管理栄養士のゆかりさんは、介護予防の仕事のなかで減塩の話をすることもあり、減塩商品が増えてきているのを嬉しく思っているのだそう。そこで、実際に「減塩タイプの食塩」を試してみることに。
今回は、そんなゆかりさんが、美容や健康寿命延伸にも役立つ「減塩タイプの食塩」について詳しくご紹介します。
また、実際の味わいや注意点、おすすめの活用法などにも触れているので、参考にしてみてくださいね。

減塩しないとどうなるの?
日本人は、古くから醤油や味噌などを多用する食事をとってきました。これらは発酵食品として体へのメリットがある反面、塩分をとり過ぎがちに。
厚生労働省が発表した「令和元年国民栄養調査」において、日本人は1日平均で男性10.5g、女性9.0gの食塩をとっていることがわかっています。
生活習慣病などの予防のために設定されている目標量は、1日男性が7.5g未満、女性が6.5g未満。いかに、日本人が塩分をとり過ぎているのかが分かると思います。
体内では細胞の外にあるナトリウムと、細胞の外にあるカリウムがバランスをとって濃度を一定に保っています。ところが、食塩に含まれているナトリウムをとり過ぎてしまうとバランスが崩れ、体がむくんだり、高血圧の原因になったりと、外見や循環器に悪影響を及ぼすことに……。
このほか、胃がんや骨粗しょう症などにも関係があるとされ、日本人の多くは減塩が必要となっているのです。
「減塩タイプの食塩」って何が入っているの?
減塩と聞くと、薄味でおいしくないイメージがありませんか?
最近では、塩分を減らしつつおいしさをうまくカバーした「減塩タイプの食塩」も種類豊富に販売されています。
原材料は塩(海水)だけでつくられる一般的な塩とは異なり、塩化カリウム、炭酸マグネシウム、グルタミン酸カルシウムなどのほかのミネラルを加えて味を調整しているものが多くありますよ。
すると、精製塩や粗塩と呼ばれるものが100g中に97~99gほど食塩を含むのに対し、商品によってはその半分以下まで食塩を減らすことができるのです。
パッケージの栄養成分表示をチェックすると、どれだけの食塩が含まれているのかがわかりますよ。
いつもの塩代わりに「減塩タイプの食塩」を使うだけで、加えた原材料から体に必要なミネラルを補給することもできて一石二鳥。
「減塩タイプの食塩」注意点とおすすめの使い方
減塩タイプの食塩は、成分や製法のちがいによって、固まりやすいものやサラサラとしたものなどがあります。
なお、マグネシウムなどのミネラルには、一般的な食塩と少し異なった味を感じるという点も覚えておきましょう。
そのまま舐めると弱い苦味などを感じるかもしれませんが、筆者としては少量を料理に使ったり、塩以外の調味料も加える場合にはそこまで気にならないと感じました。
「苦味」は基本的な5つの味のうちの1つです。そのため、適度に加われば、料理全体のおいしさを高めることに役立ちますよ。
おすすめの使い方は、甘味・塩味・酸味・うま味は揃っているけれど、苦味がまったく含まれていない料理にプラスすると◎。
ドレッシングやピクルスなどを手づくりする際に、少量ずつ加えて味を調節してみると味わいの変化が感じられると思いますよ。もちろん、塩代わりにどんな料理にも使うことができます。
なお、腎機能が低下している人に限っては、腎臓に負担をかけないように、塩分(ナトリウム)だけでなくカリウムの含有量が少ない商品を選ぶようにしてください。
そういった商品が手に入らない場合、薄味でも塩味が引き立つ、つぎのような工夫を普段から取り入れてみましょう。
・酢、柑橘類などの酸味を加える
・出汁を濃くとったり、うま味のある食材を多めに加える
・香りや刺激のある薬味、香辛料などを加える
ご紹介した内容を参考に、無理なくおいしい減塩生活を始めてみてくださいね!
■執筆/ゆかり…保育園調理、セミナー講師、出張料理、料理教室、食育サイトの記事執筆など幅広く活躍中の管理栄養士で食生活アドバイザー。1児の母。
編集/サンキュ!編集部