アウトドアのプロが検証!ダイソー「インスタントコンロ」を使ってみた

2019/11/12

100円均一ショップで、アウトドア用に使える便利な商品が増えています。そんななか、アウトドアナビゲーターの渡部郁子さんが「“禁じ手”レベルのすごい商品」と話すのが、ダイソーの「インスタントコンロ」です。

「ホームセンターやアウトドアメーカーからもいくつか類似商品が出ていますが、ダイソーの300円(100円ではありません)には敵いません。「アウトドア用のグリル」を300円で買えるので、どんなアウトドア製品よりも安いし、キャンプ場でレンタルするよりもお得ということになります」(渡部さん)

しかし、重要なのは“どの程度使えるのか”というところ。そこで今回は、渡部さんに実際にダイソーの「インスタントコンロ」を使ってもらい、アウトドアのプロ視点でレビューしてもらいました。

網は小さいが、手軽で簡単な仕組みはうれしい

インスタントコンロは、「ダイソー」のオリジナル商品として、ほかの100円均一ショップでは扱いがないようです。アウトドアコーナーに、炭や網などといっしょに置いてありました。価格は300円です。炭も網もセットになっていて、炭用の着火剤も不要。マッチやライターがあれば、火をつけてそのままコンロとして使えるようです。

パッケージを開封すると、入っていたのは、炭の入った網つきコンロと、台座となるワイヤー。このワイヤーの上に、コンロをセットして準備完了という、なんとも手軽で簡単な仕組みです。

網が小さいので、大人数での本格バーベキューに対応するには、かなりの個数が必要になりそうですが、1人または2人で楽しむ分にはちょうどいい大きさ。

台座となるワイヤーに載せても、コンロと地面の間には4cm程度の隙間しかないので、直火禁止のバーベキュー場の場合は、机や台となるものが必要です。

炭おこし不要で初心者も安心

バーベキューで初心者が苦労する最初の難関といえば、炭おこし。炭になかなか火がつかず、うっかり数時間が経過してしまった、という失敗談はよく聞く話。果たしてしっかり炭に火がまわるのか。

パッケージには、「マッチやライターで簡単に着火」と書いてあるので、火がつきやすいように加工された成型炭が入っているものと想像できます。ということは、火が落ち着くまで煙がかなり出るだろうという点と、油の臭いが気になりそうなこと、この2点が使えるかどうかのポイントになりそうです。

いざ、着火!勢いよく燃えるので利用場所には要注意

台座はついているものの、テーブルの上で火をつけるには少々心配なつくりなので、安全を考慮して、焚き火台の上で着火することにしました。網の下、炭の表面を覆っている「いかにも油を含んでます」と言わんばかりの紙に火をつけると、大きな炎が立ち上がり、あっという間に全体が燃え始めました。

炎は10cmぐらい立ち上がり、勢いよく燃えています。パッケージには、「火が安定するまで10~15分程度」と記載がありましたが、もう少し長く30分ぐらい勢いよく燃えていました。その間、想像していたよりは煙が出なかった印象です。ただし、30分も勢いよく燃えるので、家の庭やマンションのベランダなどで気軽に使ったりすると、火事騒動が起きるかもしれませんので注意してください。

食材を投入!強火が必要な食材も問題なしだが注意点も……

まずは、強火でこんがりと仕上げたい食材を投入。野菜やフランクを並べて様子を見ます。あっという間においしそうな焦げ目ができて、いい具合に仕上がってきました。

網の場所によって火力が強すぎて、食材の中まで火が通る前に焦げてしまいます。薄く切ったかぼちゃは目を離したすきに真っ黒になってしまいました。

こんがり焼けたフランクをかじってみると、少しオイルの臭いを感じました。でも、これも想像していたよりは、それほど気にならない程度。敏感な人だとわかるかもしれませんが、たいていの人には気にならないと思います。香りを楽しむ食材のとき、例えばキノコはホイル焼きにするなど、少し工夫が必要になりそうです。

1時間程度で火力も安定、じんわり焼くタイミング

火をつけてから1時間程度すると、大きな炎が出なくなり、全体的に火力が安定してきた模様。このあたりで、弱火でじっくり仕上げたい食材たちを投入しました。シシャモを並べて、くるくると返しながらじんわり焼き上げること10分。ふっくらアツアツでおいしいシシャモが完成!

途中で炭を投入できないので、いったん火力が弱まれば、もう強火で焼くことはできません。火加減にあわせて食材をうまく順番に並べられるかどうかが、おいしく仕上げるコツだと感じました。

片づけもコンパクト!

楽しんだ後の片づけも、思ったより簡単でした。バーベキュー場の場合、炭は専用の場所に捨てる必要があるので、しっかり冷ましてから中の炭を取り出し、容器はアルミなので、小さく折りたたんでぺちゃんこにして燃えないゴミへ。

ここまでの感想としては、「恐るべし、300円のインスタントコンロ」。小さくて手軽で簡単、しかもおいしく仕上がり、後片づけもラク。正直、少人数のバーベキューならこれで十分かも、と思ってしまいました。

アウトドアファンとしては、なるべくゴミを減らしたいので、使い捨てのコンロというのはじつはあまりオススメしたくないのですが、それほど頻繁にバーベキューをやるわけではないという人、家にバーベキューコンロを保管したくない、という人でも気軽に使えるという点では、かなりスグレモノだと感じました。

人気商品ゆえに品切れの可能性も、そんなときはどうする?

プロから見てもオススメできるくらいなので、かなりの人気商品であることは間違いありません。店舗によっては品薄のところもあるようです。とはいえ、ダイソーにはほかにもさまざまなアウトドア商品がそろっているので、もし「インスタントコンロ」が見当たらない場合も、工夫次第でそれらしきものをつくれます。

例えば、スタンドつき焼き網と、ライターで火がつく豆炭、これにアルミやステンレスの受け皿を用意すれば、300円で「インスタントコンロ」と同じような組み合わせの道具がそろいます。

厳密にいえば、アルミもステンレスも直火厳禁なので、底が溶ける可能性を考慮しておく必要があり、アルミやステンレスの受け皿に、珪藻土コースターや耐火煉瓦などを敷くと安心です。

300円で「インスタントコンロ」を再現してみた

実際に上記の組み合わせで、簡易コンロをつくって試してみました。「インスタントコンロ」と同様に、オイルの臭いがやはり少し気になったものの、肉はやわらかくとろけるような絶妙なおいしさに焼きあがりました。

焼き終わった後、炭の下に敷いた珪藻土は割れていましたが、ステンレス受け皿は多少変形した程度でダメージが少なかったので、また次の機会に使えそうです。

結論:インスタントコンロの評価は…

アウトドア製品は今まで、小さくて軽量なコンロは高価なものが多かったのですが、そういう意味で300円のインスタントコンロは、小規模ながらしっかりバーベキューを楽しめるスグレモノでした。ためしにやってみたい、小さくていいから簡単、手軽にできるものがいい、という初心者さんにぴったりです。

ただし、簡単なつくりなので、支えているワイヤーの安定感や容器の耐熱などに関する安全面で、多少心配なところもあります。小さいお子さんがいるグループで使用する際には、十分に気をつけてくださいね。


◆監修・執筆/渡部郁子
アウトドアナビゲーター、温泉ソムリエ。JFNラジオ「JOYFUL LIFE」ほか、山と温泉と音楽をテーマに「人生を豊かにする情報」をさまざまなメディアで発信中。子どもにやさしい温泉や山、フェス情報など、子どもと一緒に楽しむアウトドアスタイルを提案している。

 
 

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