できない支出にだけ貯金を使う」というルールを決めておくこと。
生活費を扱う口座と、貯金専用の口座はしっかり分け、原則として貯金口座には手をつけない。
このルールを徹底するだけで、貯金の減りを防げるうえに、「いざというときのお金がある」という心の余裕が生まれます。
STEP4|大きな買い物は「買っていいタイミング」を決める
スマホ・家電・家具などの大きな出費も、実は“突然のこと”ではありません。
寿命や買い替えの目安がある程度決まっているため、本来は予測できる支出のひとつです。
だからこそ、壊れたタイミングに流されて購入するのではなく、自分で「買い替えるタイミング」を先に決めておくのがおすすめ。
たとえば、
・スマホや家電はボーナス時に買い替える
・家具は10年経ったら買い替えを検討する
といった具合に、“買う基準” を決めておくだけで、家計の見通しが一気につきやすくなります。
「今買っていいのかな?」という迷いも減り、無駄な出費の防止にも効果的。
STEP5|月1回の「予算振り返りタイム」で家計の癖を整える
予算を立てても、現実とピタリと一致させるのは難しいものです。
だからこそ、月に10〜15分でいいので「予算の振り返り時間」をしっかり確保して、自分や家族のお金の使い方のクセを見つけていきましょう。
振り返るときは、次の3つをチェックするのがポイントです。
1. 予算と実際の差はどこにあったか
2. 予想以上に使った理由は何だったか
3. 来月の予算をどう調整するか
このプロセスを続けるだけで、家計の精度はぐっと上がります。
大事なのは、最初から完璧に合わせようとしないこと。
暮らしや家族に合わせて少しずつ予算を微調整しながら、“ちょうどいい家計”に育てていきましょう。
「先回りできる家計」へ変わるために、今日から始めたいこと
行き当たりばったりの家計から抜け出すための大事なポイントは、「出費を予測する仕組み」をつくること。
多くの支出は、実はあらかじめ知ることができて、整理しておくだけで家計は一気に安定します。
今回紹介した5つのステップを整えれば、「急にお金が出ていく…」という不安な家計から、「前もって準備できる家計」へと大きく変わっていきます。
まずは今日、ひとつでいいので出費を書き出すところから始めてみてください。
不安の正体が見えるだけで、家計はぐっとラクになりますよ。
■執筆/しば
FP2級・元銀行員のライター。がんばらない家計管理と“仕組みでまわる暮らし”をテーマに、家計・子育て・暮らしの記事を執筆中。二児の母。Instagramは「@shi_ba_1106」。
編集/サンキュ!編集部