マンションでのお盆はどう過ごす?迎え火・送り火、仏壇の置き方などを解説
2018/07/30
お盆では、ご先祖さまの霊をこちらに迎える「迎え火」、反対にあの世にお送りする「送り火」の儀式が必要。そして、家の中にはご先祖さまの霊をお迎えする「精霊棚(しょうろうだな)」と呼ばれる棚も必要なのです。
でも、いまどきのマンション、火を焚けないところが多いし、仏壇を置くスペースだけでいっぱいいっぱい。そんな悩みを、冠婚葬祭アドバイザーの中山みゆきさんが解決してくれますよ。
「迎え火」、「送り火」はどんな意味がある?
お盆を8月13日から16日としているところでは、13日の最初の日をご先祖さまの霊をお迎えする「迎え盆」、15日か16日をご先祖さまの霊をお送りする「送り盆」と呼びみます。迎え盆と送り盆にはそれぞれ、「おがら」を庭や玄関先で焚いて、その煙によってご先祖さまの霊が迷わずこちらの世界に来て、そしてあの世に戻って行くとされています。このような大事な儀式ですが、最近のマンションではうっかり火を焚くと火災報知器が反応して大変なことになったりしますね。
「迎え火」「送り火」には火ではなく盆提灯を
火の焚けないマンションでは、火の代わりに盆提灯を使います。盆提灯の明かりを目印にご先祖さまの霊が迷わず家を訪れ、そして、あの世に帰ってもらいます。
まず、「迎え盆」の夕方に盆提灯を持って玄関先に立ち、一礼して黙とうします。そして、盆提灯の明かりを消します。そして、「送り盆」の夕方に同じように盆提灯を手に持ち、玄関先に立ち、ご先祖さまをお見送りする気持ちで一礼して黙とう。盆提灯の明かりを消します。これで、「迎え火」「送り火」の儀式ができます。
お盆の期間中、盆提灯はどこに飾ったらいい?
ご先祖さまの霊が迷わず帰ってきてほしいから、玄関の外がいいと思いがちですが、やはりマンションなどの集合住宅では玄関の外は共有部分なのでおすすめできません。外から見えにくくはなりますが、玄関の中ならいいでしょう。
また、ベランダの近くや窓の内側などは、外から見えやすいので、ご先祖さまも迷わず帰ってこれそうです。特に、初盆は亡くなった方が初めて帰ってくるので、よく目につくところに飾って置くといいでしょう。盆提灯には吊るすタイプのもの、置くタイプのものなどあるので、飾る場所を考えて選ぶのがいいでしょう。
「精霊棚(しょうろうだな)」のスペースがない
「精霊棚(しょうろうだな)」は、ご先祖さまの霊をお迎えする祭壇のこと。小さい頃に実家などで、お盆に仏壇の前に置いていたのを覚えている人もいるのでは。
マンションなどでは、コンパクトな仏壇を置くのが精一杯ということも多いようです。その場合、お手持ちの小さな机やテーブルを使って簡易棚を作ってもOK 。まこもの敷物、お供え物(なすで作った牛、きゅうりで作った馬、季節の果物や野菜、故人の好物)、花、お鈴、お位牌などを並べますが、自分で用意できるものを飾りましょう。スーパーマーケットなどでお盆セットなど売っているので、利用するのも手です。
※浄土真宗はいつも通りで特別に用意する必要はありません。
仏壇はないけど、「精霊棚」を作ってもいい?
仏壇が無くても供養する気持ちがあれば、「精霊棚」を作っても大丈夫です。既存の棚の上や小さなテーブルを利用して、ちょっとしたコーナーを作って、揃えられる程度のお供え物を置くだけでもOK。小さな盆提灯を飾ったりするのもいいでしょう。たとえ何も揃えなくても、手を合わせて供養するだけでも気持ちがご先祖さまに伝わります。
お盆に仏壇のある実家などに帰れない場合
お供えとして不祝儀袋に現金を入れて、現金書留で送りましょう。袋の表書きには「御仏前」「御佛前」「御供物料」と、下段には自分の名前を書きます。金額は3,000円から5,000円が相場。初盆の場合には5,000円から10,000円になります。
お盆の10日前から、遅くとも前日までに届くように送ります。また、現金ではなく、亡くなった方の好きだったものなどでもいいでしょう。
まとめ
狭いマンションや火を焚けないマンションでも、お盆のやり方はいろいろ。大切なのは、ご先祖さまの霊を供養するという気持ち。無理せず、できる範囲で行うことが一番ですね。
教えてくれたのは・・・中山みゆきさん
冠婚葬祭アドバイザー。All Aboutで冠婚葬祭サイトの運営に携わる。現在は、その知識を生かして冠婚葬祭関連のアドバイス活動を重ね、「思いやり」の心を大切にした情報を発信中。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)