これまで数多くの家計診断をしてきた節約アドバイザーの丸山晴美さん。その中で、「貯まらない」「貯められない」という相談者には、ある共通の出費パターンが見られることが多いと言います。それはどういう出費で、どう対策したらいいのか、丸山さんに聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2025年5月時点の取材情報を基にしています。

監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
- 貯められない人の出費1:お酒やたばこなど嗜好品に関する「言い訳出費」
- 貯められない人の出費2:限度がなくなってしまいやすい「推し活出費」
- 貯められない人の出費3: 家計破綻にもつながってしまう「趣味出費」
- 貯めたいならば先取り貯蓄と線引きが大切
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「貯められない人の出費パターン」!
貯められない人の出費1:お酒やたばこなど嗜好品に関する「言い訳出費」
家計診断をしていてよく感じるのは、「貯まらないんです!」と嘆く家庭の多くに、ある共通項があるということです。それは、「言い訳出費」が多いという点。
特にお酒やタバコといった嗜好品がやめられない」パターンが多数で、「これがないと生きていけない」「私のエネルギー源なんです」など、いろいろな言い訳をして嗜好品にお金を使っています。
「その分のお金を他の費用に回せば、家計もずいぶん楽になりますよ」と伝えると、とりあえず「気をつけます」とは言ってくれるのですが、その後に「でも、夫がどうしてもやめてくれないんです」「夫婦とも忙しくて、お酒を飲むことがコミュニケーションなんです」とまた言い訳…。
特にお酒は、飲むとおつまみが欲しくなる人も多く、その分の出費もかさみますし、外食を好む方も少なくありません。「仕事で疲れて夕食を作る気力もなく、ダメだと思ったんですが安い居酒屋なので……」と今度は自分自身にも言い訳をすることに。
お酒とタバコだけでなく、お菓子、ジュース、菓子パンなど「やめられない嗜好品がある」という方は、残念ですが貯まらないパターンに陥りがち。たとえそれを買う際にポイ活をしていても、ポイント以上に出費をしているのが事実なのです。
貯められない人の出費2:限度がなくなってしまいやすい「推し活出費」
貯められない人に多い出費2つめは「推し活出費」です。最近は、◯◯会員にならないと優先的にチケットが取れない、◯◯に入会しないと推しの動画配信が見られない、といった条件が多くあります。推し活動をもっとしたいと思うと、どんどん有料会員になるシステムが増えていくのです。
有料会員になってチケットが取れたら、次は遠征費用だけではなく、プロモーションビデオなどの舞台となった場所へ聖地巡礼するための費用がかかったり、さらに限定グッズの購入でまたお金が必要になったり……いろいろなところで際限なくお金がかかってしまうのが推し活の沼です。
これにハマっている人には貯められない人が多い、という印象があります。推し活のために他の費用を削ってやりくりをしている方もいますので、メリハリのある推し活をしたいものです。
貯められない人の出費3: 家計破綻にもつながってしまう「趣味出費」
貯められない人に多い出費3つめは、推し活に似て非なる「趣味出費」です。
例えば、ゴルフ。ゴルフ用品を揃えるのだけでも高額なうえに、ラウンドを1回まわるだけで万単位の出費になります。さらに、ゴルフをするには車も必要で……と、雪だるま式に出費が増えます。
釣りやスクーバダイビングが趣味という人も同様で、道具をそろえるにも、1回遊ぶごとにもお金がかかりますよね。また、スクーバダイビングはライセンスによって潜れる深さが違うため、より深く潜りたい場合は潜水回数や更新手数料が必要になるなど、本格的に始めるとそれなりのお金と覚悟が必要な趣味と言えるでしょう。
カメラやオーディオが趣味という人は、数十万という機材をいくつも買い込んだりします。これらは中古市場が活発なので高く売ることもできますが、売ったお金で新しい機材を購入するのですから、出費は減るどころか増えるばかりです。
高額な趣味は、出費と生活費のバランスをよく考えないと、赤字家計どころか家計破綻も招きかねないと言えるでしょう。
貯めたいならば先取り貯蓄と線引きが大切
これら3つの出費のうち1つでもやっている場合は、家計をざっくり管理しているといつまでたっても貯めることはできません。
貯めたいなら、例えばゴルフのラウンドは月1回まで、推し活の遠征はこの地域までなど、出費の線引きをしっかりすることが大切です。さらに趣味専用や今後の生活に必要なお金は「先取り貯蓄」を行い、「残ったお金でやりくりする」という状況にすることをおすすめします。
物価はこれからさらに上がるでしょうし、税金も上がるでしょう。社会保険料ももっと上がるでしょう。今後の社会経済を考えたとき、嗜好品や推し活や趣味にばかりにお金をかけていいのでしょうか?
NISAやiDeCoに少しでも積み立てておけば、老後を迎えるときなどにきっと「やっておいてよかった!」と思える日が来るでしょう。
取材・文/かきの木のりみ