医療用保護マスク、クローズアップで認識できない女性。

マスクによる肌荒れが増加中!夏の肌トラブルは、汗と紫外線のコントロールがカギ

2020/06/16

夏はお肌にとっても過酷な季節。汗や紫外線などでのトラブルが増えます。また今年は、新型コロナウイルスへの予防策として夏でもマスクをするシーンが増え、マスクによる肌荒れも多発しています。夏の肌トラブルはどのようにケアをしたらいいのか、巣鴨さくらなみき皮膚科院長・鈴木さやかさんに伺いました。

汗をかいたら、どうケアしたらいい?

放置は禁物!シーンに合わせて紹介します。

ぬるめのシャワーで洗い流す。タオルはポンポンと!

女性の顔を洗う
liza5450/gettyimages

汗をかく時期は、「あせも」や「とびひ」などの皮膚トラブルを起こしやすくなります。
「あせも」は、汗腺がつまって発汗がさまたげられることで、汗が皮膚にたまって赤いブツブツができます。
「とびひ」は、黄色ブドウ球菌などの細菌感染によって起こる皮膚疾患で、水ぶくれやびらん、かさぶたが生じ、飛び火のように体中に拡がって増えることからこの名前がついています。

汗をかいたら、涼しくして、ぬるめのシャワーで洗い流すことが大切です。ボディソープは1日2回位使い、汗を流すだけならそれ以上使わなくてもOKです。
洗ったあとは、柔らかいタオルで、こすらないようにポンポンとやさしく置くようにして水分をふき取りましょう。シャワーの後は、保湿剤を塗っておくといいですね。肌のバリア機能を保つことがとびひなどの予防にもつながります。
あせもやかぶれができてしまった部位も、怖がらすに優しく洗い流して、肌を清潔に保つのが大切です。なかなか治らないようでしたら、早めに皮膚科を受診してください。汗ふきシートを使う際は、肌をこすらないようにしてください。置くように、ポンポンと使用してください。
肌は、ゴシゴシこするなどの刺激を与えると、くすみなどの原因になってしまいます。タオルや汗ふきシートなどを使う際には、置くようにしてやさしく使うのがポイントです。

汗ばむ時期の金属製品に注意

金属製品を身につけて汗をかくと、かゆみ、赤み、かぶれなどの症状を起こすことがあります。金属アレルギーの可能性がある人は、金属以外のアクセサリーを使用したり、首がかゆくなる人は、ネックレスを素肌につけず洋服の上から身に着けたりするようにしましょう。

多汗症(わき汗)は、皮膚科で相談を

「汗が多くて衣服に汗染みができる」「わき汗で洋服がぬれて恥ずかしい」など、多汗症で悩んでいる方は多いかもしれません。実は、多汗症は治療することができ、重症の場合はボツリヌス療法(ボトックス注射)が保険または自費で受けられます。このボトックス注射は、アセチルコリンという神経伝達物質の放出を阻害することで、発汗を抑えます。注射の効果は3~6カ月ほど持続しますので、本格的な夏に突入する前に受けると、ひと夏を快適に過ごすことができるかもしれません。

紫外線対策、どう対策したらいい?

体の外からと中から、両方対策をしましょう。

日焼け止めは、人差し指の先くらいの量をたっぷりと

女性は顔にクリームを適用します
RyanKing999/gettyimages

紫外線は、シミやシワ、肝斑(かんぱん)、くすみ、たるみなど肌トラブルの原因となります。紫外線は5月ごろから上昇し始めますので、これからの季節は毎日必ず日焼け止めを塗ってください。通勤や散歩程度でしたら、SPF20~25くらいのものを選んでください。
せっかく日焼け止めを塗っていても、塗る量が足りないことで効果が発揮できていないことがあります。目安としては、人差し指くらいの量(500円玉くらいの量)を、両手の平ぐらいの面積に塗り拡げます。
首や顔の横(側面)は塗れてない人が多いので、忘れずに日焼け止めを塗ってください。手の甲への日焼け止めも必須です。手の甲にシミができると年齢を感じますし、レーザー治療をする場合も顔より効きが悪かったり治るまで時間がかかったりすることがあります。
出かける前に塗ったら、その後2〜3時間おきに塗り直すことも心がけてください。日焼け止めにくわえて、日傘や帽子なども併用するといいですね。
また紫外線は、窓ガラスを透過して室内にも入ってきますから、家にいるときも日焼け止めを塗るのを忘れないでください。

強い日差しを浴びる前に、“飲む日焼け止め”も活用!

最近、少しずつ知られるようになってきましたが、“飲む日焼け止め”も効果的ですので、塗るタイプと併用するといいですね。アウトドアなど日差しの強い場所へ出かける前には、前日から服用し始めると効果的です。製品の添付文書に沿って、追加で服用してください。
シミはできてしまうと、レーザー治療などに高額な費用がかかってしまいます。「そのひと塗り、そのひと粒が、数年先のお金を節約!」と考えて、紫外線対策を行っていきましょう。

マスクによる肌荒れ、どうケアしたらいいの?

これからもマスクと共に生活していかなければなりませんが、肌荒れをしてしまったらマスクをつけるのもおっくうに…毎日の事なのでしっかり気をつけましょう。

マスクは毎日清潔なものを使い、必要なければはずす

抗ウイルス保護のシンボルとして青い背景にフェイスマスク。
undefined undefined/gettyimages

3月頃からマスクを連日使用することで、口まわりの吹き出物(ニキビ)に悩む人が増えています。マスクを着けることで蒸れて細菌が繁殖し、擦れて炎症が起きたりつぶれたりすることが原因です。加えて外出自粛や在宅勤務、家事負担の増加などによるストレスも関係していると思われます。
今年の夏は、暑い中でもマスクが必要になるシーンが出てきますから、対策としては、

□毎日清潔なマスクを使用する

(布マスクは毎日洗う、使い捨てマスクの場合は毎日取り替えるなど)

□自室内などソーシャルディスタンスが十分にとれる場所では、マスクをはずす
□ゴワゴワとした質のよくないマスクは使わない

などを心がけてください。
そして、吹き出物など肌荒れが起きてしまったら、洗顔などで清潔に保ち、皮膚科で抗生剤配合の塗り薬や飲み薬、角質を取る塗り薬などを処方してもらいましょう。吹き出物は自分でつぶさないことも大切です。

夏は、肌にとって過酷な季節ですが、適切なセルフケアで美しい肌を保っていきましょう!

【監修者 プロフィール】
鈴木さやかさん
医療法人社団 環桜会 巣鴨さくらなみき皮膚科 院長
東京大学医学部医学科卒業。同大学皮膚科学教室に入局。東京大学医学部附属病院皮膚科、麻酔科、社会保険中央総合病院皮膚科にて研修。以後、東京大学医学部附属病院など総合病院皮膚科や企業内診療所などで診療に従事。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。専門はアトピー性皮膚炎や妊娠中のスキンケア。美容皮膚科の経験も豊富。

取材・文/渡邉由希

 
 

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