体がむくんだり、筋肉が弱るリスクも!?不足すると怖い栄養素って?
2025/02/05
健康を維持したり、病気の予防に欠かせない栄養素。その中でも、「カリウム」にはどういった働きがあるのかご存じでしょうか?
必要量が足りているからこそ、わたしたちは当たり前に毎日を過ごせるのですが、不足してしまうといくつものデメリットが出てくることに……。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、カリウムが不足することでどのようなことが起きるのかと、効率よくとるための食べ方について紹介してもらいます。
カリウムの働きとは?
カリウムとは、水に溶け出しやすいミネラルの一種です。
幅広い食品に含まれており、わたしたちの体内には0.2%ほど含まれています(体重50kgの場合、100g相当)。これは、ミネラルの中ではカルシウムやリンに次いで3番目に多い量で、そのほとんどが細胞内に存在しています。
そんなカリウムの働きは、おもにつぎのとおり。
・細胞内の浸透圧やpHを維持する
・神経や筋肉の働きを正常に保つ
・細胞内の酵素反応を調節する
・余分なナトリウムを排泄して血圧を正常に保つ
カリウムには全身の細胞に関わる働きがあり、健康維持のみならず生命維持にも欠かせない栄養素となっているのです。
カリウム不足になると起きることとは?
そんな「カリウム」が不足すると、筋肉や神経の働きに異常が起こり、欠乏症としてさまざまな不調が見られるようになります。
初期症状としては、嘔吐、食欲不振、手足の脱力感、筋肉痛、筋力低下、動悸などが起こりやすいと言われています。進行していくと、歩行困難、起立困難、意識消失、不整脈など、命にかかわることも……。
令和元年国民健康・栄養調査におけるデータを見てみると、食品からの「カリウム」の1日の摂取量は、成人男性では60歳未満、成人女性は40歳未満の年代で目安量を下回っています。また、生活習慣病を予防するための目標量に至っては、70代の女性を除いたすべての年代で不足が見られるのです。
一般的な食事をしている場合に欠乏症の心配はないと言われていますが、食事量の減少、偏食などがある場合にはリスクが高まるため注意が必要です。
なお、十分な食事をしていた場合であっても、継続的な下痢や嘔吐・運動や発熱時の多量の発汗・利尿剤の服用などによって体から多くの水分が失われると、欠乏症が起こりやすくなります。
そういった場合には、できるだけ早く水分の補給と共に、飲料や食事からカリウムも十分に補うようにしましょう。
カリウムを多く含む代表的な食材や、おすすめの食材
ここからはカリウムを多く含む食品(※)について、ご紹介します。
・海藻類(昆布、ひじき、焼きのりなどの乾燥品)
・切り干し大根
・ドライフルーツ(バナナ、あんず、マンゴー)
・きな粉、炒り大豆
また、一度に多く口にする食品ではありませんが、減塩タイプの食塩、干し野菜(ぜんまい、わらび、パセリ、トマト、バジル、かんぴょうなど)、ベーキングパウダー、インスタントコーヒー、ココア、青汁にもカリウムが豊富に含まれていますよ。
カリウムは生鮮食品に多く、加工や精製されてしまうと含有量が減ってしまう傾向にあります。
腎機能に異常がなくカリウムを含むサプリメントを利用していない場合には、カリウムを多くとってもリスクは低いとされています。しかし、腎機能が弱っている時にとり過ぎが起こると、腎臓でカリウムの排泄がうまくいかなくなり、手足がしびれたり心電図に異常が見られることがあります。
持病があったり、健康診断で腎機能を指摘された人は十分に注意しましょう。
※……食品100gあたりにカリウム1,000mg以上含むもの。
効率よく摂取するための組み合わせや食べ方
カリウムは、水に溶け出しやすいという性質があります。そのため、薄く細かく切って長時間水にさらしたり、ゆでた煮汁を捨ててしまうことで多くのカリウムが失われてしまうのです。
少しでも無駄なくとりいれたい場合には、大きめに切って水にさらす時間を5分ほどに留めたり、煮汁ごと食べられる調理をすることをおすすめします。また、できるだけカリウムをキープさせる方法として、ゆでる代わりに電子レンジで加熱したり蒸し調理をしたりするのもいいですね。
ただし、特定の栄養素のことばかりに目を向けて、基本の食事がおろそかになっては元も子もありません。
先述した食品ほど高濃度でカリウムを含んでいるわけではありませんが、いも類、豆類、肉類、魚介類、生の果物・野菜類は一度に食べる量が多く、これらもわたしたちのカリウムの補給源となっています。
3食の食事に主食・主菜・副菜をそろえ、炭水化物・脂質・たんぱく質が偏らないような食事を意識することが基本です。その上でご紹介した栄養豊富な食品を取り入れ、必要なカリウムが補給できるようにしてみてはいかがでしょうか。
食事だけでは十分にとれない場合には、間食にもうまく取り入れてみてくださいね。