子どものアレルギーが増加中!アレルギーとダニの怖い関係
2020/01/15
ここ数年、アレルギーに悩む人がますます増加中。その大きな原因の1つが、おうちの中で繁殖するダニ。今はまだアレルギー症状が出ていない人にも注目してほしい、アレルギーとダニの関係について専門家に聞きました。
<教えてくれた人>
清益功浩先生
医学博士。All About「家庭の医学」ガイド。日本アレルギー学会認定専門医・指導医、日本小児科学会認定専門医。
住環境の変化により、冬でもダニが増加。
近年、遺伝や体質を除くアレルギー発症原因の多くが、ダニといわれています。現代の暮らしは、住宅の気密性が向上して、室内の温度と湿度が上がり、冬でもダニが繁殖しやすい環境。そのため、年間を通してダニ対策をすることが、アレルギー予防に大きく関係するのです。自分や家族をアレルギーから守るためにも、ダニ対策を。
アレルギーを引き起こす原因は?
1:遺伝的要因
アレルギー体質は親から子どもへと100%遺伝するわけではありません。しかし、どちらかの親がアレルギー体質の場合、そうでない場合に比べて、発症しやすくなるのは事実。ですから、親がアレルギーを持っている場合は、ダニ対策を積極的に行うなど、子どもがアレルギーを発症しにくくする環境づくりを心がけましょう。
2:環境的要因
気管支ぜんそくの原因の1つは、大気汚染。また、風邪や花粉症に似た症状を起こすシックハウス症候群は、家の建材や塗料などに含まれるホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性物質に対して過敏になる状態です。その発症メカニズムはまだ解明されていませんが、ダニもシックハウス症候群の 因ということは明らかになっています。
3:ダニの増加
現代の住まいは気密性が向上し、冷暖房の普及により一年中一定の温度に。さらに、小まめに換気しないと湿度も上昇。高温多湿はダニが繁殖しやすい環境のため、屋内のダニの量が年々増加しています。ダニの死骸やフンはアレルギーの原因の1つ。だから、ダニの増加は近年のアレルギー人口の増加に関係しているのです。
チリダニのせいでこんなアレルギーが発症する
一時的に症状が出る花粉症とは異なり、年間を通じて鼻炎や結膜炎になっている場合は、通年性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性結膜炎の可能性が大。その場合、多くはチリダニが原因です。また、食事に関係なく湿疹が悪化するアトピー性皮膚炎やぜんそくの原因の1つもチリダニと考えられています。
■アレルギー性結膜炎
まぶたの裏側と白目を覆っている結膜という粘膜が炎症を起こす病気。
■アレルギー性鼻炎
主に鼻みず、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状が続く病気。
■アトピー性皮膚炎
かゆみのある湿疹がよくなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す病気。
■ぜんそく
気道に慢性的な炎症が起こり、せきやたん、ぜんそく発作などの症状が起こる病気。
アレルギーの原因となるチリダニとは?
日本の住宅には細かく分けると約100種類のダニが見つかっていますが、アレルギーの原因となるのはチリダニという種類。チリダニは高温多湿を好み、目に見えませんが主に寝具やソファなどの布製品やほこりの中に潜んでいます。
好む場所:布製品やほこりの中
好む湿度:60~80%
好む温度:20~30℃
アレルギーマーチを予防しよう
アレルギーマーチとは、異なるタイプのアレルギーを次々と発症することです。乳児期にアトピー性皮膚炎がある場合、成長に伴い食物アレルギーやぜんそく、鼻炎など、ほかのアレルギー疾患を発症する確率が高いことがわかっています。このようにアレルギーの症状が年齢とともに変わっていくこと、またアレルギーを起こす原因が食物からダニ、花粉に変わっていくことを行進になぞらえて、アレルギーマーチと呼びます。年齢が高くなると発症するぜんそくやアレルギー性鼻炎、そしてアレルギー性結膜炎に関係するのがダニ。そのため、子どもが小さいうちからダニ対策を始めることは、アレルギーマーチの予防に効果があると考えられています。
子どもが長時間触れる物にダニが潜んでいる!
ダニは人のフケ、食べ物の残りかす、ほこりなどをエサにして繁殖します。それらの物が長くとどまるふとんやぬいぐるみは、ダニには格好のエサ場。だからダニ対策を行わないと、ダニの巣窟に!
■寝具
ふとんは天日干ししてしっかりとたたき、ダニの成分を除く。洗える物は丸洗いするのが効果的。
■ぬいぐるみ
子どもがギュッと抱いたりなめてしまったりすることもあるので、小まめに丸洗いするのが理想。
ダニを増やさないポイントは3つ
(1)乾燥
ダニが繁殖する湿度60%以下を保つ。家全体には定期的な換気を行い、ふとんにはふとん乾燥機を使うのが◎
(2)加熱
ダニは50℃以上の環境に30分ほどさらされると死滅。よって、高温になる衣類乾燥機にかけると効果的。
(3)除去
乾燥させても加熱してもダニの死骸は残る。1平方メートル当たり20秒以上の掃除機がけでしっかり除去して。
参照:『サンキュ!』1月号「アレルギーとダニの怖~い関係」より。掲載している情報は19年11月現在のものです。イラスト/須山奈津希 構成・文/杉澤美幸 編集/サンキュ!編集部
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