「自己肯定感の高い子に育てたいのに……」母親が子どもを褒められない本当の理由

2024/07/26

子どもを「自己肯定感が高い子」に育てたい。でも、上手に褒めたり認めたりできていない……。と感じていませんか。

なぜ、そのように感じるのでしょうか。子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザーの山名美穂さんに教えてもらいました。

子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。子...

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褒められた経験が少ない母親世代

以前「子どもに言ってはいけない!自己肯定感を下げる3つのことば」という記事を執筆した際、みなさんの反応の中で印象的だったのが、記事に書いた「子どもに言ってはいけないこどば」

■能力を否定することば
■価値観を否定することば
■存在を否定することば

のいずれかを親から言われて育った方が多かったことです。「3つ全部言われた」という方も散見されました。

親から褒められた経験が少ない人は、やはり子どもを褒めることにも慣れにくいです。経験がないことを、やれと言われても困りますよね。戸惑って当然です。

また「親から否定された」記憶は強く・長く残ります。「子どもを褒めなくては」と思うほど「親の否定で傷ついた自分」が出てきてしまう。そしてネガティブな記憶から目をそむけ、現状を変えにくい。それも当たり前です。

「褒める・認める」ができないわけではない

とはいえ、わたし達が全く褒められたり認められた経験がないかといえば、そうでもないはず。

また、どのようなことばがけや行動が子どもを褒める・認めることになるのか?「知識」も持っていますよね。

そして「がんばったね」「いてくれるだけで嬉しい」とことばにして発すること、あるいは子どもを理由なく抱きしめる「行動」自体はできるはずです。

ただそれを日常的に行おうとすると、こそばゆいような、恥ずかしいような気持ちになる。どこか違和感を抱いてしまう。

「できない」のではなく「慣れていない」だけ

ものごとの習得には段階があります。

「自転車に乗る」に例えてみましょう。下のような流れで、人は成長します。

1.自転車の存在も知らないし、乗れない
2.自転車の存在は知っているが、乗れない
3.自転車を知っていて、乗り方を意識すれば乗れる
4.自転車を知っていて、考えなくても無意識に乗れる
5.自転車を知っていて無意識に乗れて、乗り方を人に教えられる

子どもを褒める・認めるに関して、多くの母親は上の例の「3.意識すればできる」にいます。

■褒める・認める行為は知っていて、意識的にならできる
わけです。次の「4.考えなくても無意識にできる」になれば、子どもを褒める・認めるがぐっと楽になります。ではどうやって?

答えはシンプル、慣れるしかありません。

自転車にスムーズに乗れるまで練習が必要なように、自然に褒められるように繰り返し練習するのです。

「意識的」から「無意識」への変化が一番難しい

自転車や育児に限らず、物事の習得においては「3. 意識すればできる」から「4.考えなくても無意識にできる」にステップアップするのが一番難しいといわれます。

できない、と思われたでしょうか。でも、わたし達はすでに成功体験をたくさん重ねていることにもお気づきですね。

思い出してください。何気なくやっている「野菜の千切り」や「洗濯物を干す」も、最初は意識しなければできなかったはずです。毎日繰り返しているうちに、自然と手が動くようになりましたよね。

子どもを褒める・認めるも同じです。最初はことばがスムーズに出てこなかったり、上手くいかなかったりして落ち込むかもしれません。

それでも、繰り返しているうちに自然とできるようになるものです。

「褒めてもらえなかった」過去や親との葛藤

上にも書きましたが「褒める・認める」習得において出てきがちなのが、自身の「褒めてもらえなくて悲しかった経験」や「認めてくれなかった親に対する嫌悪感」です。

正直なところ、これらの解消には少し時間がかかります。いくら欲しても、他の大人が今のわたし達を毎日褒めてはくれません。親に本音を伝えて仮に謝ってもらったところで、本当の意味で傷は癒えないでしょう。

ならば、どうしたらいいのか?「自分で自分を褒める・認める」練習をしていくしかありません。それがこころの傷のケアとなり、親の許容する気持ちを広げていきます。そして自分に、より自信が持てるようになります。

「自分で自分を褒める・認める」にも、練習が必要です。身もふたもないことをいうようで、申し訳ないのですが。

「なにかができる自分」がすばらしいのではない

「自分で自分を褒める・認める」を実行しようとすると、多くの場合わたし達は「コト・モノ・タスク」に目を向けます。

■掃除ができた
■料理ができた
■子育てをがんばってやっている
……など。なにかをなし遂げたり、行動している自分を認める。日常にそういった「褒めポイント」を見つけるのは、わりにできるのではないでしょうか。

それらもとても大切です。そして一番力を入れてやって欲しいのが
■なにもしていない自分の存在を認める
こと。なにかができても、そうでなくても、あなたという人間のすばらしさは変わりません。

過去の傷が大きければ、すぐにとはいかないかもしれませんが、日々自分を労い、認めていく。あたたかい目をご自身に向けてもらえたらと願います。

自分自身の存在を認める。ひいてはそれが、子どもを認め褒めることに繋がっていきます。

■執筆/山名美穂…子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。子育てを楽にするメソッドを発信している。
編集/サンキュ!編集部

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

 
 

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