若い頃のダイエットが骨折の原因に!?知らぬ間に進行する女性の「骨粗しょう症」に注意!
2024/10/26
高齢者の病気というイメージが強い「骨粗しょう症」ですが、実は歳を取ってから突然かかるものではありません。
知らぬ間に進行し、特に女性は注意が必要な「骨粗しょう症」の原因や健康リスクについて、多数の医療・健康施設を運営するオルソグループの会長で、整形外科医の鞆浩康氏に聞きました。
- Q.骨粗しょう症とはどのようなものですか
- Q.骨粗しょう症の原因を教えてください
- Q.骨粗しょう症が招く健康トラブルにはどのようなものがありますか
- Q.骨粗しょう症になりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか
Q.骨粗しょう症とはどのようなものですか
骨粗しょう症は、骨の密度と質が低下し、骨が脆く(もろく)なって骨折しやすくなる病気です。高齢者や閉経後の女性に多く見られ、無症状で進行するため、気づかないうちに悪化することがあります。
骨粗しょう症の発症には、カルシウム・リンやマグネシウムなどのミネラル、骨の基盤となるコラーゲンを構成するタンパク質が大きく関わっています。これらの栄養素が不足すると、骨の強度が低下して軽い衝撃や転倒でも骨折しやすくなります。
骨折は背骨・股関節・手首などに頻発します。特に背骨では痛みを伴わず「知らない間に骨折を起こしていた」ということもあります。
Q.骨粗しょう症の原因を教えてください
骨粗しょう症は「原発性骨粗しょう症」と「続発性骨粗しょう症」に分類されます。
「原発性骨粗しょう症」は主に加齢や閉経に伴うもので、高齢者や閉経後の女性に多く見られます。女性の場合は、特に加齢や閉経による女性ホルモンの減少が骨密度の低下に大きく影響して、骨量の減少と骨質の低下が進行します。
若い時期の栄養摂取や運動が不足することも、原発性骨粗しょう症の原因となり得ます。骨密度の値は、おおよそ20歳前後でピークに達します。そのときの骨密度の値が十分でないと、その後の骨密度も低くなり、将来の骨粗しょう症リスクが高まります。
「続発性骨粗しょう症」は、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)や慢性腎臓病などの特定の疾患、またはステロイドの長期使用などの薬物治療によって引き起こされるものです。
Q.骨粗しょう症が招く健康トラブルにはどのようなものがありますか
骨粗しょう症による主なリスクは骨折です。特に股関節・背骨・手首が骨折しやすく、骨折によって運動機能の低下や慢性的な痛みが生じ、生活の質が大幅に低下します。寝たきりになることもあります。
背骨の骨折は、身長の縮小や背中が曲がる原因となり、姿勢不良を引き起こします。これにより腰痛・肩こりや膝の痛みが生じやすくなります。さらに、背中が曲がることで内臓が圧迫され、食欲不振や消化不良を招くケースもあります。
骨粗しょう症は、骨折リスクだけでなく、さまざまな二次的な健康問題を引き起こします。結果的に健康寿命を短くすることにもなり得ます。
Q.骨粗しょう症になりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか
骨粗しょう症になりやすい人の特徴として、以下のようなものがあります。
・栄養不足の人:
カルシウムやビタミンD・タンパク質が不足すると、骨の密度や質が低下しやすくなります。タンパク質は骨の基盤となるコラーゲンの生成に重要で、不足すると骨の強度が低下します。
・運動不足の人:
運動による適度な骨への刺激が、骨密度を上げたり低下を防いだりするのに有効です。そのため、運動不足も骨密度の低下を招きます。
・痩せている人や20歳までにダイエットをした人:
骨密度は20歳ごろ最大値を迎えます。痩せている人やこの頃までにダイエットをした人は、骨密度のピークが十分に達しておらず、もともと骨密度が低い傾向にあります。その結果、閉経後や高齢期に骨粗しょう症を発症するリスクが高まります。
・その他:
家族歴・喫煙・過度な飲酒・ステロイドの長期使用も骨粗しょう症のリスク要因です。
Q.骨粗しょう症は予防・治療できますか
骨粗しょう症は予防も治療も可能です。いずれもバランスの取れた栄養と運動が不可欠となります。
栄養面ではカルシウムやビタミンD・ビタミンKが注目されますが、骨の主要構成要素であるタンパク質の摂取が重要です。ビタミンDは食品からとる以外に、日光を浴びると体内で生成されます。
運動も有効です。歩行よりもジョギングやジャンプ・スクワットなど、骨に適度な刺激を加えるものがおすすめです。これらにより骨密度と骨質が向上します。
骨粗しょう症の治療では、骨吸収を抑える薬や骨形成を促進する薬などが使用されます。しかし骨密度が高くても、骨の柔軟性に欠けると病的骨折のリスクが高まるので、まずは骨質の改善が重要です。
取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部